鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

種なしブドウ

2013年09月26日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 今年のブドウはおいしいね!我が家で収穫した巨峰のことである。数年前にインターネットで巨峰とマスカットの苗を3鉢注文し、庭に植えた一本に着いた果実である。女房の微笑む顔の理由は、以前、巨峰の種が自然に育ち、実をつけるが決して甘くなることもなく、枯れてしまったことがあったからである。収穫した巨峰は、さほど色は付いていないが、しっかりとした巨峰の味がし、甘みもまあまあであった。数日前に、ダイレクトメールでガスファンヒーターの年一度のセールの案内が来た。今までは石油ファンヒーターを使ってきたが、このところの灯油の価格上昇は、我が家の家計に響くとみえ、今年の冬はガスにしようと話していたところであった。ダイレクトメールによれば、特価品として販売個数が限定されていたため、販売店が開店する前に着くよう早朝から出向いた。目指す商品は入手でき、イベント会場で行われていたパソコンによる抽選に挑戦し、見事一等の賞品を手に入れることが出来た。因みに商品が3000円以上はすると思われる甲州とピオーネブドウの詰め合わせであった。ピオーネという品種は大粒の巨峰をカノンフォールマスカットと交配して品種改良した種なしブドウである。

 誰しもの疑問として、種なしブドウや種なしスイカはどのように世代交代するのか、種がなければ次世代はないのかということで、答えは簡単である。開花前にジベレリンという植物成長ホルモン液に果実をコーティングしなければ結実する。つまり薬剤処理によって種なしを作るのである。この薬剤を入手するには通販でも売っているが、農協に相談するのがよいと思う。種からの生長は時間が掛かるため、通常の生産は挿し木が用いられている。植物成長ホルモンは種々の果実の種なしを作るばかりではなく、果実が結実後、一定期間後に再度コーティングすることによって、大粒に成長する。施工時期については植物の種類によって異なる。
 穀物や果物が多くの薬品処理によって、大きさや見栄えが良くなるし、食べやすくなることは、品質に付加価値をつけるための手段ともいえるが、健康への影響や、更なる品質改良、防疫や作付けしやすさなど利用すべき面と多用することによって原種を絶滅させる危惧や未知のウイルス感染等のマイナス面をも含んでいる。

 植物は食物連鎖の大切な要素であり、受粉の役目を様々な昆虫が担い、バランスを取っている。薬剤による品種改良や防疫が特定種の細菌や昆虫を死滅させる。雑草駆除の目的で散布する薬品が受粉のために利用してきたミツバチを減少させている。更には外来生物の移入が我が国独自の生物環境を破壊し、絶滅した動植物も多いと聞く。何を優先させるかはその時代の人々が決めることではあるが、メリットだけを考慮し、安易に利用することの結果が、時代を経ることによって突如として発生する危機までをも予想することは、人知では不可能なことも多い。種なしブドウを食しながらふと頭を過ぎった戯言である。