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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

戦争の実体験 初年兵教育(2回シリーズ)その1

2013年09月22日 00時00分01秒 | 紹介

 見習士官は将校室で勤務するだけではない。初年兵や補充兵が入隊すると、三ヶ月教育訓練をしなければならない。三ヶ月の訓練が終わり、一期の検閲が無事終了すると、下番ということになる。自分も見習士官になって、7月1日少尉に任官し、昭和20年2月東京警備旅団の編成までの約1年間に4回の初年兵・補充兵教育を担当させられた。このお陰で、教育とは何か、人間教育あるいは人材養成は如何にあるべきかを勉強し、大きな収穫を得た。

 初年兵入隊前に教育計画を立て、敬礼から各個訓練、精神訓話、演習、学科等3ヶ月に亘る日課表を作成し、連隊本部に提出する。先輩の将校に教えられて計画を樹立し、中隊長の検閲を経て提出する。その他、徴兵調書を見て新兵の顔写真と名前を覚え、入隊当日にAは誰、Bは何某といえるようにする仕事がある。初年兵は甲種合格が殆どであるから、若々しく溌剌とした顔をしているが、補充兵ともなるとその職業はマチマチである。会社員・工員・土木・農業・漁業等あらゆる職業に亘り、年齢も27~28歳から上は42~43歳までいる。

 最初に担当したのは補充兵であった。新兵というものの40歳ぐらいになると親爺のように思えた。骨が硬くなっているので、不動の姿勢を取らせても、膝が開いて付かないし、手は曲がっているし、全くどうしょうもない。班付き上等兵がいくら殴っても身体的欠陥は直らない。一月も経つとどうやら様になってくるから不思議なものだ。結局、毎日、毎日の訓練によって矯正するしかない。補充兵の場合は、学科や訓練の進度が計画より遅れ気味でハラハラすることもあるが、一期の検閲を無事終了するとほっとする。(次回へ続きます)