「女性は血の道」いわれます。これは女性の体質は、特に血の状態がよいことが健康体を維持できることだということを示唆しています。もちろん男性にも血は必要でありますが、男性の場合は血のことよりも気という概念で観ることも多いようです。見るというよりも、敢えて「観る」という言葉を使います。
漢方医学の原典では、人体を流れる生命力のようなものと液体類を気と血(けつ)の2つに、或は他の原典によっては、これを気、血(けつ)、津液(しんえき、人体の血のように赤くはない色の液体)の3つから人体を観ることになります。
これに陰陽、五行などの東洋哲学から来る宇宙観とか人体観を主にして、人の体を天地の理と適合しているかどうかなどを含めて、診断をしてゆきます。
もちろん、患者さんは現代的な病名を医師に診断されて来院する方も多いので、現代的な解剖、生理、病理学の知識も必要になります。日本の鍼灸学校では、これらを全部学ぶことになり、実際のご遺体の解剖も行われます。
米国の東洋医学校で教え始めて驚いた事は、解剖学の授業がたったの半年間で、実際のご遺体に接する事もなく終る事でした。
さて、本日はこの気、血、津液の中の、「血(けつ)」を主にしたお話をしたいと思います。
1.東洋医学的には血の関連の病は、血が少ないという状態を「血虚(けっきょ)」といいます。英語でBlood deficiencyと表現します。
これは西洋医学的な貧血とも同じである部分も多いのですが、それ以外の意味合いがあります。
西洋医学的には、「貧血」は物理的に血が足りない、赤血球のヘモグロビンが酸素を捕まえる効率が悪いなどの状態を指します。
東洋医学的には、確かに血自体も少ないのですが、その血に含まれる「陽的な気」も血の中の液体成分である「津液(しんえき)」どちらも少なくなっているので陰陽共に虚している。という意味合いになります。
この状態から派生してできた病は、これらが補われる事によって、体が温まり、各臓器が潤されて、頭寒足熱の状態になって、結果的に病の元が断たれるということになります。
血虚で起りやすい症状を挙げますと、生理痛、生理不順、冷え性、不妊症、めまい、頭痛、元気がない、その他諸々の症状があります。
代表的な漢方薬は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)です。
また、鍼灸でいうと、お灸が血を補うのに適していて、特に足の三陰交(さんいんこう)などに毎日インスタントお灸をする事によって、ご自分でも治療することが可能です。
2.瘀血(おけつ)という概念が、上記の「虚血」と共に重要な要素です。
瘀血とは血の滞りということです。これは交通事故や手術、ご出産、中絶、ガチンコ勝負の格闘技を長く続けた、などでショックを受けたり傷を作ったりしたあとに、その後のケアが悪かったために起る状態です。また、大変なストレスをうけても気分がギュウーっと固まって、瘀血が発生します。英語ではBlood stasisと表現します。
しかし、瘀血は誰の体にも大なり小なり存在します。それがアンバランスを引き起こすほどの比率になったときに、体調の乱れや、名前のつく病気の状態になります。
瘀血で起る病名を列挙してみますと、古傷の痛み、頭痛、めまい、吐き気、うつ症状、不妊、お肌のシミ、便秘、耳鳴り、生理痛、生理不順及びその他諸々の症状があります。上記の「虚血」で起きる同じ名前の病気もあるのですが、その背景が異るわけです。
代表的な漢方方剤は桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、桂枝龍骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)などです。
もし、インスタントお灸で経済的に自己治療をしたい場合は、先ほどの三陰交(さんいんこう)と曲泉(きょくせん)を使うとよろしいでしょう。
まず、多くの方々、特に女性には程度の差は別にして、必ず瘀血があると考えられます。そこで、健康管理、体質改善、病気の予防として、瘀血治療を薦めています。
これは、別に何の病気が無くてもはじめられる、女性や古傷を持つ方の健康法として使える漢方療法です。
桂枝茯苓丸 (けいしぶくりょうがん)を毎日2回服用して、2ヶ月から3ヶ月間様子を見るのです。
もし、便秘がある方は、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)を服用しますと、瘀血タイプの便秘がすぐに改善されます。そして、2-3日便が出たらまた桂枝茯苓丸にもどすのです。
