渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

見えてしまう裏側 ~表現描写~

2023年09月22日 | open




作画者、映像制作者は自らの
表現により自らの質性を暴露
してしまう事がある。
例えば、1960年代~1970年代
末期に大人気を博し、さらに
今世紀に入ってからもファン
の支持が熱い漫画『ワイルド7』。
この作品は社会ドラマであると
同時にオートバイを主人公たち
が操る事を克明にフィクション
を交えながら描いて大人気
アクション漫画となった。
それはもう日本のみならず世界
の日本漫画文化の金字塔として。

だが、原作者の望月三起也先生
は戦争物でも克明に銃器や航空
機や車両等の兵器を描くが、
デフォルメとは異なる誤描写
も多い。
そして、それは、「確かな知
の欠落」が反映したものだ
いう事が残念ながら見えて
しま
う。
望月先生ご自身が「月間望月
三起也」サイトでも仰って
いたが、『ワイルド7』の飛葉
が愛用するコルトウッズマン
にずっと右側の排莢ポートを
スライドに描いていた点など
は典型だ。ウッズマンはワル
サーP38のようなオープン遊底
であったのに。

望月先生は「できる事なら
描き直したい」とも言って
いた。
だが、それらは資料不足の
為で致し方ない。
AR-15が水に浮くとか(「爆破
105」)、現実にはあり得ない
事は非常によろしくないだろ
うが。『ドーベルマン刑事』
のシングルアクションのスイ
ングアウトとか。
そういうのは論外だが、ウッズ

マンのスライド排莢ポート描き
は、当時の資料不足だったと
いえるだろう。

望月先生はご自身はオートバイ
には乗らなかった人なのだろう
と思う。
例えば上掲のレストランVON
でのワイルドたちのオートバイ
だ。
飛葉のホンダCBは右にサイド
スタンドが出ている。
こうしたオートバイは無い。
サイドスタンドは左側にある。
これは右側通行の国でも。
乗馬の際は日本のみは武士は
刀を左腰に差したので馬の
右から乗馬する。西欧は左
からだ。
その流れで二輪も左から乗車
する。センタースタンドが
あっても左から乗車であるし、
サイドスタンドは左側にある。

そして、さらにちょっとマニ
アックな事でオートバイに
乗らない人は知らない事だろ
うが、サイドスタンドを出した
オートバイのハンドルは左に
切らないと安定しない。
上掲の望月先生の画で、VON
の店前に停めているワイルド
のオートバイでハンドルを左
に切っているメンバーはゼロ
である。
これはマニアックなところで
は、オートバイのプロの仕草
が描かれているとはいえない。
多分、職場のアシスタント等
のスタッフにも実際のオート
バイ乗りは一人もいなかった
のではなかろうか。
本物の乗り屋から見たら、非常
におかしい、珍妙な図柄となっ
ているのである。

表現者は、自己の内実が出て
しまう事がある。
表現者は、自分が描く世界に
ついて、実は自分こそが斯界
のオーソリティであらねば
ならないのだ。
ベレーをかぶる職業の人は
まともにベレー帽をかぶれる
ように、とか(笑)。

日本刀の扱いなどは、玄人か
ド素人かは即判る。
これは表現芸術としてではなく、
武術として日本刀を扱っている
場合。
表現芸術でも「刀について無知
だな」というのは即見えるが。
日本刀の場合、ド素人の無知な
者ほどホンモノぶりたがる傾向
があるのがおかしい。
しかし、著しく本物とはかけ

離れて悉くダダ滑りなのだ。
外国人のド素人マニアが日本の
ニンジャやサムライを真似して
いるよりもひどい様相を日本人
が見せたりしている。
極めて無様でみっともない。
そして、それらの種族の特徴は
オラオラ族である事だ。
くだらない。
本物の武士の流れとは無縁だ。


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