不思議な現象がある。
私の周りにはミリタリーベレーをクソダサ
被りしている人が一人もいない。
広島のサバゲの人たちも岡山のサバゲの人
たちも皆が皆ビシッとかぶっていた。
これは見ていてもスカッとした。自堕落
なダサマンがいないからだ。
ベレーはズボ被りではないので私はミリ
ベレの正規の着用法に関しては「かぶる」
と表現している。頬被りのように被るので
はなく、侍烏帽子のように冠るのがミリタ
リーベレーだからだ。
侍烏帽子も頭に載せるのではない。きちん
と前を下げて目深にかぶるのだ。決して浮
き上がりや無様な膨らみの様態は見せな
い。
侍の烏帽子も、前を上げて後ろを下げる
だらしないかぶり方をする武士などいな
い。
ミリタリーベレーも武人の帽子ゆえ、だら
しなく被るのは最悪だし、着装規程に反す
る。ミリベレのみは、「どう被ろうが俺の
勝手だろうが」というのは存在しない。
スーツでネクタイは首に巻いて真ん中に
垂らすというのが決まり事であるように、
ミリタリーベレーにも外してはならない
決まり事がある。
(後三年形の侍烏帽子)
そして、笑えた。
うちのMCにはマシンを下りた時にキャップ
ではなくミリタリーベレーを愛用する人が
何人かいるが、誰もがビシッとミリベレの
セオリーを一歩も外さずに、まるでミリタ
リーベレー発祥の本場の英軍兵士のように
かぶるのだ。
これまた、私がこれこれこうだよと直に
手ほどきしたのではないのに全員キメて
いる。
思うに、その人たちはみんな被服の着装
に無頓着ではない、ということだろうね。
クリームソーダの店長の高橋誠一郎さんが
ハーレーに跨ってミリベレをキメてる写真
を以前私にくれたが、誠一郎さんはアパレ
ルの人なのでミリベレかぶりとて外さな
い。
しかし、ファッション関係者ではない人
たちもミリタリーベレーをさりげなくきち
んとキメてかぶっているのを見ると、それ
はもう見ていても気持ちが良いもんです。
スパッとスカッと爽やかスッキリ。
ミリタリーベレーは軍人以外では自由着装
だが、その着用法自体は自由ではない。
自分で自分に厳しく律を実行する。
これは古流武術では「身の規矩」と呼ぶ。
しかし、それを選ぶのは自由なのだ。
自堕落でだらしない被り方をするか、きち
んと凛としたかぶり方をするかは自由なの
である。選ぶのは自分だ。
私の周り、ベレー着用でこういう被り方を
している人は皆無だ。