荻窪鮫

元ハングマン。下町で隠遁暮らしのオジサンが躁鬱病になりました。
それでも、望みはミニマリストになる事です。

大沢在昌の巻。

2013年02月21日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を
大沢在昌著【語りつづけろ、届くまで】を読了しました。

坂田勇吉シリーズの第3弾でありまして、タイトルの如く前2作に比べアクションより会話が中心となっております。

表紙は本城直季みたいなミニチュアライズ写真。被写体は下町ですかね。

日本一不運なサラリーマンである坂田勇吉も3度目のトラブルって訳で、ビビりながら相手と渡り合うも、かなり場馴れした感があります。

但し、今作は舞台が東京ってのが今ひとつ物足りない。

やはり未踏の地でトラブルに巻き込まれ、偶然知り合った味方の手助けを借りつつ決着をつける、というプロットは守って貰いたかった。

いや、ホントに坂田勇吉シリーズに第3弾があるとしたら海外出張かなぁ、と思っておりましたから。

【闇先案内人】もそうでしたが、物語中盤からこねくり回した会話が中心となり、読み進めるのが難儀になるというのは歳のせいでしょうか。

はっきり申し上げて、全体的にこじんまりした作品ではありました。

とは言え、今回のヒロイン・咲子はいい感じです。

ラストの描写も今後、坂田勇吉との未来を予想させてくれましたし。

【新宿鮫シリーズ】の青木晶がどんどんメス化したので、今一度こういう男前のキャラクターを出したかったのでしょうね。

でも、現実世界もそうですが、こういうオンナ程、いざって時ピーピー泣きわめくんですけど。

一方、【教授】も【姫さん】も只者ではないな、と思ってたら『やっぱりな・・・』という結末でした。

彼らブレーンを配置する事によって物語に幅を持たせたかったのでしょう。

僕は大沢在昌の軽ハードボイルド作品群では【アルバイト探偵シリーズ】よりはこの【坂田勇吉シリーズ】の方が好きです。

なんだかんだ申し上げましたが、まだまだ続いて欲しいシリーズなのです。

第4弾では坂田勇吉が咲子との新婚旅行でトラブルに巻き込まれる、ってのはどうでしょう。

あっ、その前に【鮫】ですよ【鮫】!!!



第1弾【走らなあかん、夜明けまで】は映画化されました。世良正則のケンさん役がカッコ良かった。



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