事例紹介コラムです。
少し前になりますが、先日6日の「FOOT×BRAIN」で、「村井チェアマンに問う! Jリーグ改革そして未来は?」というタイトルで、村井チェアマンが出演し、今後のJリーグについて、いろいろと語られていました。まずはその内容を抜粋して紹介し、その後に当ブログとしての反論等の意見をお届けいたします。しかし、後で触れていますが、最近の村井チェアマンの言動の中に気になる部分が最近見えてきました。まるで、2ステージ制&ポストシーズン制の失敗がすでに予想できており、その言い訳を始めたような言い方です。まあ、まずは「FOOT×BRAIN」の抜粋です。
【FOOT×BRAINの内容】
日本協会とJリーグのトップ会談が行われ、W杯惨敗を受けて、日本サッカーの今後の課題や取り組みについて意見交換。育成に関してJリーグはJリーグでやっていたり、協会は教会でトレセンがあったりというものを、一緒になって力を合わせてやっていきましょうという事に。その中の詳しい内容は以下のとおり。
【将来構想委員会】
若年層の育成のあり方やリーグ戦とカップ戦の日程の問題等を議論し、今まで別々に動いてものを足並みを合わせて、本気で取り組もうとする活動。
【Jリーグデータセンター】
開幕以降の全ての試合結果などをデータ化して管理運用している部署で、スタッフが試合結果やシュート数などをデータ化。
村井チェアマンは全51クラブを訪問し、「観客動員数の減少」「クラブ経営の悪化」など肌で感じる事も多かったはず。「Jリーグは今危機なのか?」という問いに、「危機と言うか大きな転換点。ここでサッカーに関する大きな関心を引き寄せる事ができれば、大きく成長する」とコメント。「Jリーグが目指す場所」という問いについて、以下の方針等を説明。
【チェアマンが考えるJリーグの指針】
「すばらしいサッカー」「多くの人に伝える」・・・ 以下のデータのようにJリーグの認知度は低下しており、平均入場者数も減少傾向。まずは、すばらしいサッカーをやり、多くの人に見てもらおうじゃないか。
※Jリーグに関する意識と評価調査: '06年:46.0% → '12年:30.4%
※リーグ戦の1試合平均観客入場者数: '08年:J1:19,202人/J2:7,072人 → '13年:J1:17,226人/J2:6,665人
【Jリーグの危機を改善するキーワード】
6~7年で取り組むべきチャレンジとして現在起こしているアクション(Jリーグの危機を改善する)の5つのキーワードとその流れ。
①「魅力的フットボール」
②「人材育成・クラブ経営」
③「スタジアム地域開発」
④「マーケッティングの高度化」
⑤「アジアからの収益獲得」
「ACLでの成績」「国民の関心度」「観客数」「事業規模」 → 「ビジョン」
【①「魅力的フットボール」を】
1)実現するための方策: 3つの約束が前提。アクチュアルプレーイングタイム=選手が実際にプレーした時間は、昨シーズンに比べて34秒増加。
①プレー時間を阻害する事はとにかくやめよう ②CK、GKをどんどん早くしよう ③選手交代をスピーディーにやっていこう
2)実現するための方策: 「ポストシーズン制」「2ステージ制」
チャンピオンシップに多くの人の注目を得る事の可能性に賭けて勝負しようかという事になった。とにかくサッカーファンのすそ野を広げたい。
※FIFAランク50位以内の40%以上の国が、2ステージ制かポストシーズン制を採用。
例)メキシコ=2ステージ制、アメリカ=ポストシーズン制
※J1とJ2で今シーズン年間768試合実施。観戦者数は約830万人。
↓
ポストシーズン決勝戦2試合がTV中継され、それぞれ5%の視聴率が取れたとしたら、人口の10%、約1,200万人が観戦した事になる。
福田氏のコメント
「重要なのは『質』を上げる事。選手の海外移籍が続く中で、いかに高いレベルをキープできるか。ひょっとしたら更に仕組みを変えなければいけないのかもしれない。アジア枠を撤廃するとか。空洞化を避けるには育成が鍵」
【②人材育成・クラブ経営】
1)育成面での評価
ブンデスリーガやプレミアリーグでは、育成面での評価をしっかりしている。すべて客観的に外部の人がチェックして評価している。それを世界と比べて改善する活動を実施している。日本でも格付け評価の実験を行っている。ドイツ36クラブ、イングランド20クラブを受け持っている下部組織専門の「育成調査会社」に依頼、今月から3クラブを試験的に調査。4つのランクに格付けされ、ヨーロッパのクラブとの比較も。
評価項目: 選手へのメンタルケア、学習サポート、過去の実績、指導者の哲学
2)配分金にも厳しいメス
配分金(オフィシャルスポンサー料、TVやラジオの放送権料、グッズ等の商品化権料)をJ1からJ3まで一律に配分していたが、現在の配分金が減ってしまうと、予算規模の少ないクラブには死活問題になる。
今後は15年度の入場者数に合わせて16年度から配分金を傾斜配分する。15年の競技成績から逆算して、16年は順位等々で傾斜配分する。
【③スタジアム地域開発】
チェアマンが目指すスタジアム像=「街なか」「屋根付き」「サッカー専用」
日本全国で建設予定のスタジアムで、地方の活気を取り戻す。スタジアムを新しく作れば観客は増えるのか? 人手も資金もクラブにとって負担になるのでは?
