
日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。
今週は、ドラマ「怪盗山猫」を取り上げました。
亀梨が悪ガキ好演…
中盤でも謎だらけ「怪盗山猫」の魅力
中盤でも謎だらけ「怪盗山猫」の魅力
怪盗アルセーヌ・ルパンの孫が活躍する「ルパン三世」、「名探偵コナン」のライバルとして人気の怪盗キッドなど、日本テレビと“怪盗”は相性がいい。ドラマ「怪盗山猫」(日本テレビ系)も、その系譜を継ぐ一本になりそうだ。亀梨和也(29)がヤンチャな怪盗を喜々として演じている。
原作は神永学の「怪盗探偵山猫」シリーズ。悪いやつから金を盗むだけでなく、悪事も暴いてしまうダークヒーローである。
脚本の武藤将吾は映画「テルマエ・ロマエ」などで知られているが、原作を生かしながら人物を巧みにデフォルメしていく。このドラマにおける山猫も、生意気で自信満々なところは原作通りだ。しかし、武藤はそこに一見ハチャメチャな“おふざけ”キャラを加えた。
仲間の里佳子(大塚寧々)や勝村(成宮寛貴)や真央(広瀬すず)などといる時の山猫は、まるで手のつけられない悪ガキみたいだ。この増幅キャラのおかげで、山猫の本性は容易につかめない。視聴者の「コイツ、本当は何者なんだ?」という興味が持続していく。それは大塚寧々や広瀬すずなど女性陣も同様で、中盤に至っても謎だらけだ。また、誰と誰が裏でつながっているのか、その意外性も物語を刺激的にしている。
そうそう、女性刑事役の菜々緒(27)が大健闘だ。クールさと可愛さの合わせ技なら、今、彼女にかなう者はいないかも。
(日刊ゲンダイ 2016.02.17)

フジテレビのWEBニュース専門局「ホウドウキョク」。
16日夜、「あしたのコンパス」に電話出演しました。
テーマは、「放送の“政治的公平”について政府統一見解」でした。

<報じられていること>
2月12日、総務省は、放送の“政治的公平性”について、理事懇談会に政府統一見解を提出し、公表しました。
高市総務大臣が8日の衆議院予算委員会で、放送事業者が、政治的な公平性を欠く放送を繰り返した場合に電波法に基づき電波の停止を命じる可能性について、「将来にわたって罰則規定を一切適用しないということは担保できない」と繰り返し答弁し、民主党などが政治的公平性を巡る政府の考え方を明確に示すよう求めていました。
統一見解では、「放送法4条で規定された政治的公平性が確保されているかを判断する際には、1つの番組ではなく放送事業者の番組全体を見て判断するとした、従来からの解釈には何ら変更はない」としています。
さらに、「『1つの番組のみでも認められない場合がある』などとした高市大臣の見解は、選挙期間中などにことさらに特定の候補者のみを取り上げ、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合などといった極端な場合には、一般論として、政治的な公平性を確保しているとは認められないという考え方を示すものだ」ともしています。
こうした解釈や判断基準については、「これまでの解釈を補充的に説明し、より明確にしたもの」と説明しています。
公明党の井上義久幹事長は、「法律の建前を繰り返し、担当大臣が発言するのは、別の効果をもたらす可能性もある。慎重であるべきではないか」と批判的に捉えています。
また、民主党の山井和則予算委理事は、「国民の知る権利を妨げる検閲にもつながりかねない、深刻な政府統一見解が出てきた」
として、15日以降の国会審議で追及する考えを示しています。

<番組で話したことの概要>
「政治的公平性」を政府が判断するという姿勢をとっており、高市総務相の言う「停波」ということもありえます。
懐にある刃物をチラ見させている感じであり、政府の統一見解は、高市発言に対する実質的な追認という印象です。
