稽古なる人生

人生は稽古、そのひとり言的な空間

外国人に教えられた事

2017年03月08日 | 剣道・剣術
六段を目指していた頃の話である。
稽古が終わって袴を畳んでいたら剣友の英国人のJM氏から、
「粕井さん、それじゃ六段は通らないよ」と指摘された。

当時、袴は正式に畳んだことはなく適当に畳んで紐はくるくる巻いていたのだ。
剣暦だけは何十年も経ってはいたが、正式な袴の畳み方を知らなかったのだ。

ズバリ指摘されて「悔しい+恥ずかしい」で笑って誤魔化した。
事務所に戻ってパソコン開けてyoutubeで「袴の畳み方」を検索した。
動画を何回も見て畳めるようになった次第。
今の世は便利だ。今まで誰にも教わらなかった事が簡単に(内緒)で学べる。
それからやっと人前でも恥をかかずに袴が畳めるようになった。



それからもう一つ学ぶべき点がある。
英国人のJM氏も、RS氏も、着装が立派なのだ。
いつも胴着の上から角帯を締めている。袴の着け方も良い。
得てして外国人のほうが日本の武道文化を真摯に学んでいる場合が多いものだ。

それに反して日本人できちんと袴を着けている剣士は少ない。
あまりにひどい人には個別に教えているのだが、
四段や五段になっても着装が出来ていない人を結構見かける。

胴着の紐の位置をまず見直そう。
これが合っていないとどう頑張っても着崩れた感じになる。
ようするに胸元が開いた状態になるのだ。
紐の位置は裁縫が出来るのなら簡単に変えられる。
(着崩れ防止に胴着はあえて小さめを買うという人も多い)

胴着の着方は胸を張って姿勢正しく巻き付ける。
背中丸めて下を向いたままだと背中に膨らみが出来てしまう。
下帯はあったほうが良い。安定感が違う。
私の場合は居合用の黒い帯を使う。簡単だから。
下帯を付けたら背中の膨らみや弛みなど無いように伸ばしておく。

袴は文章では書きづらいので体験談を書く。
袴は腰で着けるように気をつけていたが、いつも稽古中にズレ上がってくる。
当時はyoutubeなど無いから袴の着け方は自己流である。

ある時、三船敏郎の映画、用心棒だか椿三十郎だかを見ていたら、
前紐を後ろで交差して前に持ってきた時に片方を裏に返している。
この返す部分が左腰の腰骨部分だったのだ。

これを真似て、返す時は左腰の腰骨部分とした。
もちろん反対側も右の腰骨部分を通るラインにした。
こうすると腰骨で安定してズレることはほとんど無くなる。
位置的にも下のほうになり、全体的なシルエットも良くなるのだ。


(隠れて見えないが、赤丸部分で交差して片方を返している)

改めて今、youtubeを見てみると、全部ではないが、
同じように着付けるものがあった。

いつぞやに長正館の井上館長から教わったことは、
袴は左足から入れること、
腰板が傾いたり片方に寄ったりするのは見っとも無い、
腰板の紐は、前紐の上から下に通してから前に持って来ること、
通したあとに腰板の片寄りを点検すると良い、
裾は、必ず前が下がって後ろが上がること、逆は品や位(くらい)が無くなる、
である。

着付けは一朝一夕で身に付くものではない。
普段の稽古から気をつけて、常に位(くらい)を意識して欲しいものである。
コメント (2)
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