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『ドラゴン・タトゥーの女』

2012年03月13日 | Cinema Talk

Tジョイ稚内で『ドラゴン・タトゥーの女』を観てきました

世界的なベストセラーを記録したスウェーデン発のミステリー“ミレニアム三部作”

中でも「ドラゴン・タトゥーの女」は、まずスウェーデンで映画化され大ヒット

そして『セブン』の鬼才・デヴィッド・フィンチャー監督が映画化したもの


40年前に起きた少女失踪事件を追う事になったオピニオン誌の発行者“ミカエル”

そんな彼とコンビを組むのが、女性ハッカー“リスベット”

少年のように痩せた体にピアスとタトゥーをし、後見人が必要な社会不適合者でありながら

優れた情報収集能力を持っているという異色キャラ


物語的に少女失踪事件がいつの間にか未解決の猟奇殺人事件に結びついていくあたりは

D・フィンチャーの得意とするところで、「セブン」好きにはたまらないものがあると思うし

冒頭のミュージック・ビデオのような「イミグラント・ソング」からして既にヤバいのだが

全般的にフィンチャーならではのスタイリッシュでエッジの効いた映像演出(凄惨な場面含む)と

極寒の北欧スウェーデンの極端にトーンを抑えた風景が独特の緊張感を与えていたように思う

少しだけ難点をあげるとすれば、登場人物の多さと、人間関係の複雑さがあげられる

舞台として設定された大企業が同族会社のグループという設定からやむを得ない面もあるのだが

聞きなれないスウェーデンの名前と合わせて、覚えていくのが中々大変だった


さて、この映画は“リスベット”という主人公が、その全てであると言っても過言ではない

役にはスカーレット・ヨハンソンやナタリー・ポートマンら名だたる女優が名乗りを上げたが

数百人のオーディションの中から、ルーニー・マーラという無名の新人が選ばれた

結果、大女優と並んでアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたという事も記憶に新しい

リスベットという女は、暴力にさらされた凄惨な過去を持ち

背中の竜など体中にいくつもの入れ墨を施し、まゆや鼻などに無数のピアスを付けている

その立ち居振る舞いだけで見る者の目を奪う存在感があるのは確かだが

特異な生い立ちをもつがゆえの複雑な内面が非常に興味ある所で

それが彼女の独特のキャラクターとなって表れているのだと思う

しかし、それは決して変わったものではなく、恐らく誰もが秘めている怒りと激しさ

そして、弱さと脆さなのだろうと思う

最初は彼女の常軌を逸したような行動や私生活に抵抗を感じつつも

ストーリーが進んでいくごとに、ある種の共感を覚えていくのが不思議


(以下、ラストシーンにまつわるネタバレありなので注意して下さい)


ラストシーン、リスベットは相棒のミカエルの為にクリスマスプレゼントを贈ろうとする

店員の問いかけにリスベットはミカエルのことを「友達だ」と言った

だが、それはちょっと違う

おそらくそれはリスベット自身が生まれて初めて感じる恋心というものだ

リスベットはそれに気づいていないだけ

しかし、初めて抱いた恋心はあまりにあっけなく終わる

このラストシーンは少し切なく、何か彼女がいとおしく思えた


そして、エンディングは静かで美しい曲で終わり、激しいオープニングと対になっていて

ラストシーン含めて、まるで別の映画を観ているかのような何とも心憎い演出で

それまでの激しく揺さぶられた感情を静かに鎮めていく

こんな終わり方・・・ずるすぎる

これでまたフィンチャーのファンになってしまった


原作によると、彼女の風貌の意味や過去が詳しく語られるのは二作目だという

それがどんなに残酷な過去だとしても、リスベットのことをもっと知りたい

そう思うのは僕だけじゃないはずだ







『ドラゴン・タトゥーの女』フィンチャー監督とルーニー・マーラが会見


















【作品について】
スティーグ・ラーソンの世界的ベストセラーを映画化したスウェーデン映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(2009)を、「セブン」「ソーシャル・ネットワーク」のデビッド・フィンチャー監督がハリウッドリメイクしたミステリーサスペンス。経済誌「ミレニアム」の発行責任者で経済ジャーナリストのミカエルは、資産家のヘンリック・バンゲルから40年前に起こった少女ハリエットの失踪事件の真相追究を依頼される。ミカエルは、背中にドラゴンのタトゥをした天才ハッカーのリスベットとともに捜査を進めていくが、その中でバンゲル家に隠された闇に迫っていく。主演はダニエル・クレイグと「ソーシャル・ネットワーク」のルーニー・マーラ。