放送法第4条は、憲法21条の“表現の自由”がベース。誤解されているが、報道機関に対して権力が介入する事を防ぐための規定です。政府はこの大前提を忘れているのではないか。
政府は、権力や政権を維持するためには、 あらゆる手段を使います。そのための大きなツールが放送やメディア。そういう意味で干渉を受けないようにしなければならない。メディア側は権力に対して、おかしいと言う立場であり、それが役目です。
ところが、権力に対しておかしいと言う役割を果たすメディアに対して、停波する権限を政府が握っている。批判を受けるかもしれない側が「免許」を押さえているわけで、制度そのものに矛盾があるのです。
現政権のメディアコントロールが強まっている。かつてであればオブラートに包んだことが、権力の表出がストレートになっている。政権側が「自分たちが民意だ」という形でものを言うのも危険です。
放送局側も気をつけないといけない部分がある。政治的介入を防ぎたいと思うなら、“自律”した番組作りをする必要があります。


「ダメな私に恋してください」
視聴率がイマイチ振るわないことが話題になる今期の連続ドラマ。しかし、面白い作品がないわけではありません。視聴率という数字に惑わされず、自分が楽しめる1本を見つけるのもドラマウオッチングの醍醐味です。ちょうど中盤戦に入った今期の連ドラの中から、エンターテインメントとしてオススメできる何本かを挙げてみます。
“ポスト相棒”を探る戦略商品
「スペシャリスト」(テレビ朝日系)
今期のドラマには、独立騒動で揺れたSMAPのメンバーの主演作が複数ある。1本は香取慎吾の「家族ノカタチ」(TBS系)。そして、もう1本が草なぎ剛主演による、この「スペシャリスト」だ。
まず、無実の罪で10年間服役していた刑事・宅間善人(草なぎ)という設定が意表をついている。刑務所で学んだ犯罪者の手口や心理など、いわば“生きたデータ”を武器にしているのだ。
連ドラで重要なのは、“お試し客”をも引きつける初回だが、これがかなり面白かった。
首を吊った小説家の死体が自宅で見つかる。自殺かと思いきや、背中にはナイフが刺さっていた。
奇妙なのはそれだけではない。いわゆる「密室殺人」であり、「見立て殺人」であり、被害者が犯人を示唆する「ダイイングメッセージ」まで残っていた。ミステリー小説の定番要素がてんこ盛りの現場だ。
宅間は捜査を開始する。ところが、途中で容疑者の男が射殺されてしまう。しかも宅間がその犯人として逮捕され、法廷で裁かれ、刑務所に逆戻りするという意外な展開となる。
この辺りから、ベテラン脚本家・戸田山雅司の技が冴えまくる。登場人物が連続して死んでいくことで事態は二転三転。先が読めないので、見る側もワクワクしてきた。
その後、回が進んでも、草なぎは飄々としていながら洞察力に秀でた主人公を好演している。「コメとマイナンバーは一生ついて回るよぉ~」などとつぶやく、ひと癖ある上司(吹越満)や、勝手に動き回る宅間に振り回される女性刑事(夏菜)といった脇役陣も上手く活かされている。
大人が見ても楽しめるのは、さすが東映との共同制作と言うべきか。“ポスト「相棒」”を探る戦略商品だ。
(文中、草なぎの「なぎ」は弓偏に前の旧字体。その下に刀です)
“特殊能力刑事(デカ)”堀北真希
「ヒガンバナ」(日本テレビ系)
「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」の主人公・来宮渚(堀北真希)は、異色の女性刑事だ。事件現場に残る犯人や被害者の強い感情にシンクロ(同調)して、彼らの声が聞こえるのだから。
死者と会話が出来た「BORDER」(テレビ朝日、14年)の小栗旬にも負けない、いわば“特殊能力刑事(デカ)”である。
この設定、並の女優だと、嘘くさくて見ていられなかったはずだ。しかし堀北には、この特殊能力をもった、しかも偏屈な刑事がよく似合う。
