
普通の気持ちの時にはさらに元気を、やや沈んでいるときには「そんなつまらないことにこだわっていないで。ほらもっと愉しい世界があるじゃないか」と気持ちを引き立ててくれる、そんな一枚----特に1番ヘ長調BWV1046の第4楽章 メヌエット。
ピリオドから(従来の、あるいはこれまでずっとやっていた)伝統的なスタイルまで様々な演奏がある。
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たとえば
レオンハルト盤、アーノンクール盤であったり、あるいはカザルス盤----ルドルフ・ゼルキンや息子のピーターがピアノ(!)やチェンバロを担当していたりする----やブリテン盤などなど。
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ただ、このボッセ盤以外のこの曲(第4楽章のこと)のこのような気持ちになることはない。
2本のホルンが交互に同じ音を同じリズムで呼び交わす。この表情が、決して重くならず、そして機械的という言葉とは正反対の、まさに生まれたてとでもいうようなデリケートさと清冽さを湛える。そこにオーボエあるいはヴァイオリンが朗々とした旋律を歌っている。
聴いていて、ココロを掴まえられ、そしてふわりと浮かせて、前へ進むように促されるような気持ちにさせる。
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ブランデンブルク協奏曲
指揮:ゲルハルト・ボッセ
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス・バッハ管弦楽団
ドイツシャルプラッテン(徳間ジャパンコミュニケーション TKCC-15071