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欧州リーグの事情12

2018-03-11 00:43:20 | サッカー(J3以下・外国・他カテゴリ)

 リスペクトコラムです。
 当ブログで、「JクラブはJリーグ百年構想を目指すべき」「お手本は商業主義のMLS(アメリカ)ではなく、ヨーロッパ。特に観客動員数№1のドイツ」と言い続けてきました。その中で、最近のドイツ・ブンデスリーガに関するショッキングなコラムを見ました。フットボリスタの記事から。ドイツも商業主義の波の影響を受けており、ファン・サポーターに広がる不快感が広がり、その深層について述べられたものでした。
   
【ドイツサッカーの知られざる危機。過剰な商業化がもたらすファン離れ】
「一見すると、2017年の夏、ドイツサッカーは見事に花を咲かせている印象を与える。ドイツ代表はコンフェデレーションズカップにリザーブチームで優勝し、U-21チームも欧州選手権を制した。また、ブンデスリーガの観客動員数はレコードを更新。クラブは収入増を喜んでいる。
 だが、目を眩まされてはいけない。なぜなら、ドイツサッカーはベースとなる層のファンから、徐々に離れつつあるからだ。ファンがチームの練習から締め出されることが多くなってきており、スタジアムの年間パスやレプリカユニフォームからビールやソーセージ、有料放送まですべての価格はどんどん値上がりしている。さらに、もうすぐCLは完全に有料放送でしか見られなくなってしまうのだ。」
〔怒りのブーイングに消えた国民的歌姫の歌声〕
「今年5月末のDFBポカール決勝後、ドイツのサッカー用語に新語が加わった。『ヘレーネ・フィッシャー化』というワードだ。」
(ドイツの音楽界最大のスターで歌謡曲の女王が、決勝戦のハーフタイムで歌を披露)
「彼女の歌声はオリンピアシュタディオンを包む怒りのブーイングの中に沈んでしまった。この一件は、ドイツサッカーに浸透しつつある大きな不快感が、最も強く表出した場面だった。DFBは現在、サッカーをヘレーネ・フィッシャー同様クリーンな娯楽商品にしようとしているのだ。人々がサッカーを愛するのは、それがまるで人生のようであるからだ。美しくてインテンシブであると同時に、計り知れなく計算不可能、不公平で、時にかなり退屈でもある。だからこそ誰もが繋がりを見つけられるのだが、その特徴の一部が今、失われる危機にある」
〔衝撃のアンケート結果〕
 「1万7000人を対象にアンケート調査を行なったが、結果はショッキングなものだった。何と半数以上の人たちが、このまま商業化が進んでいけば自分はサッカーから離れていくだろう、と答えたのである。さらに80%の人たちが、「サッカー首脳陣にとってより重要なのはスポーツそのものではなく金であると思うか」という質問にイエスと答えている。」
「歯止めの利かない商業化は、ブンデスリーガをバイエルンにしか優勝できないコンペティションにした。それはDFBの首脳陣たちも問題視している。」
「タイトル争いにスリリングさが失われただけでなく、ドイツサッカーの成功の秘訣――スタジアムの特別な雰囲気、多くの立ち見席、いまだに比較的安いチケット、まだ払える程度のテレビ視聴料――までもが危険にさらされている。短期的に収益を増やそうとするリーグのたゆまぬ努力は、長期的に見るとサッカーの核を脅かすことになる。「ブンデスリーガはまやかしの世界となり、常連ファンを失う危険に向かっている」(『シュピーゲル』誌)。」
引用:フットボリスタ

 驚きました。当ブログでは理想的なサッカー興業と思っていたのに、そんな状況になっているとは。ファン・サポーターがチームの練習から締め出されることが多くなり、年パスなどの応援グッズの値上がり、もうすぐCLは完全に有料放送でしか見られなくなってしまうって、すごい話です。ドイツはいつ頃こんな事になっていたのか。そのうちリーグ側とファン・サポーター側が衝突するだろうとありますが、かつて日本でもそれに近いシーンがありました。それは「2ステージ制騒動」。応援ボイコットまでは行きませんでしたが、サポーターへの締め付けが強くなったと実感した時期でした。村井チェアマンになり、騒動で終焉しました。練習からの締め出しや生観戦できなくなるという状況までは、日本では考えられませんが。
 試合の両チームのファンたちが一緒になって「シャイスDFB! シャイスDFB!」(シャイス=クソ)と歌い、ドルトムントのサポーターは「DFBと戦う」というバナーを掲げているとは、すごい光景です。ドイツなのが信じられません。ドイツの歌姫をハーフタイムに歌わせるというのは、スーパーボウルのハーフタイムショーの真似だそうですが、アメリカに目を向けるべきではないと、当ブログでは改めて思いを強くしました。