むしろ普通のパイロット(「ミス・パイロット」フジ、13年)や、普通の看護師(「まっしろ」TBS、15年)のほうがどこか浮いていた、というか居心地が悪そうだった。現実とは違うフィクショナルな存在を、リアルに演じられるのは堀北ならではだ。
また、このドラマでは大地真央、檀れい、YOUら、“濃いめ”の女優たちの競演も堪能できる。中でも堀北に振り回される、正義感いっぱいの相棒が、発泡酒のCMで世の男たちを振り回しているはずの檀れいというのは、ちょっと苦笑いだ。
だが、それ以上に興味深いのは、動画での犯罪予告、スマートフォンを使ったいじめ、そしてカリスマ主婦ブロガーの実相など、“ネット社会の裏面”をストーリーに取り込んでいることだろう。社会の合わせ鏡としてのドラマという意味で、意欲的な1本といえる。
“愛すべき珍獣”を観察する
「ダメな私に恋してください」(TBS系)
何はともあれ(?)、“深キョン”こと深田恭子である。CMでは常に目にするが、連続ドラマの主演は1年前の「女はそれを許さない」(TBS系)以来だから久しぶりの登板だ。
深キョン、ここしばらく、何してたんだろう。そういえば、私生活もよく分からない。ま、そういう生活感というか、現実感が希薄なところも深田の持ち味だ。
今回のヒロイン、「ダメな私」であるところの柴田ミチコには、そんな深田の“ゆるふあ感”が存分に生かされている。「職なし、金なし、彼氏なし。貢ぎ体質の30歳。会社が倒産し仕事も失う。無類の肉好きで肉のためならどんな努力も惜しまない」というキャラが、こんなに似合う女優も少ない。
そして、このドラマの深田は、何とも理屈抜きでかわいい。正確に言えば、33歳の深田が演じる30歳のミチコがかわいいのだ。
自分に自信がなくて、臆病で、思い込みが激しくて、恋愛を含む人間関係においても不器用なミチコ。でも、その明るさと、世間ずれしていないピュアな内面は、“愛すべき珍獣”とでも呼びたくなる。
つい毎週見てしまうのは、番組の視聴というより、ミチコ=深キョンという珍獣の“観察”なのかもしれない。そう、観察ドラマだから、年下のカレシ・三浦翔平との進展も、元上司で間借り先の大家でもあるディーン・フジオカとの関係も目が離せないのだ。
ライト感覚のラブコメでありながら、全体が実に丁寧に作られていることにも好感が持てる。
(ヤフー!ニュース「碓井広義のわからないことだらけ」2016.02.15)
碓井広義のわからないことだらけ:
http://bylines.news.yahoo.co.jp/usuihiroyoshi/

視聴者共感できず…
低迷の今季ドラマでSMAPメンバーに明暗
低迷の今季ドラマでSMAPメンバーに明暗
視聴率低迷が目立つ今季ドラマだが、解散騒動のSMAPにもはっきり明暗が分かれたようだ。
「やはりメイン視聴者は中高年層なので、ラブストーリーよりも、いつ巻き込まれてもおかしくない“事件と医療モノ”が一定の数字が見込める鉄板ネタ。それに、事件や医療モノなら老若男女幅広く役者を起用できるので、警察や病院を舞台にしたドラマが増えるのです」(ドラマ制作関係者)
そんな中、初回から視聴率17.1%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)と唯一、15%超えで好発進したのが、過去4回の単発ドラマが連ドラ化された草なぎ(※)剛主演の「スペシャリスト」(テレビ朝日系・木曜21時)。冤罪(えんざい)で10年間服役した刑事が、あらゆる犯罪者の犯行手口や動機、心理を全て頭にたたき込んだスペシャリストとして事件を解決するという大胆な設定だ。
上智大学の碓井広義教授(メディア論)は、こう絶賛する。
「テレ朝と東映がタッグを組んで制作しただけあり、見応え十分。大どんでん返しもある、先が読めない斬新な脚本で、刑務所で鍛えられた“特殊能力”で解決の糸口をつかむというのはわかりやすい。“第2の相棒”になるかもしれない」