しかし、この桂枝茯苓丸、、まったくもって地味な漢方方剤です。飲んでいても数週間は何が起きているのかわからないのです。例えば加味逍遥散などは、ストレスを感じたりイライラするときにこれを飲むと、20分くらいで「なんだかおちついたな~」 と感じることができますが、これとは大違いです。
しかし、古傷や、手術のあとの不具合や、いつもおもい感じの腰痛などが解消されたり、先に挙げた婦人科の病が消えたり、産後のお体の不都合が大幅に改善されたり、うつ症状が軽くなってまいります。
地味すぎて効いているかがすぐにはわからない漢方薬。。。わたしも自己人体実験をしてみたことがあります。
たしかに、、、地味だ。。でも、2ヶ月ほどしますと、昔怪我をした手首の不具合や、なぜかゲップをするとうずくようになった左手の薬指のいやな感覚が消えました。
しかし、瘀血対策としては第一番に挙げられる、とても頼りになる漢方方剤君です。
特に血の道でいきている女性の方や、事故や手術などで、からだにショックがあった方にはいっそうの効果が期待できます。瘀血が取れてくると、顔のくすみやシミが消えてゆきます。また、少し時間がかかりますが、黒ずんだ歯茎が明るい色になってきます。
ちなみにサンフランシスコにたくさんいらっしゃるゲイのお姉さん方に教えたもらったお話ですが、曰く「わたしたちは人にけなされるのは慣れているのよ。だから、みんなアタシを観て!っていう感じで一生懸命生きているの。でもひとことだけショックな言葉があるのよ。。」とのことでした。その言葉は、「あなた、、、地味ね。。」なのだそうです。彼女たちはおもわず「え!そうなのかしら!?」ってあせっちゃうのだそうです。
あー、、、なんかわかる気がしますね。。。人を傷つけてはいけません。
漢方アメリカOnlineをよろしくお願い申し上げます。
私の記事が載っている月刊誌「はつらつ元気」です。ご参考になさってください。
漢方医学の原典では、人体を流れる生命力のようなものと液体類を気と血(けつ)の2つに、或は他の原典によっては、これを気、血(けつ)、津液(しんえき、人体の血のように赤くはない色の液体)の3つから人体を観ることになります。
これに陰陽、五行などの東洋哲学から来る宇宙観とか人体観を主にして、人の体を天地の理と適合しているかどうかなどを含めて、診断をしてゆきます。
もちろん、患者さんは現代的な病名を医師に診断されて来院する方も多いので、現代的な解剖、生理、病理学の知識も必要になります。日本の鍼灸学校では、これらを全部学ぶことになり、実際のご遺体の解剖も行われます。
米国の東洋医学校で教え始めて驚いた事は、解剖学の授業がたったの半年間で、実際のご遺体に接する事もなく終る事でした。
さて、本日はこの気、血、津液の中の、「血(けつ)」を主にしたお話をしたいと思います。
1.東洋医学的には血の関連の病は、血が少ないという状態を「血虚(けっきょ)」といいます。英語でBlood deficiencyと表現します。
これは西洋医学的な貧血とも同じである部分も多いのですが、それ以外の意味合いがあります。
西洋医学的には、「貧血」は物理的に血が足りない、赤血球のヘモグロビンが酸素を捕まえる効率が悪いなどの状態を指します。
東洋医学的には、確かに血自体も少ないのですが、その血に含まれる「陽的な気」も血の中の液体成分である「津液(しんえき)」どちらも少なくなっているので陰陽共に虚している。という意味合いになります。
この状態から派生してできた病は、これらが補われる事によって、体が温まり、各臓器が潤されて、頭寒足熱の状態になって、結果的に病の元が断たれるということになります。
血虚で起りやすい症状を挙げますと、生理痛、生理不順、冷え性、不妊症、めまい、頭痛、元気がない、その他諸々の症状があります。
代表的な漢方薬は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)です。
また、鍼灸でいうと、お灸が血を補うのに適していて、特に足の三陰交(さんいんこう)などに毎日インスタントお灸をする事によって、ご自分でも治療することが可能です。
2.瘀血(おけつ)という概念が、上記の「虚血」と共に重要な要素です。
