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『オーシャンズ』観ました

2010年07月15日 | Cinema Talk

「WATARIDORI」でさまざまな渡り鳥の生態を記録したジャック・ペランが

世界中の海とそこに暮らす生命体を革新的な映像美で描いた海洋ドキュメンタリー

ハンドウイルカの大群、ザドウクジラの捕食、5万匹に及ぶクモガニの交尾など

自然界で起きる奇跡的なシーンが多数映像に収められている

海の中の生物の何と優雅なことか

まるで真空の宇宙を漂うように泳ぐ姿は実に美しい

海がもう1つの宇宙と言われる所以である

圧巻だったのは、イワシの群れを狙ってまるで弾丸のように海にダイブするカツオドリ

光陰矢のごとしのスピードで空からダイブするカツオドリと

大きな口を開け海中から狙うイルカ

食うものと食われるものの、生きる為の壮絶な戦いが繰り広げられる

これが自然界の掟であり生態系というものなのだが

頭から離れない衝撃的なシーンがあった

それが、オーストラリア漁船のサメ漁の様子

漁自体は人間も食べるための手段として、あくまで人間側の勝手な言い分ではあるが

ある程度は仕方のないことだと思う

むろん生態系を壊すに至るまでの漁はもってのほかだが

生命そのものを冒涜した残酷な漁法に憤りを感じた

それは、サメからヒレをとった後、ヒレのなくなったサメを平気で海に捨てているシーン

つまり、サメは生きたままヒレを全て奪われ、だるま状態で海に放り投げられる

カメラは海中でそのサメの姿をずっと追ってゆく

当然、泳ぐことも出来ないサメは、エラから血を吐き出しながら

胴体だけで必死に苦しみもがきながら海底に沈んでゆく

海の底に沈んだ後も必死でもがく

或いはその後は、他の魚の餌として生きながらにして突かれていくのかも知れない

そんな、サメの映像が可哀想でならなかったし

それが同じ人間の所業だとは思えないほど残酷なものだった

あまりに酷過ぎる光景

僕らもフカヒレを食べる

しかし、フカヒレを食べるのが悪いとかそういう話ではない

こんな獲り方が果たして許されていいのだろうか

オーストラリアは日本に「捕鯨をやめろ」というが

生命の尊厳を否定するかのようなこの行為は決して許されるものではない

46億年前に誕生した地球を人間は人間の一生ほどの短い時間で破壊しようとしている

ありとあらゆる自然界のバランスが人間によって崩れようとしている

映画の冒頭で「海って何?」と少年が疑問を投げかける所からこの映画ははじまる

海とは何か?

改めて考えさせられる作品である




【作品について】
構想10年、撮影期間4年、使用したフィルムは470時間――『WATARIDORI』で観る者を魅了したジャック・ペラン(『ニュー・シネマ・パラダイス』や『コーラス』の名優としても知られている)が、世界中の海を取材したネイチャー・ドキュメンタリー。世界50か所で、100種類以上もの海洋生物を撮影。超一流のカメラマンたちが奇跡の一瞬をとらえるために、執念と努力を重ねた末に撮影された映像の数々が映し出される。本作のために開発された最新の撮影技術を駆使してとらえられた決定的な瞬間は美しく、そして驚異的だ。特にステディカムのスピーディーな映像は、まるで魚になったかのような臨場感で楽しませてくれる。

画期的な映像システム(猛スピードで泳ぐ魚たちをまったくブレずに撮影できる、世界に一台しかないステディカム)を駆使して、北極海から南極海、サンゴ礁に彩られる美しい海に、冷たい氷で覆われた海など、世界各地の海にいる生物たちの姿をとらえる。猛スピードで泳ぎ、ジャンプするイルカ、ゆっくりと海の底へと沈んでいくマンタ。光のない海底にまで、そこで生きる命は存在している。


原題: Oceans
監督: ジャック・ペラン、ジャック・クルーゾー
製作総指揮: ジェイク・エバーツ
製作: ジャック・ペラン、ニコラス・モベルニー
脚本: ジャック・ペラン、ジャック・クルーゾー、フランソワ・サラノ、ステファン・デュラン、ロラン・ドゥバ
音楽: ブリュノ・クーレ
編集: バンサン・シュミット、カトリーヌ・モシャン
日本語吹替え版ナレーション: 宮沢りえ
製作国: 2009年フランス映画
上映時間: 103分
配給: ギャガ
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