【④マーケッティングの高度化】
デジタルメディアや動画を上手く活用してプロモーションするにも、クラブ独自では限界がある。そこでJリーグでプラットフォームを作り、各クラブで活用。
【⑤アジアからの収益獲得】
現在、アジアからプレミアリーグへ支払われている資金は年間約500億円。その巨額なマネーをアジアの中で回して活性化させる。アジアのクラブを強くして、アジアサッカーのレベルを上げる。現在Jリーグのノウハウ等をアジア各国へ開示している。強力なライバルを作るかもしれないが、アジアの土台が上がる事で、W杯ベスト16以上に進める。現在、6ケ国(ミャンマー、ベトナム、タイ、カンボジア、シンガポール、インドネシア)とパートナーシップ契約を締結。また、2014年からは3人の外国人枠とは別に2人の提携国枠を設置しており、最近では東南アジアに移籍するJリーガーも年々増加。
【当ブログでの反論意見】
【①「魅力的フットボール」を】 2)実現するための方策: 「ポストシーズン制」「2ステージ制」
ポストシーズン決勝戦2試合がTV中継され、それぞれ5%の視聴率が取れたとしたら、人口の10%、約1,200万人が観戦した事になる。
→ 今年のナビスコ杯決勝の視聴率が3.6%。J1優勝試合のNHKが5%。人気チームのガンバさん(3冠)と浦和さんの優勝がかかった試合でさえ、こんな低視聴率。来シーズンも良くて5%程度ではないのか。決勝がやや知名度が低いチーム同士だったらそれは顕著。とても甘い見方だと思われます。
【②人材育成・クラブ経営】
2)配分金にも厳しいメス
配分金(オフィシャルスポンサー料、TVやラジオの放送権料、グッズ等の商品化権料)をJ1からJ3まで一律に配分していたが、今後は15年度の入場者数に合わせて16年度から配分金を傾斜配分する。
→ 前にも述べたように、観客動員数というのはフェアではない。環境面の違いが大きすぎて比較できない。少し古いデータですが、こちらの資料を参照して下さい。最寄駅から近くて、ホームタウンの人口がそこそこあって、競合する他のプロスポーツが無ければ、動員数が多いのは当たり前という見方もある。動員数そのものだけではなく、対前年比も反映させるべき。他に、スカパー!視聴者数で配分金が左右されるという仰天情報もあります。確かにJリーグ配分金で多大な影響を与える存在なのだが、Jリーグクラブは何のために事業をしているのかと問いたくなるはず。CS放送の勧誘業が本業なのかと。
よくJリーグはクラブに対して「配分金依存体質」を問題視しているようですが、Jリーグのスカパー!依存体質も問題視しなくて良いのかと個人的に言いたくなります。
他の部分は、まあしょうがないと持っています。あと、村井チェアマンが最近気になる言葉を発するようになりました。以前は中西統括本部長が露出していましたが、最近は村井チェアマンばかり。元々大東チェアマンが作った制度なのに、一番トップであるがゆえに言い訳行脚をしているように、最近観えてきました。少し抜粋して紹介してみましょう。
毎日新聞(12/23): 「1ステージ制が一番分かりやすく、フェアで理想だと理解している」とした上で「一回チャレンジさせてほしい」と訴える。
山陽新聞朝刊(12/21): 「関心度を上げて多くの人に触れてもらうためのチャレンジ。座して何もしないで衰退を見るよりは、ここで一回活性化のために勝負する」
FOOT×BRAIN(上の記事): 「チャンピオンシップに多くの人の注目を得る事の可能性に賭けて勝負しようかという事になった」
この辺はどうなのでしょうか。やたら「チャレンジ」「勝負」という言葉が躍っています。確実に成果が見込めるものならば、「チャレンジ」「勝負」という表現にはならないはず。もし、勝負に負けたら、日本サッカーはどうなるのでしょうか。日本全国のファン・サポーターは、Jリーグの一部の幹部の賭け事に付き合わされている事になりますね。賭け事に負ければ当事者はお辞めになれば済むでしょうが、残ったJリーグはどうなるのでしょうか。よくペンペン草も生えない荒野という表現がありますが、まさに日本サッカー界は荒野になるのでは。すなわち、W杯に出れない代表、倒産続出のJクラブ、「よくわからないから面白くない」と人が寄り付かないスタジアムなど、考えただけでゾッとします。あと、来年はこのような一見おかしな順位表になるのですね。
他にも、来シーズンから「明治安田生命Jリーグ」という頭痛が起こるリーグ名になるようですが、これって最初は前期、後期でスポンサーを募るはずじゃなかったのかと。昔で言う「サントリーシリーズ」「ニコスシリーズ」という風に。ステージごとのスポンサーを呼びかけても結局獲得できなかったから、「リーグ名」といういわゆる「叩き売り」になったのではないかと。これはあくまで個人的な推測なので、気にしないで欲しいのですが。
上の村井チェアマンの言葉の「座して衰退」の前に、バスケ界のようにしっかりとしたタスクフォースを招いて一大改革をしていただいてはいかがでしょうか。以上、辛口コラムになりましたが、それだけJリーグの行く末を心配している事をご理解いただきたい。
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Jリーグ組織問題関連(2ステージ関係):22 / 21 / ⑳ / ⑲ / ⑱ / ⑰ / ⑯ / ⑮ / ⑭ / ⑬ / ⑫ / ⑪ / ⑩ / ⑨ / ⑧ / ⑦ / ⑥ / ⑤ / ④ / ③ / ② / ①
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