土曜日の朝、TVのニュースで、パリの惨事を知った。パリの歴史が始まって以来の大きなテロ事件。一般の人たちが、一瞬にして災難に巻き込まれた。寒い風の吹く中でも道路に面
したカフェテリアで、カフェオレを楽しむ人、レストランで、週末の憩いの時間を過ごす人たち。それぞれの週末のかけがえのない時間が一気に、永遠に、止まってしまった。
個展のオープニングに来てくれた人、ギャラリーの関係者、絵に見入ってくれた画家の女性、あの人たちは、大丈夫だったのかしら。ロックのコンサート会場へは、多分行ってない
と思うが...。無事を祈るしかない。パリの個展、三回を重ねた。一回、一回、さまざまな人たちに出会っている。作品を通しての出会いなので、ほとんどは、個展ごとに幕が引かれ
る感じのおつき合いだが、こころのなかに、その人たちの映像がくっきりと蘇ってくる。
今、作品を制作していると、どうしても、パリの様子、できごとが影響する。その作品が、来年のパリ個展に展示するものなので、なおさらである。使う色も、変わってくる。なん
でこんなことに、と思いながら、筆の動きがどうしても激しくなる。筆先にのる絵具の量も微妙に変わってくる。気持ちのままに制作を進めている。進めるしかない。今年の2月の
パリ個展は、1月パリでのテロ事件のあった11区にあるギャラリーだった。いろいろな人から、大丈夫ですか?と心配された。無事に個展を終えて帰国したのだが、また再び、テロ
の脅威にパリが脅かされるとは、それ以後考えていなかった。パリでは、テロへの脅威がずっと続いていたのだろう。テロには屈しないという意識も共に。
天変地異に人間は無力だけれど、人為の殺し合いをさけられない複雑な時代の現状にやりきれない思いでいっぱいだ。
自分にできること、今日一日、予定をこなして、生きること...か。
フォト 2015