鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

スパイスの世界22 和食に合うスパイス(3回シリーズその2)

2013年07月31日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 さて、和食には素材の味や風味を味わうことが多いため、多種類の香辛料を混ぜ合わせて使うことは少ないが、ちょっと上げただけでも結構な種類に及んでいる。このシリーズを書く前では、我が国は欧米や東南アジアの国と違って、香辛料の文化が遅れていると考えていたが、意外であった。しかし、多くの香辛料は香り、彩りや刺身のツマに使われることが多いようだ。それも生で使う場合が多い。定番は何といっても七味唐辛子、わさび、ショウガ、シソの類である。

 山椒はウナギの蒲焼きや肝吸いに、ワケギや紅葉おろし、スダチはふぐやひらめの薄造り、鰹のたたきにはニンニク、ショウガ、ネギと土佐酢と相場は決まっている。天ぷらはおろし生姜やおろし大根を入れた天つゆで食べるものであったが、最近は塩とレモンでいただくことも多くなってきた。

 味覚のバリエーションが増えることはよいことで、努めて食卓に花を添える香辛料を積極的に使いこなしていきたい。

 どのような食べ方をしても良いが、よけいなお節介といわれことを覚悟で申し上げれば、食育が叫ばれる中、やはり香辛料についても家庭で教えていくことではないであろうか。
 一時、食べるラー油といった調味料が売り出され、愛好家も多いと思うが、何の料理にもラー油をかけることは、素材の持つうまさを半減させると思われる。マヨラーが使うマヨネーズもしかりである。

 生野菜を食べる機会が増えているが、それに合わせたように各種のドレッシングが売られている。 サラダなどに既に味が施されていても、ドレッシングを直ぐにかけて食するのは、本来の野菜の味を楽しむ機会を失ってしまう。諸外国では味わうことが出来ない新鮮な食材が手にはいるのは、我が国だけかもしれない。香辛料は食材を生かすためのものであり、香辛料をそのまま食するものでもない。(次回へ続きます)

スパイスの世界22 和食に合うスパイス(3回シリーズその1)

2013年07月30日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 このシリーズで触れたことがある和風のスパイスのまとめとして、取り上げてみた。最近の洋食の浸透、手軽な軽食として人気が高い宅配ピザ、ハンバーガー、ホットドッグ、ドーナツ、フライドチキン等持ち帰りを含めてファーストフード店が氾濫している。殆どの店舗は全国に展開するフランチャイズチェーンで、低価格で販売方法も共通している。

 消費者に飽きられないのは、市場調査を入念にし、商品研究の成果でもあり、年齢層にあまり影響せず、商品が持つ軽食の手軽さと、独特の食感や香辛料の効能であろうか。

 寿司のチェーン店も人気が高い。回転寿司店は、個人の寿司店を凌駕し、寿司職人の職を奪う勢いを感じる。回転寿司店にあまり振るわなくなった、個人が経営する寿司店の店長や寿司職人が勤務していると聞くと寂しい気持ちもするが、経験を活かし、大いに活躍してほしいものである。
 少なくなった高級寿司店で時価という価格表示には、食べ終えてから懐具合が気になることが度々あった。家族が楽しむ雰囲気はなく、気むずかしく、頑固一徹の店主の態度には客が店にサービスしているようで、時代の流れに合わなくなってきたのであろう。創作寿司やハムやスモークサーモン、アボガドやキャビヤなどを種に使った洋風寿司も気に掛かるところである。そもそも寿司店は屋台で軽食をつまむことが発端で、高級店と対極にあり、庶民がファーストフードとし利用したものであった。現在でも寿司の愛好家に食通が多く、人気があることを見れば、寿司店が復活できる要素はあると思っている。

 回転寿司店のカウンター越しに見る寿司の作り方は、お櫃型のロボットが舎利を握り、その上にわさびをアルバイト風の店員が付け、既に切りそろえてある種を載せるだけである。どこに握る動作があるのであろうか。わさびはステンレスの器に山ほど作ってあり、わさびが揮発性であることも知らずに置かれている風景は、粋といわれた職人技ではない。寿司店のイメージが崩れたとしても、昔を知る者には当然であろう。(次回へ続きます)

標準について(3回シリーズその3)

2013年07月29日 00時00分01秒 | 緑陰随想

「面積」と「体積」について、どのように均等に辺を割り当てれば、もとと同じ面積体積が作れるかを求める場合、それぞれ二乗根(平方根)、三乗根(立方根)の幾何平均となる。ルートを使うと縦・横(平面)、縦・横・高さ(立方体)の各辺を同じ長さにすることができる。