【あらすじ】
スウェーデンを揺るがせた財界汚職事件の告発記事を書きながらも、名誉棄損で敗訴したミカエル・プロムクヴィスト(ダニエル・クレイグ)。意気消沈の日々を送っていた彼のもとに、ある日、スウェーデン有数の財閥ヴァンゲルの元会長ヘンリック・ヴァンゲル老人(クリストファー・プラマー)から家族史編纂の依頼が舞い込む。しかしそれは表向きで、ヘンリックの真の目的は40年前に起きた親族の娘ハリエット失踪事件の真相究明だった。40年前に一族が住む孤島から何の痕跡も残さずに消えた少女ハリエット。ヴァンゲルは彼女が一族の誰かに殺害されたと信じていた。依頼を受けて調査を開始したミカエルは、成功の裏に隠された一族の血塗られた過去に気づいたものの、手掛かりが掴めずにいた。すると、一族の弁護士から天才的な資料収集能力の持ち主として、ある人物を紹介される。リスベット・サランデル(ルーニー・マーラー)という名の、顔色が悪くガリガリにやせた女だった。小柄なリスベットは、肩口から背中にかけて、異彩を放つ龍の刺青が彫られていた。そして意外なことに、彼女はこの事件に異様な関心を示す。やがて彼女は、ハリエットの日記に記された聖書にまつわる数字が、ロシアの国境付近で未解決のままとなっている連続猟奇殺人事件と関連があることを突き止めるのだが……。

原題:The Girl with the Dragon Tattoo
製作国:2011年アメリカ映画
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
上映時間:158分

監督: デビッド・フィンチャー
製作: スコット・ルーディン、オーレ・ソンドベルイ、ソーレン・スタルモス、セアン・チャフィン
製作総指揮: スティーブン・ザイリアン、ミーケル・バレン、アンニ・ファウルビー・フェルナンデス
原作: スティーグ・ラーソン
脚本: スティーブン・ザイリアン
撮影: ジェフ・クローネンウェス
衣装: トリッシュ・サマービル
音楽: トレント・レズナー、アティカス・ロス

キャスト: ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、クリストファー・プラマー、ステラン・スカルスガルド、スティーブン・バーコフ、ロビン・ライト、ヨリック・バン・バーヘニンゲン、ジョエリー・リチャードソン、ジェラルディン・ジェームズ、ゴラン・ビシュニック、ドナルド・サムター、ウルフ・フリバーグ、インガ・ランドグレー、マッツ・アンデルソン、エバ・フリトヨフソン、エロディ・ユン、ジョセフィン・スプランド、エンベス・デイビッツ
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2 コメント

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はじめまして (KIKU)
2012-03-16 11:04:10
「ドラゴン・タトゥーの女」
なかなか面白かったですよね。

私はかなりはまってしまって、原作本を買って読んでみました。
これが読み始めたら止まらなくて
本当に面白かったです。
返信する
KIKUさん (kenshun)
2012-03-16 17:57:03
(KIKUさんへ)
はじめまして。書き込みありがとうございました。僕も原作本早く読みたいなと思っています。2作目、3作目も気になります。
KIKUさんのブログにも行きました。中部国際空港の近くに住んでいるのだとか。KIKUさんは旅好きとお見受けします。6~8月には名古屋から稚内へ直行便も飛んでいます。是非、日本最北端の地稚内へ観光に来て下さい。そして、そこからフェリー定期航路でロシア・サハリン州にも行ってみてほしいです。
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