やや粗削りながら、勢いのあるアンサンブルであった。
コントラ・ファゴット(1台)そしてバセット・ホルン(2台)がOBより寄贈されたとのことで、13管が取り上げられた。バセット・ホルンを所有するオーケストラ(しかもアマチュアが)のは極めてレアなケースだろう。
6月15日(日)
調布グリーンホール 大ホール
指揮:河原哲也
電気通信大学管弦楽団
白百合女子大学アンサンブル・リスブラン
W.A.モーツァルト:セレナード第10番 変ロ長調 K.361《グラン・パルティータ》
P.チャイコフスキー:組曲《白鳥の湖》作品20
R.シューマン:交響曲第3番 変ホ長調 作品97 《ライン》
アンコール:ラデッキー行進曲
グラン・パルティータ
全7楽章から、第1、第2、第7楽章が演奏された。音楽としては、一番楽しめた。特に第7楽章。奏者が気を抜くこともできない少人数(13人)編成であり、積極的に音楽にかかわってゆかねばならない。そのことが、聴こえてくる音楽に反映されていた。強弱に幅があれば(特に弱音)もっと豊かな表現になったのではないだろうか。
13管以外の2曲では、ステージいっぱいにオーケストラメンバーが並ぶ壮観さ。
第2ヴァイオリンがステージ右側に、チェロは中央、コントラバスは、左側第1ヴァイオリンの後方という、いわゆる対向配置。
演奏は、どちらも早めのテンポで進んでゆく。
《白鳥の湖》では、打楽器セクション、管楽器とくに金管楽器セクションが演奏全体を引き締めていた。 《ライン》の第4楽章では、もうすこし構成感のあるどっしりした演奏を好むが、今日の演奏は、早めにさらさらと流れた。ほとんど休まず第5楽章が始まったように、終曲の序奏という位置づけなのだろう。
聴き終えて「何か」---それは技術といったものだけでは解決しない領域に属する---が、よりクリアに出てくればという、一種の「ものたりなさ」が残る。
なぜこれらの曲を取り上げたのか、それらの曲のどこに魅力を感じているのか、それをどのように音として聴くものに伝えたいのか、それを伝えるための「熱意」と書けばよいのかもしれない。
アマチュアオーケストラを聴くにおいて最大の魅力であろうこの「何か」---ときにはプロフェッショナルなオーケストラよりはっきりと聴けることさえあるのだ---が少し不足するように思われた演奏会。
-第59回定期演奏会-
【日時】
2010年12月10日(金)18:30開場、19:00開演
【会場】
「なかのZERO」大ホール(JR中央・総武線、東京メトロ東西線「中野駅」徒歩8分)
【演目】
第1ステージ
~Quatre motets Op.10~
作曲:Maurice Durufle、指揮:栗山文昭
第2ステージ
~混声合唱組曲 筑後川~
作詩:丸山豊、作曲:團伊玖磨
指揮:橋本亜依(学生)
ピアノ:黄俊豪(学生)
第3ステージ ~合唱オペラ ごんぎつね~
原作:新美南吉、脚本:村田さち子
作曲:池辺晋一郎
指揮:栗山文昭、ピアノ:須永真美
演出:しままなぶ、振付:木寺美由紀
照明:大鷲良一(創光房)
【後援】新美南吉記念館(愛知県半田市)
【問合せ】
fiume.e.campo.trucco@gmail.com
定演マネージャー(河野倫也)
以上