雀牌（じゃんぱい）

麻雀をやる人間は誰でもできる
事に「盲牌（もうぱい）」とい
うのがある。
これは麻雀牌を握って親指で
刻印面に触れただけでどの牌
であるか瞬時に判る事をいう。
麻雀やる人間は誰でもその能力
がある。

ただし、厳格なルールの基では
盲牌などは必要ないし使うシー
ンが無い。
なぜならば、自分より左手の
下家（しもちゃ）の打ち手の
人が牌を場に捨てて手を離し
てからが自分の番で、それ以
前にツモ（場の牌を持ってく
る事）をしてはいけないのが
本当のルールだからだ。
だが、麻雀を打つ殆どの人が
盲牌が出来る。
なぜか。
それは、仲間内ルールなどで、
極端ではない先ヅモ（相手が
牌を捨てる前にツモって来る
事）を暗黙の了解として認め
ているケースが多いからだ。
正式な麻雀勝負などでは先
ヅモはダメだが、ローカルで
顔なじみメンバーなどの時は
先ヅモが黙認されている。
その時、先ヅモで牌に触れた
瞬間に誰かがポンをして、ツ
モりかけた牌を積まれた牌の
山に戻す時に、すでに触って
いるので、目で確認しなくと
もその牌が何であるかを把握
できる。
これ、完全にルール違反なの
だが、軽微な違反として仲間
内麻雀などでは認められてい
る。
大体、半荘（はんちゃん。4人
で親が持ち回り2周の8局やって
1ゲームの締め＝はんちゃん）
で30分程で終了する。早い。
東場4局、南場4局で15分ずつ
だ。1局4分程。
3人打ち東風戦のアリアリル
ールなどの場合はもっと早い。
ビール飲む間も無い。

ただし、正式な麻雀は先ヅモ
禁止だし、もっとかなり時間
がかかる。
ツモってから手牌を切るまで
は凡そ5秒以内だが、それでも
仲間内麻雀などよりは遅い類
になる。仲間内麻雀はツモっ
てから捨てるまで一連の動作
のように行なっている。
麻雀は常に場の動きと手牌の
無数の組み合わせを頭で考え
ているゲームだが、自分の番
が回って来るまでも常時考え
続ける。
見えない場の山の牌の配置だ
けでなく、他の者たち3名の
手牌を読み、さらにその打ち
手たちの仕草や表情や手や指
の動きの変化も読み切って戦
局状況を正確に把握する。
無論、誰が今何点点棒を保持
しているかも当たり前の事だ
が完全把握している。

麻雀をやると麻雀バカには
なるが、馬鹿では麻雀はで
きない。
ただし、麻雀には決定的な
欠点が二つある。
その一つが、賭博である事。
しかし、これは次期検事総長
候補だった者さえも賭けマー
ジャンマニアで更迭された事
もあったほど、日本社会では
黙認の違法賭博だ。
現にその検事総長候補だった
人間は逮捕もされず、退職金
も満額支払われた。
だが、漫画家の蛭子能収さん
が逮捕されたように、民間人
が賭け麻雀をやったら、警察
や検察は勝手次第に逮捕留置
できる。検察トップが賭博を
やっても立件どころか捕まえ
もしない。
まあ、日本の権力構造などは
そんなもんだ。程度はたかが
知れている。

麻雀のふたつめの欠点は、収
益問題だ。
これは四人のうちの誰かの
持ち金をゲームで取るだけ
しか収益原資がない。
つまり、全員の持ち金が20万
円だとしてそれを奪い合うだ
けなのだ。点数も無限ではな
くハコ点といって、負けの上
限が半荘ごとに決められてい
る。芸能人たちの闇麻雀のよ
うにハコで30万（めったにな
いが、独り勝ちで他3名を全員
ハコ飛びにさせたらたった半荘
で90万円の勝ち。芸能人たちは
都心部の闇の鉄火場で35年前
そういう麻雀を打っていた。
それを一晩朝までやる。どれ
だけの金が動くのか。有名女
優大御所やお笑い界の大御所
などはそうした現場で打って
いたのを私は現認している）と
かみたいにレートが高くなけれ
ば、負けの上限が決まっている
ので、さしたる金員の動きはな
い。学生麻雀などはレートが低
いので、大きく勝っても3000円
程度だ。
45年前の学生で3000円は爆勝
ち(笑
ただし、その収益は、参加メン
バーが持っている金を獲るだ
けなのだ。極めて非生産的。
恒常的な増収増益を計画的に
実行する生産活動とは無縁な
ところにある。
これは博打全般がそれ。
人の持っている金をいかにむ
しり取るかによって成立して
いるのが賭博だ。
賭博は社会を滅ぼす。
収益構造が侵略性のみに依存
していて、自己拡張の生産力
増加による増収構造を排除す
るからだ。
非生産的であり、非建設的で
あり、反社会的なゼニカネ転
がしがバクチなのだ。

あらゆる賭博で蔵は建たない。
身を亡ぼすだけだ。
法律で禁止されているから云々
以前にバクチはやめておいた
ほうがよい。
なお、日本の判例では、勝負
事に食事代やコーラ代を賭け
る程度のものは博打とはされ
ていない。
「よ～し、昼飯賭けて勝負だ」
というのはバクチには相当し
ないという判例がある。

バクチであるというネックは
あるが、日本式麻雀こそは世
界一奥が深く面白い対戦ゲーム
だと私は思う。
いや、世界一は日本将棋かも。

どの麻雀牌が一番好きか。
盲牌で私が一番好きなのは中張
牌（チュンチャンパイ）の六索
（リューソー）だ。スッと気持
ちいい。
牌全体では萬子（ワンズ）と
呼ばれる字牌（じはい）が好き。
友人とどの牌が好きかという話
になった時、ある奴は言ってた。
「白板（パイパン）！」と。
理由を問うと「盲牌に外れ無し。
外れようがない」と(笑
パイパンは白（しろ、ハク）と
かも呼ばれたりする。
剣豪小説家峰隆一郎が好きな牌。