渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

薬莢ごと飛ぶ謎のルパン三世の描写

2023年05月26日 | open



アニメ『ルパン三世』(1971〜)
の第一シリーズでは、銃弾が
薬莢ごと飛ぶシーンが多い(笑
何をやってる作画者!という
感じなのだが、これは後年の
読者が大騒ぎとなった『ドーベ
ルマン刑事』のシングル・アク
ション・リボルバーのスイング
アウトと同じくらい「やっては
いけない間違い」だっただろう。
ルパンをタイムリーに観ていて、
小学生でも「なんだあれ?」と
クラスで話題になった程だった。
弾頭とケースが一緒に飛ぶなど
というのは、飛行機が滑走路
ごと飛ぶのと同じで、あり得な
からだ。

だが、実際には、似たような
システムの銃弾はあった。
厳密には、弾頭が薬莢の役目も
果たしているタイプだ。
それはロケットボールと呼ばれ
るもので、金属薬莢が実用化さ
れる以前の過渡期の銃弾だった。



発射薬の容量に限界があり、
威力は低かった。
やがて、金属薬莢のパテントを
持ってコルトに売り込んだホワ
イトはサミュエル・コルトに門
前払いされた。
そこでS&Wに売り込むのだが、
S&Wはパテントにロイヤリティ
を支払う契約をし、後に全ての
特許権を取得する。
そして、現代にまで続く金属薬
莢の黄金時代をS&Wが築くの
だった。
コルト社は黒色火薬と弾頭の
別々の装填方式にこだわって
いたために大きく出遅れた。
S&W社の金属薬莢パテントが
切れてからようやく自社製品
で金属薬莢式の銃を作る事が
できた。
それが1872年完成のSAAだ
った。

それ以前から、コルトは自社
純正ではなく、社員が個人的
にカスタムしたという名目で
パーカッション式を金属薬莢
式に改造したコンバージョン
モデルを作っていた。
ロイヤリティをS&Wに支払う
形で。会社ではなくあくまで
建前は個人がやってるとして。
コルト・コンバージョンモデル
はかなりの人気があり、無縁
火薬が一般化する1890年代
までアメリカでは広く使われて
いた。

ドク・ホリディの使用していた
実銃個体。
金属薬莢コンバージョンである。


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