「1972年冬、米国のニクソン大統領が中国を訪問した際に、中国政府は彼に「偉大な中医学」を見せ付けるために、鍼麻酔をかけられて脳の開頭手術をしている患者の意識がはっきりしていて、手術中に医師と会話をしていたり、みかんを食べさせてもらっている場面を公開しました。そこで仰天したニクソン氏は早速米国でも鍼灸医学校の設立のために尽力をした。」かくて中国の対米宣伝工作は勝利のうちに結束したということになっています。
もう一説では、「ニクソン大統領訪中の際に同行したニューヨークタイムズの記者が虫垂炎(盲腸炎のこと)にかかり、それを鍼麻酔で手術をおこなったことを自身の記事で報道したことから爆発的に広まったとされているが、真実は手術後における違和感や疼痛の改善であったことはよく知られている。(Wikipedia抜粋)」
要は米国における東洋医学は、そのときより正式な学問として認められ、学校設立と免許制度の確立が速やかに行われたといわれています。特に鍼麻酔が強調されて鍼灸の存在が明らかにされていった経緯は、残念ながら東洋医学本来のあり方から少しずれてしまっているのが現状です。
鍼の技術を「麻酔」の必要な手術ために使うということがすでに、東洋医学というより西洋医学的使用法となっているのです。それはそれで大いに役に立っていたのですが、こんにちでは本場中国で鍼麻酔が使われることはあまりありません。それは大事故が相次いだからです。
当時「米国大統領を仰天させ、勝利のうちに中国優位の外交路線の展開を実現した!やはり共産主義は永遠に光芒を放つのだ!」と過剰認識した中国共産党指導部はそれこそ猫も杓子も鍼麻酔はすごいと沸きかえり、数え切れないほどの鍼麻酔を併用した外科手術が行われました。鍼麻酔の特典は患者の意識がある状態で手術ができるということです。とくに歯科医学には多大な貢献をいたしました。術後の患者の経過もよく、大変結構なものでした。
ところが消化器科の手術では、問題が出てきたのです。私たちも鍼灸学生時代に西洋医学の生理学の授業で学んだのですが、管空臓器と言われる臓器(いわゆる管になっている臓器でおもに食道から胃、十二指腸、小腸、大腸をなど)は切りつけられる刺激には至極鈍感ですが、伸展刺激(引っ張られるということ)には大変敏感です。
これは例えばお医者さんが患者のおなかを開いて、メスでちょっと胃の表面を傷つけても痛みはあまり感じないことになっています。しかし胃や腸を間違って引っ張ったりねじったりした場合は、激痛を感じるのです。だから「腸捻転(ちょうねんてん)」などの症状は大変苦しいと言われているのです。
その当時、得意満面の中国の病院では、内臓の手術が鍼麻酔を施して行われていたところ、助手が患部をより分ける際に、誤って開腹した患者さんの腸を必要以上の力で引っ張ってしまいました。それまで意識のあった患者は笑顔で毛沢東主席の偉大さをお題目のように唱えていたわけですが、急に全身を貫く激痛が走りました。
激痛とパニックが鍼麻酔を吹き飛ばし、すべての感覚がよみがえります。開腹されたお腹からは内臓が飛び出し、医師たちは必死でこれらをかき集めて腹腔(ふくくう、医学界ではふくこうとはよみません)に収めて縫合を始める。
事態が収まって、緊急で使用した西洋の麻酔薬が聞くまで、患者はもがき苦しみ、絶叫し続けたのです。外国人記者はあまりの惨状に嘔吐を繰り返しました。
こういった事態があまりにも多発したので、現在の中国では鍼麻酔だけによる手術は稀だそうです。ひとつの方向に盲目的になだれのように動いてしまう、共産主義国の弊害が露呈した事件でした。
しかし皮肉なことに、この鍼麻酔が純粋な東洋医学とはいえないまでも、世界中にいわゆる「中医学」を知らしめる絶好の機会となったのです。
でも、鍼麻酔ってなんでしょう?