SMAP解散騒動の渦中での初回放送だったが、現場は和やかだったという。
「草なぎさんは最近ギターにハマっているようで、サプライズで行われた南果歩さんの誕生日のお祝いにも、ギターを持ち込んで生演奏を披露してくれました」(撮影現場関係者)
一方、香取慎吾演じる40歳目前の独身貴族とその家族を描いた「家族ノカタチ」(TBS系・日曜21時)は、3話までの平均視聴率が9%台と苦戦している。
「ロケ先の飲食店が某週刊誌編集部の近くで、香取が発見されてしまった。騒動についてコメントをもらおうと狙われて、なんとかガードしたものの、ヒヤヒヤしました」(現場関係者)
騒動の余波もあったSMAPドラマだが、なぜ明暗が分かれたのか。コラムニストの桧山珠美氏が言う。
「『家族ノカタチ』は、『結婚できないんじゃなくてしないんだ』というセリフでおなじみのように、阿部寛主演の人気ドラマ『結婚できない男』と酷似していて既視感バリバリ。筋トレ好きな偏屈男という役柄なので、RIZAPで鍛えた肉体美だけが見どころ。ファンだけが満足できるのではないでしょうか」
人気作の“二匹目のどじょう”を狙ったようだが、
「こだわりが強くて独身ライフを謳歌(おうか)しているという同じ設定でも、香取演じる独身男は、他人を拒否し、いつもイライラしていて不機嫌な人にしか見えない。共感できない主人公だと、どうしても視聴者はついてこないのです」(碓井教授)
※「なぎ」は弓偏に前の旧字体。その下に刀
(週刊朝日 2016年2月19日号)

【人間ドキュメント・倉本聰】
あの人気ドラマの始まりは“怒り”だった
あの人気ドラマの始まりは“怒り”だった
『前略おふくろ様』『北の国から』『風のガーデン』など数々のヒットドラマを世に送り出してきた倉本聰さん。大震災、原発事故、安保法案などで社会が揺らぐ中、7年ぶりの公演となる舞台『屋根』に何を込めたのか――。粉雪の舞う、氷点下の北海道・富良野に訪ねた。
この正月で81歳になった脚本家の倉本聰さん。1977年秋に北海道富良野市に移住して38年になる。
「富良野はね、夏は35~36度になるし、冬はマイナス35度くらいまで、当時は下がった。四季の激しいところに住みたかったんです」
取材した日も零下10度近い厳寒。サラサラのパウダースノーが積もった道を、杖を手にした倉本さんはしっかりと踏みしめながら歩く。
今も脳裏によぎるのは、富良野で迎えた最初の夜。森に建てた家には工事の手違いで電気が入っていなかった。シュラフ(寝袋)にもぐり込み、ひとり恐怖に震えた─。
「最初は熊とか現実的なものの怖さ。それが、時間がたつにつれ、何か霊的なものの怖さに変わりましたね。自然の中でいちばん怖いのは“闇”なんですよ。真の闇の中にいると、自分の手も見えないから、船酔いみたいになります。早く太陽が上がってくれと震えていると、小鳥の声が聞こえて白んできた。初めて太陽のありがたさに気がつきました」
冬を迎えると、ひどいうつになった。何もする気が起きず、死にたくなる。外は零下30度だ。ジープの中で寝てしまえば死ねる――。
フラフラと外に出て行こうとすると、飼い犬のヤマグチが飛んできて、服の裾を引っ張って引き戻してくれた。
「ヤマグチは熊狩りに使う北海道犬なんですが、何か感じたんでしょうね。医者に行くと、“毎年冬になるとうつが出ますよ”なんて言われましたが、僕の場合、たぶん、あまりのカルチャーショックが原因じゃないかなと思っているんです。いまでは、冬になると落ち着きますから」
間もなく、東京にいた妻で舞台女優の平木久子さんも富良野で一緒に暮らし始めた。
地元に知り合いが増えると、厳しい自然の中、知識に頼るのではなく、知恵で乗り切る北海道人のたくましさに、感動を覚えた。
もし、こうした富良野での体験がなかったら、倉本さんの代表作『北の国から』(フジテレビ系)は生まれなかったかもしれない。