 放映権といえば、日本でもDAZNの意向でJリーグの平日(金曜)開催が今季からスタートしています。まあ、平日開催は昔からあった事で、金曜日以外にも昔の過密日程時代にはよく水曜日開催もありましたね。ところがドイツでは、平日開催として月曜日にあるとか。日本ではちょっとお目にかかった事はないですね。そんなコラムです。
   
【Jリーグは大丈夫?ドイツ1部の平日開催が浴びるファンの猛反発】
「土曜日の午後は、ブンデスリーガ・カルチャーの中で聖なる時間である。」
「15時30分に試合開始の笛が鳴ると、ドイツの大半の人々が希望と絶望、勝利の美酒と敗北の痛みの間を行き来する。」
「土曜日の儀式は、ブンデスリーガが生み出す魔法の大切な一部なのである。」
〔ついに半数以下に〕
「この魔法の午後は、もっとカネを稼ぎたいブンデスリーガの責任者たちにとってはあまり意味を持たないようだ。ゆえに間もなく、土曜日の15時半には半数以下の4試合しか行われず、新たに月曜の夜に1試合が開催されることになる。サポーターの中には愕然としている人たちもいれば、肩をすくめて離れて行く人たちもいる。近年の変化がいつも、同じことを目的としているからである。言わずもがな、さらなる収入を得ることに他ならない。『WAZ』紙が「ブンデスリーガは、ファンたちを呆れさせ、サッカー離れが始まらないよう気をつけなければならない」と警鐘を鳴らすが、それはもうとっくに始まっている。」
「一方ではブンデスリーガという商品を国際市場で魅力的にしたいというリーグとクラブの事情があり、他方にはファンの事情がある。仕事がある月曜日の夜ではアウェイの試合を観戦できなくなるばかりか、ホームゲームであっても多くのサポーターが公共交通機関で家に帰るのが難しくなる。さらに、翌日も仕事がある。シャルケのスタンドでは「お前たちの商品は俺たちの人生だ。月曜日の試合に反対」と書かれたバナーが掲げられていた。」
〔プロスポーツそのものの岐路〕
「ドイツサッカー連盟(DFB)は月曜開催試合の導入を、木曜日にELに出場するチームへの配慮だと説明しているが、最大の理由はマーケティングである。すべての試合を土曜15時半に開催してしまったら放映権収入は大幅に減額されるとして、DFBのラインハルト・グリンデル会長は「私たちは話をする必要がある。国際的な競争力を維持するべきか否かを」と問い、『チューリンガーアルゲマイネ新聞』は「プレミアリーグに遅れを取らないようにするためには、他の選択肢はない」と主張する。」
「昨季のブンデス1部の総観客動員数は、9季ぶりに1300万人を下回った。アンケートによると、若い人たちはブンデスリーガよりもアマチュアの試合を見に行くことを好み、ティーンエイジャーはスター選手たちにあまり興味を持っていないという。華やかさや国際舞台での成功よりも、自分もその一部として共有できる経験の方が大事なのである。「プロスポーツのビジネスモデルについて、再考する時期が訪れている。」
「今のブンデスリーガは、世界中のトップレベルのサッカーにはびこる貪欲というウィルスに冒されている。誰もが嘆くが、立ち向かうのは数少ないファンだけ。」
引用:フットボリスタ

 日本の平日開催は今季から「フライデーナイトJリーグ」と銘打たれて始まっています。ただ、今節は金曜開催は無いし、まだ金曜開催が多いというレベルでは無いですね。totoの事もあり、日本でもJ1は土曜、J2は日曜という棲み分けになったと、かなり昔にJリーグ側から発表されたのを思い出しましたが、totoにそれほど影響が無いという事で、土日の分散開催にシフトしています。なので、日本ではまだそれほどの影響は無いように思えます。ただ、ドイツの様子を見ると、明日は我が身かもしれません。
 この春から、Jリーグに新しい専務理事さんが就任し、こういうマーケット関係も担当されると思いますが、今回のドイツのようにファン・サポーターから敵視のような目で見られるリーグになる事のないようにお願いしたいです。前常務理事さんは一時期そういう存在になっていたのかもしれません。JリーグはJリーグ百年構想のもと、ファン・サポーターと近い距離感で、地域に根差す存在であり続けるべきだと思います。ブンデスリーガですが、大丈夫でしょう。すぐに関係改善されると信じています。今の商業主義から舵をきって、また世界のサッカーの名実ともに優等生に戻ってくれるでしょう。

コメント
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