これは当時の中国医学とロシア医学の合体された産物と考えられます。
具体的には歯の痛みを止める場合、手と肘と膝などのツボに太い鍼を打って、電気を通します。刺激はパルス通電といわれるもので、薬屋で売っているオムロンなどのべたべたしたパッチを貼って機械のスイッチを入れると、ピクッピクッと筋肉が動くあのマッサージ機と似ています。
この刺激を「侵害刺激」といいますが、これを15分以上続けると、脳内からエンドルフィンという物質が分泌されて、意識がなくなることなしに、鎮痛作用が発揮されることになっています。
こういう西洋的な鍼灸技術は、どう使われるかが問われます。
このゲームは絶対に落とせないという、現時点で試合中の野球選手とかには有効でしょう。
しかし、このような痛みをいつも鍼麻酔で止めていたら、その患部は治っているわけではないので必ず壊れてしまいます。痛みによる歯止めがきかなくなっているからです。
その試合中は鍼麻酔で痛みをぼかして続投し、試合が終わったらきちんと根本治療から始めて治すことです。
しかしながら伝統鍼灸には、太い鍼や電気を使わなくとも十分に痛みに対応する治療法が存在します。
同じ症状を治療するならば、できる限り治療自体が痛くなくて、危険を伴わない方法をとるべきでしょう。
もう一説では、「ニクソン大統領訪中の際に同行したニューヨークタイムズの記者が虫垂炎(盲腸炎のこと)にかかり、それを鍼麻酔で手術をおこなったことを自身の記事で報道したことから爆発的に広まったとされているが、真実は手術後における違和感や疼痛の改善であったことはよく知られている。(Wikipedia抜粋)」
要は米国における東洋医学は、そのときより正式な学問として認められ、学校設立と免許制度の確立が速やかに行われたといわれています。特に鍼麻酔が強調されて鍼灸の存在が明らかにされていった経緯は、残念ながら東洋医学本来のあり方から少しずれてしまっているのが現状です。
鍼の技術を「麻酔」の必要な手術ために使うということがすでに、東洋医学というより西洋医学的使用法となっているのです。それはそれで大いに役に立っていたのですが、こんにちでは本場中国で鍼麻酔が使われることはあまりありません。それは大事故が相次いだからです。
当時「米国大統領を仰天させ、勝利のうちに中国優位の外交路線の展開を実現した!やはり共産主義は永遠に光芒を放つのだ!」と過剰認識した中国共産党指導部はそれこそ猫も杓子も鍼麻酔はすごいと沸きかえり、数え切れないほどの鍼麻酔を併用した外科手術が行われました。鍼麻酔の特典は患者の意識がある状態で手術ができるということです。とくに歯科医学には多大な貢献をいたしました。術後の患者の経過もよく、大変結構なものでした。
ところが消化器科の手術では、問題が出てきたのです。私たちも鍼灸学生時代に西洋医学の生理学の授業で学んだのですが、管空臓器と言われる臓器(いわゆる管になっている臓器でおもに食道から胃、十二指腸、小腸、大腸をなど)は切りつけられる刺激には至極鈍感ですが、伸展刺激(引っ張られるということ)には大変敏感です。
これは例えばお医者さんが患者のおなかを開いて、メスでちょっと胃の表面を傷つけても痛みはあまり感じないことになっています。しかし胃や腸を間違って引っ張ったりねじったりした場合は、激痛を感じるのです。だから「腸捻転(ちょうねんてん)」などの症状は大変苦しいと言われているのです。
その当時、得意満面の中国の病院では、内臓の手術が鍼麻酔を施して行われていたところ、助手が患部をより分ける際に、誤って開腹した患者さんの腸を必要以上の力で引っ張ってしまいました。それまで意識のあった患者は笑顔で毛沢東主席の偉大さをお題目のように唱えていたわけですが、急に全身を貫く激痛が走りました。
激痛とパニックが鍼麻酔を吹き飛ばし、すべての感覚がよみがえります。開腹されたお腹からは内臓が飛び出し、医師たちは必死でこれらをかき集めて腹腔(ふくくう、医学界ではふくこうとはよみません)に収めて縫合を始める。
事態が収まって、緊急で使用した西洋の麻酔薬が聞くまで、患者はもがき苦しみ、絶叫し続けたのです。外国人記者はあまりの惨状に嘔吐を繰り返しました。
こういった事態があまりにも多発したので、現在の中国では鍼麻酔だけによる手術は稀だそうです。ひとつの方向に盲目的になだれのように動いてしまう、共産主義国の弊害が露呈した事件でした。
しかし皮肉なことに、この鍼麻酔が純粋な東洋医学とはいえないまでも、世界中にいわゆる「中医学」を知らしめる絶好の機会となったのです。
でも、鍼麻酔ってなんでしょう?
これは当時の中国医学とロシア医学の合体された産物と考えられます。
具体的には歯の痛みを止める場合、手と肘と膝などのツボに太い鍼を打って、電気を通します。刺激はパルス通電といわれるもので、薬屋で売っているオムロンなどのべたべたしたパッチを貼って機械のスイッチを入れると、ピクッピクッと筋肉が動くあのマッサージ機と似ています。
この刺激を「侵害刺激」といいますが、これを15分以上続けると、脳内からエンドルフィンという物質が分泌されて、意識がなくなることなしに、鎮痛作用が発揮されることになっています。
こういう西洋的な鍼灸技術は、どう使われるかが問われます。
このゲームは絶対に落とせないという、現時点で試合中の野球選手とかには有効でしょう。
しかし、このような痛みをいつも鍼麻酔で止めていたら、その患部は治っているわけではないので必ず壊れてしまいます。痛みによる歯止めがきかなくなっているからです。
その試合中は鍼麻酔で痛みをぼかして続投し、試合が終わったらきちんと根本治療から始めて治すことです。
しかしながら伝統鍼灸には、太い鍼や電気を使わなくとも十分に痛みに対応する治療法が存在します。
同じ症状を治療するならば、できる限り治療自体が痛くなくて、危険を伴わない方法をとるべきでしょう。