'81年10月にスタートした『北の国から』は、翌年の3月まで24話を放送。その後も『'83 冬』『'84 夏』など8話のドラマスペシャルが、2002年まで放送された。21年という長い間、同じ俳優が同じ役を演じ、30パーセントを超える高視聴率をしばしば記録した。
この人気テレビドラマの始まりは“怒り”だった。
「東京の人がイメージする北海道のドラマを書いてくれませんかとプロデューサーに言われて、僕はコチンときて、“ふざけるな!”と。それで、北海道の人が見て、本当の北海道だと感じるドラマを書きたいと思ったんですよ」
物語は富良野出身の黒板五郎が長男・純と長女・蛍を連れて、東京から戻ってきたところから始まる。最初に住んだ家には電気も水道もない。純は“電気がない!?”と驚く。
純「電気がなかったら暮らせませんよー!」
五郎「そんなことないですよ」
純「夜になったらどうするの?」
五郎「夜になったら眠るんです」
やがて五郎は風力発電で電気を起こし、沢から水を引いて質素な生活を続ける。子どもたちは地元の人たちに見守られ、逞しく成長していく。
『北の国から』の魅力を、上智大学教授で、かつて倉本さんとドラマを作っていた碓井広義さん(60=メディア論)はこう解説する。
「ドラマが始まった'80年代初めは、やがてバブルに至る景気のいい時代ですが、世の中の浮かれ調子とは真逆の方向に五郎さん一家は進んでいった。それがすごく新鮮で、驚きでもありました。泣いたり笑ったり楽しく見せてくれながら、倉本先生は本質的なテーマを奥のほうに潜ませているんですよね。本当に人間にとって何が大切なのか。お金より、ときに1杯の水が大事だったりするとか。もう、ずるいくらい上手だから(笑い)、非常に厚みのある奥深いドラマになっていたんです」
碓井さんによると、倉本さんが人物を書くときの造形方法は独特なのだという。
「倉本先生は登場人物を履歴書から作るんです。いつどこで生まれて、どんな子ども時代を過ごし、どんな友達がいて社会に出てどんな体験をしてきたのか。あそこまで徹底的に掘り下げる脚本家はほかにいないですよ。だから、うわべだけの人間は出てこないしウソくさくないんですよ」
富良野市郊外の麓郷地区には、五郎が作った小屋など、ロケで使った施設が保存され公開されている。
「拾って来た家」の運営管理をする「ふらの観光協会」の北島範男さんによると、オープンした2003年には40万人が来訪。最高で1日に1万人が来た日もあったそうだ。
「富良野はスキーの街でしたが、ドラマのおかげで、こんなにきれいな街なんだと知れ渡りました。ドラマが終わって13年たちますが、今も年間15万人が訪れます。毎年来てくださるリピーターもいて、すごいねと、みんな感心しているんですよ」
JR富良野駅近くにある「北の国から」資料館には、平成26年度は2万人が訪れた。来訪者は若者から高齢者まで幅広く、涙を流しながら見入るファンもいるそうだ。
その後、フジテレビで'05年に『優しい時間』、'08年に『風のガーデン』が放送された。舞台になった喫茶店やガーデンは富良野の人気スポットになっている。
取材・文/萩原絹代
(週刊女性 2016年2月9日号)

「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。
逢坂剛、南伸坊、三谷幸喜 『ハリウッド黄金期の女優たち』
七つ森書館 2700円
往年のハリウッド美人女優164人の写真を前に、映画好き3人が純愛、熱愛、偏愛を語り合う。『ハリウッド美人帖』の続編だが、三谷の参戦でテンションが上昇。「性欲は?(笑)」「強いと思う」などと失礼な妄想も頻出している。女優愛、ここに極まれりだ。
井上麻矢 『夜中の電話~父・井上ひさし最後の言葉』
集英社インターナショナル 1296円
著者がこまつ座の社長に就任したのは2009年秋。井上ひさしが、がんの告知を受けた頃だ。残された時間の中で、父は娘に演劇と劇団について語り続ける。「どんな仕事も一個一個片づけていけばいい」をはじめ、収められた77の言葉は知恵と愛情に満ちている。
