外に無く、内に有ること。

美を感じること、自然に生きること。

中世からルネッサンスへの転換点

2010-03-22 07:55:17 | 日記


昨日の「フーケ」では彼の良さは全く伝わっていないと思い、今日はジャン・フーケのパート2です。
「乳房論・乳房をめぐる欲望の社会史」、この表紙を飾るのが、フーケの「聖母子」。

私は人体に関するイラストを描く仕事をしているので人体全般の資料を集めています。
そうすると美術との接点は裸体画ということになってくる。
ルネッサンスは中世の記号のような人体表現から現実感のある人体へと変革していく。
そのなかで重要なのがこの絵、解説には「この作品は、中世の聖なる乳房からルネッサンス期の性的な乳房への転換点となった。」とある。

問題はこのモデルがシャルル七世の愛妾、アニエス・ソレルだということ。
シャルル七世といえば、ジャンヌ・ダルクに助けられ、そして見捨てたフランス国王として有名だ。
若い頃は、ジャンヌ・ダルクによって王位を得て、後にアニエス・ソレルの勧めでノルマンディー奪回を成し遂げ、勝利王と呼ばれる。
女性の助けで全てを手に入れた男ですが、最後は息子からの毒殺を怖れて餓死したといわれているから、ちっとも羨ましくはないぞ。

こんな重要な絵を描いたのがジャン・フーケ、これでファブリの100冊に入ったのがお分かりでしょう。
でも私が気に入っているのは、やはり人物描写が人形みたいでカワイイところ。
乳房も完全に球体で硬質だし、キリストや天使も無表情なのもイイ。

この絵を見て、アレッと思った方、この時代はオデコが広くて、乳房は小さくて間が離れているのが美人とされてたんですって。
本当に美しさの基準は、個人でも時代でも、移り変わるものなのですね。