 複利計算を暗算で行う方法がある。よく知られている72の法則と114の法則である。
 72の法則は金融資産を2倍にする年数を求め、114の法則は資産を3倍にする年数を知る簡易的な法則で、72を年利で割ると2倍になる年数が分かる。例えば、年利5%であれば72/5=14.4、14年と半年弱となる。

 住宅ローンを組む場合、年利が3%であり、3000万円を借金した場合、72/3=24。24年間で倍の6000万円を返却することになる。実際には利子を支払うので元本が少なくなっていくのでこれより少ない額となる。同様に114の法則は3倍になる年数を求める。年利が3%の時は114/3=38年になる。実際には(1+0.03)の38乗を計算すると3.075となり、3倍とちょっと多い。また、10年で2倍になる利率は72÷10=7.2、実際には(1+0.072)の10乗は2.0042でほぼ2倍である。(このシリーズ最終回です)

標準について(3回シリーズその2)

2013年07月28日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 健康のバロメーターとして標準体重があるが、身長に対し、体重がどれだけあるかを一定の式に当てはめ、太っているか痩せているかを判断する。この数値が高ければ脂肪が多く太っていて、○○病に罹りやすいなどといっている。

 平均体重や平均身長といえば、より数値化し易くなる。単純に測定した結果を測定個体数で割った値である。相加平均(算術平均)というが、平均には相加平均の他に相乗平均(幾何平均)がある。標準という言葉や、平均という言葉が出てきたときには、算出根拠を知って対応に当たることが大切である。

 子供から何かをせがまれるときには「クラスのみんなが持っているから買ってくれ」などといわれると果たして何人が持っているのか疑問に思うことがあった。曖昧な言葉には注意が肝心である。

 標準ではないが、思い出したので紹介する。相乗平均は投資信託の利率計算などに用いられている。例えば、5年前には年10%、4年前はマイナス10%、3年前はマイナス20%、2年前は20%、去年は10%の債権の利回りは平均すると(1.0+0.9+0.8+1.2+1.0)/5=0.58 5.8%の利率なら10年預けると1.058の10乗で1.76倍となる。これは利率の算術平均を出したところにミスがある。最初の価格を1とすると現在の価格は1.0×0.9×0.8×1.2×1.1=0.95、過去の利回りの平均は 0.95×1/5=0.19、年平均の利回りは1.9%となる。10年預けると1.019の10乗で1.20となり、1.76に比べ少ないことが分かる。これは複利の考え方で、複利の金融商品の利回りや年平均成長率ではこの幾何平均を用いる。(次回へ続きます)

標準について(3回シリーズその1)

2013年07月27日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 物事の尺度を測る概念の中で標準という用語があるが、比較のもとにする基準となる単位を決めて、その基準との比較をすることによって、より大きい、より小さいと量の大小を測ることは、合理的である。標準は平均的なものを指す場合にも用いられ、多くの種類がある場合に、その中間位置にあるものを指して使うが、厳密な意味ではなく、比較対象となるものが少ない場合には、標準は意味をなさなくなる。標準語なる言葉も最近は乱れてきた。特にイントネーションは気にかかる点である。

 例えば、標準レンズといえば、広角レンズではなく望遠レンズではないものをいうが、メーカーによって異なっている。標準偏差という得点の分布を表すのに、前提として得点は正規分布に従うと考え、標準からどれだけ偏るかを見るときに使う指標である。この場合も、対象者が少ない場合や、得点が全て高い(易しい問題の解答)、得点が全て低い(難しい問題の解答)場合には使えない。

 生産工程や作業方法などによく使われている、標準化という言葉も曖昧な部分を含み、標準化を行うことで作業効率が上がるなどというが、全て機械に置き換えて標準化を進めたとしても、試作品作りや、精密作業の仕上がり状態等は、最終的には人間が関与する分野もあり、標準化できない作業も多い。

 標準的といった場合は、一般や普通のことを表し、給与であれば、ある企業に勤める平均した年齢層の所得をいい、算出根拠が明示してあればよいが、他社に比べて高いのか低いのか判断に苦しむことが多い。大体の傾向として使われる指標ととらえれば納得がいく。

 国内で使うJIS(日本工業規格)Japan Industrial standardは直訳すれば日本産業標準である。最近では、国際標準であるISOを使うことが多くなってきた。
 例えば、長さを測る単位は国内ではメートル法を使っているが、欧米ではインチを使う場合もあり、国際的に統一を図る必要が出てきた。標準といっても特定の地域でしか使われないケースも多い。産業ばかりではなく、異文化の世界での衣食住に関わる多くの事柄に、我が国のそれとの間で違いがあることに気づく。(次回へ続きます)

