架空庭園の書

音楽への"homage"を主題として、思いつくまま気侭に書き連ねています。ブログ名はアルノルト・シェーンベルクの歌曲から

クルーセルのクラリネット協奏曲第1番

2011-11-27 | 音楽


秋も終わり冬に向かうこのごろ。晩秋になるとひっぱり出すのがクルーセルの《クラリネット協奏曲》第1番変ホ長調。

この楽器のための最上の協奏曲をモーツァルトが書いたのが1791年----35歳モーツァルト最後の年。2曲作ったウェーバーの1番ヘ短調作品73が1811年だから、1808年(もしくは1810年)に作られたクルーセルの第1番は、この2曲の間に挟まる。

第2楽章Adagio----モーツァルトの傑作K622と同じ。だが、こちらはあまりにも傑作過ぎて気軽に聴くというわけにもゆかない----では、長く伸ばされた弦楽器の和音とリズムを刻むピツィカートの上に、しみじみとした歌が嫋嫋と歌われる旋律---最初の音型はモーツァルトとそっくり----が今の季節にふさわしい。

NAXOSでは、7種のアルバムがリストされており、それらを聴く愉しみもある。


ただ、そのどれもが今ひとつしっくりこず、結局は英国のクラリネット奏者エンマ・ジョンソンの絶妙な歌い方に戻ってゆく。

この曲の魅力は、エンマ・ジョンソンを聴かなければわからない、とすらいえる。

モーツァルト、ウェーバーそしてクルーセル以外にも多くの作曲家がこの楽器のための協奏曲を残している。ざっと挙げてみてもこれだけある。

レオポルト・コジェルフ (Leopold Kozeluch 1747 - 1818)
フランツ・クロンマー(Franz Krommer 1759-1831)
ルイ・シュポーア(Louis Spohr 1784 - 1859)
ジェラルド・フィンジ(Gerald Raphael Finzi 1901-1956)
カール・ニールセン(Carl August Nielsen, 1865 - 1931)
アーロン・コープランド(Aaron Copland, 1900 - 1990)
尹伊桑(1917 - 1995)

Brillient(AVSからのライセンス)から出ているCD"Romantic Clarinet Concertos"(99497/3枚組)では、モーツァルトを除いてすべてがエンマ・ジョンソンのクラリネットで聴ける。

Brillientレーベル
廉さが魅力なのだが、最近はメジャー・レーベルからもバジェット・プライス盤がたくさん出てくるので、以前ほどの競争力はなくなっている。それとアートワークにもう少し気をつければとも思う。もっともそんなことにコストをかけられないか....
なおBrillientはNAXOS MUSIC LIBRARYにも音源を提供しているが、この演奏はそこには含まれていない。

AVSのオリジナルはこちらで見られる。

エンマ・ジョンソンのOfficial Site

wikipediaのクルーセルの項目から一部を引用

Bernhard Henrik Crusell (15 October 1775 -  28 July 1838) was a Swedish-Finnish clarinetist, composer and translator, "the most significant and internationally best-known Finnish-born classical composer and indeed,   the outstanding Finnish composer before Sibelius"

# リスト部分の*の部分を書き換え、コープランドを追加 2012/2/5

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1 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
モーツァルトは (通りがかり)
2012-01-21 23:51:49
このCD、モーツァルトのクラ、エマではなく、Harmen de Boerです。
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