瘀血とは血の滞りということです。これは交通事故や手術、ご出産、中絶、ガチンコ勝負の格闘技を長く続けた、などでショックを受けたり傷を作ったりしたあとに、その後のケアが悪かったために起る状態です。また、大変なストレスをうけても気分がギュウーっと固まって、瘀血が発生します。英語ではBlood stasisと表現します。
しかし、瘀血は誰の体にも大なり小なり存在します。それがアンバランスを引き起こすほどの比率になったときに、体調の乱れや、名前のつく病気の状態になります。
瘀血で起る病名を列挙してみますと、古傷の痛み、頭痛、めまい、吐き気、うつ症状、不妊、お肌のシミ、便秘、耳鳴り、生理痛、生理不順及びその他諸々の症状があります。上記の「虚血」で起きる同じ名前の病気もあるのですが、その背景が異るわけです。
代表的な漢方方剤は桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、桂枝龍骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)などです。
もし、インスタントお灸で経済的に自己治療をしたい場合は、先ほどの三陰交(さんいんこう)と曲泉(きょくせん)を使うとよろしいでしょう。
まず、多くの方々、特に女性には程度の差は別にして、必ず瘀血があると考えられます。そこで、健康管理、体質改善、病気の予防として、瘀血治療を薦めています。
これは、別に何の病気が無くてもはじめられる、女性や古傷を持つ方の健康法として使える漢方療法です。
桂枝茯苓丸 (けいしぶくりょうがん)を毎日2回服用して、2ヶ月から3ヶ月間様子を見るのです。
もし、便秘がある方は、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)を服用しますと、瘀血タイプの便秘がすぐに改善されます。そして、2-3日便が出たらまた桂枝茯苓丸にもどすのです。
しかし、この桂枝茯苓丸、、まったくもって地味な漢方方剤です。飲んでいても数週間は何が起きているのかわからないのです。例えば加味逍遥散などは、ストレスを感じたりイライラするときにこれを飲むと、20分くらいで「なんだかおちついたな~」 と感じることができますが、これとは大違いです。
しかし、古傷や、手術のあとの不具合や、いつもおもい感じの腰痛などが解消されたり、先に挙げた婦人科の病が消えたり、産後のお体の不都合が大幅に改善されたり、うつ症状が軽くなってまいります。
地味すぎて効いているかがすぐにはわからない漢方薬。。。わたしも自己人体実験をしてみたことがあります。
たしかに、、、地味だ。。でも、2ヶ月ほどしますと、昔怪我をした手首の不具合や、なぜかゲップをするとうずくようになった左手の薬指のいやな感覚が消えました。
しかし、瘀血対策としては第一番に挙げられる、とても頼りになる漢方方剤君です。
特に血の道でいきている女性の方や、事故や手術などで、からだにショックがあった方にはいっそうの効果が期待できます。瘀血が取れてくると、顔のくすみやシミが消えてゆきます。また、少し時間がかかりますが、黒ずんだ歯茎が明るい色になってきます。
ちなみにサンフランシスコにたくさんいらっしゃるゲイのお姉さん方に教えたもらったお話ですが、曰く「わたしたちは人にけなされるのは慣れているのよ。だから、みんなアタシを観て!っていう感じで一生懸命生きているの。でもひとことだけショックな言葉があるのよ。。」とのことでした。その言葉は、「あなた、、、地味ね。。」なのだそうです。彼女たちはおもわず「え!そうなのかしら!?」ってあせっちゃうのだそうです。
あー、、、なんかわかる気がしますね。。。人を傷つけてはいけません。
漢方アメリカOnlineをよろしくお願い申し上げます。
私の記事が載っている月刊誌「はつらつ元気」です。ご参考になさってください。
より詳しいことを把握させていただくために、問診票を送付いたします。
私にメールをいただければ幸甚です。
japanesemedicine@gmail.com
(西洋医学=レントゲンでは異常なしです)
日によっても変わるので、一喜一憂 右往左往していたのですが、
>2ヶ月から3ヶ月間様子を見るのです
のお言葉が目から鱗でした。
自分でのお灸も始めてみました。
ありがとうございます。
瘀血を駆逐する漢方薬も大変よろしいのですが。ご自分でせんねん灸などで自己参加型の治療をおこのうことは、大変よろしいことです。
インスタントとはいえ、お灸は下手な鍼よりもずっと効果が出ることが多々あります。
楽しんでお続けくださいね。