アウトリーチ(2回シリーズその2)

2013年07月26日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 さて、アウトリーチが必要といわれているようになったのは、対応の遅れが重大事故に繋がり、情報の共有化が必要な事態が頻発しているからである。障害者、生活困窮者等の孤独死、ストーカーによる被害、独居老人対策、介護疲れによる無理心中、いじめによる不登校、家庭内暴力(DV:ドメスティックバイオレンス)高齢者等の災害時における避難活動等、いずれもが放置すれば重大な災害や事故に繋がるリスクを持ち、現実に事故が起きている内容であるため、安全・安心の社会構築のためには避けてとおることが出来ない事態であるからだ。

 アウトリーチをする業務は、今に始まったことではない。民生委員、各ケースワーカー、保護司、カンセラー、コンサルタント等有償無償を含め、機能してきたように見える。なぜ過去形かといえば、現在でもそれらの業務に携わる専門家は多いが、上述したように、横の連携というか、縦割り行政の弊害を抱えているからで、制度疲労といった様相を呈している。

 民生委員はその中心的存在であるが、一人で200世帯もの膨大な対象者を抱え、殆ど無償の奉仕活動であり、高齢者や女性が多く、慢性的な定員不足になっている。なり手がかつてのような名誉職として、地域の名士が担当していた時代とは異なり、取り扱う内容は幅広く、個人では対応が困難なケースが多く、複雑化しているからである。更に対応を困難にしているのが、個人情報の保護に関する法令である。個人情報については使用目的や内容を申請し、第三者が請求することが出来る。所定の手続きを踏めば開示できる規定があり、全てが開示できないわけではない。

 確かに、個人情報を管理する役所が何も情報を出さなければ、手ぶらで訪問してもリスクを回避するまでには至らず、相談にも乗れないであろう。多くのボランティアが同様な状況に置かれており、本来、住民税で給与を貰う役人がアウトリーチを積極的に行わなければならないのに、民生委員という使い勝手のよいボランティアを使い、権限だけを誇示する制度となっている。これらの奉仕者の活動の手足を縛るようでは制度の意味をなさない。形骸化するのは当然といわなければならない。

 情報の漏洩はどの組織にもあり、その管理は大変重要と考えるが、業務に必要な個人情報は管理の徹底を図り、漏洩を絶対に起こさないという業務の進め方を行う必要はあるが、かといって民生委員のようなやり方は大いに疑問が残る。(このシリーズ最終回です)

アウトリーチ(2回シリーズその1)

2013年07月25日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 アウトリーチという語は英語で、Out-reach。他動詞で(・・・の)先まで達する。外まで広がる。(・・・を)越える。この他に、広げる、さしのべるの意味がある。最近、生活保護世帯、高齢者世帯、障害者世帯を対象とした社会福祉活動等に盛んに使われるようになった。これらの活動は、市・区町村等の役所が庁舎を構え、デスクに座って、申請者対応をしさえすれば、業務がこと足りるとした待ちの姿勢が続いてきた時代は終わり、積極的に庁舎から外に出て、申請者以外の隠れた対象者を捜し出し、適切な支援を行う業務について使う場合が多い。

 大変結構な状況を高く評価する一人であるが、日本語では名詞として使われる。この用語が使われる背景は、我が国の行政が縦割り型で、各省庁間の縄張り意識が強く、省庁をまたぐ事案については、対処が遅れるか、対応が難しいため、その部分を如何に対処すべきであるかの議論が高まっているからである。

 通常は各省庁にまたがる事案は総務庁の担当となる。総務庁は結局の所、専門分野別に各省庁に振り分けている司令塔に過ぎず、専門家を抱えているわけではない。しかし、各省庁の所掌する事務は規則や施行令等で規定されており、規定されたもの以外は担当する部署はない。従って、新たに発生した事案の処理は宙に浮いてしまうのが通常である。この弊害は末端の出先機関や役所にも及んでいる。一時、省庁間を横断する組織が出来るまで行ったが、なかなか日の目を見ない。

 最近では原発復旧関連の復興庁が誕生し、それまで省庁別に行ってきた財源の管理や、復興スケジュールに基づく各種対応策などの一元化が行われており、復興庁はその代表である。復興庁においても組織のメンバーといえば、関係する各省庁からの出向組が大半で、予算執行や物事の優先順位では、各省庁の縄張り争いが完全に払拭されたわけではないため、推移を見守る必要があろう。(次回へ続きます)