都築響一 『圏外編集者』
朝日出版社 1782円
若者たちの自室、独居老人、さらに珍スポットまで、それまでなかったテーマの本を生み出してきた著者。だが、「編集のノウハウなんて存在しない」が信条だ。ネットに頼らない。興味をもった人や場所には直接当たる。「自分で見つける」醍醐味こそが原動力だ。
松本博文 『東大駒場寮物語』
角川書店 1944円
東大駒場寮をめぐるノンフィクションだ。明治期に一中(後の一高)の寄宿舎として始まった学生寮が、大正、昭和を経て、15年前に幕を閉じた。それぞれの時代と社会を背景に、学生たちが過ごした破天荒な青春。著者は存続運動にも携わった元寮委員長である。
馬場マコト『朱の記憶~亀倉雄策伝』
日経BP社 1944円
約半世紀前の東京オリンピックで使われたエンブレム。朱色の太陽と黄金の五輪、そしてTOKYO1964の文字で構成された力強いデザインは亀倉の作だった。戦中のプロパガンダから戦後の国家的イベントまで、日本のデザイン界をリードし続けた男の生涯をたどる。
(週刊新潮 2016年2月11日)

「うざいんだよ、どけ!」
毒舌の堀北真希が話題
毒舌の堀北真希が話題
暖冬なのに、“ふた桁視聴率がとれれば万々歳”というドラマ厳冬時代の新春ドラマが始まった。
今期は、“キャラ変え”で新境地を切り開いた役者も話題を集めている。
その一つが、「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」(日本テレビ系・水曜22時)で毒舌巡査を演じる堀北真希だ。これまで「梅ちゃん先生」など、上品で清純なイメージが強かったが、今回は黒いライダースジャケットを着た“ブラック堀北”が「バーカ」「ウザいんだよ、どけ!」と言い放つ。
「電撃結婚後、“交際0日婚”や“中華料理をあまり食べたことがない”など、不思議で変わった一面が垣間見られているので、ホワイト堀北よりも、むしろハマっていますね」(コラムニストの桧山珠美氏)
さらに、他人の心の声を聞くことができ、事件現場に残った犯人や被害者の心の叫びまで聞き取れる“特殊能力”で事件を解決していく。現場で核心に迫る声を聞き「シンクロ(同調)しました」と言って堀北が失神、チームが出動するという奇妙な筋書きなのだ。
「事件の核心に迫る声が聞けるなんて、『これって、ありなの』と思っちゃうキワモノ設定に苦笑い。おもしろいという視聴者もいる一方で、特殊すぎて苦手意識をもつ視聴者もいるのではないか。ただダークな堀北の陰で、飄々としたキャラで重要人物を演じるDAIGOが対照的でおもしろいですね」(上智大学の碓井広義教授[メディア論])
突拍子もない設定だが、事件の題材は、動画での殺害予告、カリスマ主婦ブロガーの実相など、“ネット社会の闇”が描かれている。
「現代社会の合わせ鏡としてのドラマという意味では、ネット社会の問題に切り込んでいて評価できる」(同)
一方、セクシー担当の斎藤工が、犯罪学者という新たな一面を見せている作品が、有栖川有栖の人気小説が原作の「臨床犯罪学者 火村英生の推理」(日テレ系・日曜22時30分)だ。斎藤演じる火村と窪田正孝演じる推理作家有栖のコンビが、警察そっちのけでスピード解決する、これもまた異色作。
斎藤の代名詞といえば“壁ドン”だが、1月中旬に出演した「おしゃれイズム」では、壁ドンを披露して勢い余ってセットを壊した“珍事”が話題となった。
「セットを壊したことで、“壁ドン俳優”というイメージを壊す伏線になったのではないかと、笑い話になるほど和気あいあいとした現場です」(日テレ関係者)
これまでヒロインを引き立てる役が多かったものの、「ようやく俳優としての評価が問われる期待作。『女なしでもやっていける』と言わんばかりのイキイキした演技に注目ですね」(碓井教授)
