荻窪鮫

元ハングマン。下町で隠遁暮らしのオジサンが躁鬱病になりました。
それでも、望みはミニマリストになる事です。

根津甚八の巻。

2016年12月29日 | 日毎ニュースに正義の理想を




俳優・根津甚八が亡くなりました。

2010年、右眼下直筋肥大を発症し、俳優業は引退状態でした。

そんな中、昨年ニッポン映画【GONIN サーガ】で一作限りの復活を遂げたのは、記憶に新しかったです。

好きな俳優さんでしたが、今思うとそれほど彼の出演作品は観ていなかった様です。

とにもかくにも、上述の【GONIN サーガ】の前作に当たる、【GONIN】の氷頭要役が僕にとってのベスト。

物語ラスト、モックンと大越組に殴り込みをかけるシーンは最高でした。

【GONIN】は全てのシーンが愛おしいんですけどね。





【あぶない刑事】の前作である刑事ドラマ【誇りの報酬】も忘れられない一作。



いわゆるバディモノでして、相棒は中村雅俊でした。

中村雅俊が1975年に主演した【俺たちの勲章】の10年後をイメージした作品です。

【俺たち~】で中村雅俊の相棒をつとめたのは松田優作。

もちろん、【誇りの~】でも松田優作にオファーは行きましたが、当時はテレビドラマの仕事を優作さんは断っていたので、根津甚八にお鉢が回って来た、という訳です。

【誇りの~】というタイトルもカッコ良いし、ドラマの世界観も良かった。

それだけに【あぶない刑事】ってタイトルが、当時ですら恐ろしくダサく感じたモノです。



【火曜サスペンス劇場】にて放映された【目には目を】も忘れられないドラマです。

工場経営者である根津甚八のひとり娘が、誘拐された上に殺害されました。

しかも身代金も丸ごと取られてしまいます。

悲嘆に暮れた、奥さんの浅茅陽子は自殺してしまうのでした。

ボンクラ警察はあてにならない、とばかりに根津甚八は独自に犯人を追います。

果たして犯人は伊東四朗。

根津甚八から奪った身代金をベースに事業を成功させ、今ではお金持ちになっていました。

さぁ、今度は根津甚八の番。

根津甚八は伊東四朗の娘を誘拐します。

伊東四朗に揺さぶりをかける根津甚八。

もっとも、最後は娘を殺害する事はもちろんなく、リリースしてあげるのでした。

伊東四朗の娘が初潮をむかえ、根津甚八が狼狽えるなどホッコリシーンもあり、実に良いドラマです。

このドラマで、初めてパッヘルベルの【カノン】を聴きました(確か)。

当時は2時間サスペンスでも、キチンとしたドラマ作りがなされていたものです。

今はすっかり、田舎の年寄り相手でしかありませんが。



それにしても、こういう雰囲気と色気がある俳優さんって、ホント少なくなりましたねぇ。

これも時代なのでしょうか・・・。

享年69歳。

ご冥福をお祈りします。



『役者は自分の体を利用して、自分でない人間とその人生を生きるわけだから、それだけ強烈な想像力がなくちゃ始まらないし、人間を見るのが好きで好きで仕方がないくらい、自分を含めた人間への興味、好奇心がなくちゃあ、ねえ』北林谷榮(ニッポンの女優・1911~2010)

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