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経済格差と子供の脳の発達

2019-09-26 10:36:02 | その他
この十数年経済格差の拡大が日本の大きな問題として注目されることが増えています。

経済格差の問題点は色々指摘されていますが、子供の「脳の発達」に影響を及ぼすという研究が発表されました。

子供の心の発達に関しては、スイスの心理学者の研究が有名なようです。彼らは主に子供の知的発達を調べ、いかにして知識を獲得すか、どのくらい記憶できるのか、いかにして推論できるのかといった問題です。

これらの能力は「認知的スキル」と呼ばれます。近年教育経済学や教育社会学などで注目を集めるのが、認知的スキルとは異なる「非認知スキル」という能力です。

非認知スキルは経済学者などが多くの研究をしており、低所得家庭で育った子供が幼児教育を受けることによって、受けなかった子供よりもその後の年収や持ち家などの経済的な面で優れた結果を出すことを示しています。

この際幼児教育は知能(IQ)などの認知的スキルにはあまり影響を与えなかったが、忍耐力や学業への真摯さなどの側面に影響を与えたと考えられ、これらが「非認知スキル」と呼ばれるようになりました。

この言葉はあまりに漠然としているため、「社会情緒的スキル」と呼ぶこともあるようですが、どちらにしろ分かりにくいような気もしますが、自分や他人とうまく折り合いをつけるためのスキルのようです。

この非認知スキルのひとつとされていた「実行機能」というスキルが注目を集め、最近は独立したものとして扱われています。この能力は簡単に言えば、目標に向かって自分をコントロールする力のことを指し、ダイエットという目標のために食べたいものを我慢する力などとしています。

この実行機能を測定するテストの結果、3歳の子どはルールを切り替えることができないが、5~6歳ごろからそれができるようになりました。つまり実行機能は、3歳から6歳ごろにかけて大きく成長することが分かりました。

近年子供の実行機能が注目を集めているのは子供の時の実行機能が、後の学力や友人関係、問題行動、および大人になった時の収入、社会的地位、健康、犯罪歴などと関連するためです。

この具体的な研究としては、3歳から6歳の幼児に実行機能のテストを行い、その際の脳活動を近赤外分光法という手法で計測しました。さらに経済協力開発機構(OECD)の指標に基づき、子供を低所得家庭と中・高所得家庭とに分類し、子供の前頭前野に家庭間で違いがみられるかを調べました。

その結果、低所得家庭の子どもは、実行機能テスト中に前頭前野を活動させていませんでした。つまり、前頭前野の発達に経済格差が影響していることが明らかになったのです。

こういったことが貧困の連鎖などを生んでいるようですが、原因がある程度分かっても解決法がない問題のような気もします。


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