(週刊朝日 2016年2月19日号)

「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。
鶴見俊輔 『まなざし』
藤原書店 842円
昨年7月に他界した著者の追悼出版だ。石牟礼道子、岡部伊都子、小田実など、敬愛する人物たちについて書かれた文章の鋭さと的確さ。また祖父・後藤新平、父・鶴見祐輔、姉・鶴見和子など血縁を語る言葉の公平さと温かさ。じっくりと味わいたい。
御厨貴・橋本寿朗・鷲田清一:編
『わが記憶、わが記録~堤清二×辻井喬オーラルヒストリー』
中央公論新社 3456円
巨大流通グループを率いた実業家・堤清二。谷崎潤一郎賞や野間文芸賞を受賞した小説家・辻井喬。一人の人間の内部で両者はいかに共存し、また分裂していたのか。3人の優れた聞き手による29時間のインタビューは、個人史であると同時に貴重な現代史でもある。
アニエス・ジアール:著 山本規雄:訳
『[図説] “特殊性欲”大百科 ~“ビザール”の生態学』
作品社 2592円
著者はフランスの女性ジャーナリストであり性文化研究者。取材で集めた当事者の証言と豊富な図画像は、人間の性的欲望の形は無限とさえ思わせる。ラバーフェチからペットガール、武器愛好者までの294態は、果たしてビザール(奇怪、異様)な快楽か?
(週刊新潮 2015年2月4日号)

日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。
今週は、深田恭子主演「ダメな私に恋してください」(TBS)を取り上げました。
TBS系「ダメな私に恋してください」
つい毎週見てしまう理由は・・・
つい毎週見てしまう理由は・・・
何はともあれ深キョン、深田恭子である。CMでは常に目にするが、連続ドラマの主演は1年前の「女はそれを許さない」以来だから久しぶりだ。
深キョン、何してたんだろう。そういえば、私生活もよく分からない。ま、そういう生活感というか、現実感が希薄なところが深田の持ち味だ。
今回のヒロイン・柴田ミチコは、そんな深田の“ゆるふあ感”が存分に生かされている。「職なし、金なし、彼氏なし。貢ぎ体質の30歳。会社が倒産し仕事も失う。無類の肉好きで肉のためならどんな努力も惜しまない」というキャラが、こんなに似合う女優はいない。
そして、このドラマの深田は理屈抜きでかわいい。正確に言えば、33歳の深田が演じる30歳のミチコがかわいいのだ。自分に自信がなくて、臆病で、思い込みが激しくて、恋愛を含む人間関係においても不器用なミチコ。でも、その明るさと、世間ずれしていないピュアな内面は、“愛すべき珍獣”と呼びたくなる。
そう、つい毎週見てしまうのは、番組視聴というより、ミチコ=深キョンという珍獣の“観察”なのかもしれない。年下のカレシ・三浦翔平との進展も、元上司で間借り先の大家でもあるディーン・フジオカとの関係も目が離せないのだ。
ライト感覚のラブコメでありながら、全体が実に丁寧に作られていることにも好感が持てる。
(日刊ゲンダイ 2016.02.09)

テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」で、ベッキー問題についてコメントしました。
放送では、電話取材で話をした内容の一部が、パネルになっていました。
なんだかテレビっぽいですね。
って、テレビか(笑)。



MCは木村郁美アナウンサー
「TBSレビュー」
2016年2月7日 (日)
あさ 5時30分〜6時
2016年2月7日 (日)
あさ 5時30分〜6時
町工場の技術者の夢と誇りを、
エンターテインメントに徹して描いた
「下町ロケット」。
昨年、
視聴者から最も支持された
TVドラマでした。
その理由を探り、
今後のドラマの可能性とあり方を
考えていきます。
エンターテインメントに徹して描いた
「下町ロケット」。
昨年、
視聴者から最も支持された
