私が通っている詠春拳の道場に変った新入生がいます。
40代だろうなあ、、背が高くて痩せていて神経質そうなヨーロッパなまりの白人です。
この人、なんかやたら自分に自信があるみたいなんです、、、
すごく頭がよさそうで、理論がわかっているつもりで、人の動きが気になって仕方がないみたいです。
明らかに先輩である人たちに、なんか教えようとするんですよ。。。。
しかし、彼の場合、基本の立ち方から、基本のパンチや足の運び方がぜんぜんなっていないのです。。。
誰の眼で見ても、恐ろしくへなちょこなのです。。。彼はいつも肩に力を入れて、ひょこひょこと動いています。。
へなちょこなのに、
「キミのパンチはとどいてないねぇ、、」(あんたが受けられそうにないから遠めで止めてんだよ!)
「キミは背が低い分、フットワークを使うべきだ。」(おーきなお世話だ!)
「私がもう少し腕を伸ばしたら、君の顔に私のパンチが入ってしまうよ。」(あんた、間合いって言葉知ってるのかぁ?)
「さあ、来なさい!」(あんた、誰に向かって言ってるの?どれだけ偉いの?技が上手なの?)
「今度はキミがパンチを受けやすいように、ゆっくりとパンチをしてやるからドントウォーリー!」だって、、、、
とまあ、こんな感じのカン違い外人です。
私としてはあまり気に留めてはいなかったのですが、先日、彼と私が組んでパンチと受けの練習をしているときに、彼は「パンチがとどいていないねえ、、」といいながら私の拳にちょんちょんと触ってきたのです。(じょーとーじゃないの!)
ここで「プツッ」という音と共に、天の声が私の頭に響きました「やっちまえ!」
またちょうどよいことに、引き続いて自由組手(自由に技を出し合う練習)の練習時間になったのです。
私は猛然と戦闘態勢に入り、まずは、相手のあごにパンチを一発!肘に余裕を持たせておいて、あごに触れた拳を一旦止めて、軽く10センチほど押し込みました。やればノックアウトパンチですよ、、という意思表示です。
続いて、お腹に一発、鼻の頭とお腹に二発、こんどはこめかみとわき腹に二発、どれも思い切り動いてから体の表面で止めて、軽くですがぐいっと10センチくらい押し込みました。痛くはないが怖い思いをさせたのです。20発近くの攻撃を押し込んでやりました。
相手からの攻撃はすべて軽く受け流して、にらめっこをするくらいの近距離で打ち返します。
蹴飛ばしたらかわいそうなので、蹴りは使いませんでした。
相手は私の攻撃を一つもよけられないでいて、反撃も何もできずにいたのですが、私の拳が急所にはいるたびに、口だけは動くのです。
一発目と二発目が入ると、、「グッド!」(Good!)
三発目、、「ほほーー、ノットバッド!(Oh!Not bad!)
五発目、、、「OK!基礎ができてるな!」(OK! Nice basic!)
やられながら余裕の発言、、あんたは吉本興業の池乃めだか師匠かいっ!
七発目、、「うっ!、、、、」少し痛かったみたいです。。
九発目、、「くそっ!」(Shit!)
表情はかなり怒っている感じです。
ここで私は相手の目を思い切り見据えて、続けます。
十一発目、、、「ジー、、、、」(Zee....)外人がくさってしまった時の声。
十三発目それ以降、、、「、、、、、、、、、、、、、、」
このへんでやっと自分が毎回ノックアウトパンチを受けていることに気づき、怒りの表情から、怯えた表情になりました。
彼はこの後は、もう何もしゃべりません、師匠から「やめ!」の合図があるまでむすっとしていました。
私は極力キューピー顔の「つぶらな瞳?」で相手を見て、決して相手を馬鹿にした表情はせずに、さきほどの相手の態度に合わせて「キミはなってないねぇ」などとは敢えて言いませんでした。
私たち日本人は、ここで「かっかっか!ざまーみろ!生意気言ってんじゃねーぞ!基礎からやりなおせ!」などといって、相手を辱めたりはしないわけです。武士の情です。(本当はそういってかましてやりたかったのですが。。。本音。。)
最後はオジギソウのようにうなだれてしまいました。本当にわかりやすい外人さんでした。気持ちよかったーーー(私って、性格悪いなあ。。。)
あ、いまは道場でこの相手とも仲良くやってますので、ご心配なく。。
外人さんは、相手を認めると妙にフレンドリーになってくるものですね。
ああ、、また大人げない事をしてしまった。。。