TVドラマでした。
その理由を探り、
今後のドラマの可能性とあり方を
考えていきます。

NEWSポストセブンで、「開運!なんでも鑑定団」石坂浩二問題について解説しました。
石坂浩二の発言カット騒動
プロデューサーの強大な権限とは
プロデューサーの強大な権限とは
俳優・石坂浩二(74)の『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京系)降板騒動は、石坂の発言シーンが2年ものあいだ不自然にカットされていた問題に端を発した。その背景にはチーフプロデューサーとの確執があったと報じられ、波紋を広げている。
およそ22年も続く長寿番組の功労者である大御所芸能人にこのような“仕打ち”ができるほど、プロデューサーの権力とは強大なものなのか。
元テレビプロデューサーで上智大学教授(メディア論)の碓井広義さんは、その権限と責任についてこう解説する。
「プロデューサーには『ヒト・モノ・カネ』に対して、それぞれ権限と責任が与えられています。どういうタレントを使うか、どういう制作チームを編成するか(=ヒト)、番組の中身をどう作っていくか(=モノ)、予算をいかに確保するか、番組のどこに経費をかけるか(=カネ)、これらを決めるのがプロデューサーの仕事です。
いわば番組の王様のようなものですが、通常、番組をゼロから作る際には局や出演者などと話し合いながら決めていきます。しかし途中から入ってきたプロデューサーが自分のカラーを出そうと強引にキャスティングを変えたりコーナーを刷新したりしようとすると、軋轢が生じやすくなります。
今回の場合、石坂さんを出すかどうかはプロデューサーの権限の範囲。しかし報道にあるようなことが事実であるとすれば、番組への愛情や思い入れがなかったんじゃないかな、と思います。モノづくりに対しても不誠実だと思います」(碓井広義さん、以下「」内同)
この騒動を最初に報じた『女性自身』は、酒席で石坂とトラブルを起こした制作責任者が、石坂を自主降板へと追い込むために2年ほど前から石坂の発言シーンをカットしているという番組関係者の証言を紹介した。それを見たネットユーザーたちからは、「陰湿なイジメだ」、「パワハラだ」と、制作責任者やテレビ東京を批判する声が相次いだ。
「実は私と私の家族も『鑑定団』のファンで、番組が始まってから20年以上、毎週観ている番組の一つです。確かにいつからか、石坂さんがあまりしゃべらないことには気づいていたんです。家族で『変だね』とは言っていましたが、報道を見て『まさか』と驚きました」
当の石坂本人はスポーツ紙などの取材に「どうせ放送されないから、何を言っても大丈夫だと安心してやっていますよ」と答えるなど、騒動に対しては大人の対応を見せている。石坂ほどの大物でも、相手がプロデューサーとなれば侮辱的な仕打ちでも耐えなければならないのだろうか。
「どうまとめるかは制作側が決めることなので、出演者は普通、制作に口出しはしないものです。映画なんかでも、監督がシーンをカットしたからといって文句を言う役者はいませんよね。石坂さんは役者さんだから、そのことをよくわかってらっしゃるんだと思います。
カメラの前で自分の役割をきちんとこなすことができて、ギャラもちゃんと出ているのであれば、淡々と仕事を続けるのはある意味プロなら当たり前のことです。ただ、こういうことが明るみに出たのは石坂さんに対して失礼。応援してきた視聴者としても、残念なことです」
4月からは石坂に代わり、フリーアナウンサーの福澤朗(52)が司会を務める。そして石坂は、BSジャパンで4月からスタートする新番組『開運!なんでも鑑定団・極上!お宝サロン(仮)』の司会に就任することが決まった。本家からは去るが、新しい居場所ができたことでファンは一安心か。結果的にこれで良かったのかどうかは、微妙なジャッジである。
(NEWSポストセブン 2016.02.05)