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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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芳根京子には、「成長物語」がよく似合う

2025年02月19日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

「成長物語」がよく似合う

芳根京子主演

「まどか26歳、研修医やってます!」

 

芳根京子の連続ドラマ初主演は2015年の「表参道高校合唱部」(TBS系)だった。

あれから10年。何本もの主演作を経てきたが、今回はかなりのハマり役だ。「まどか26歳、研修医やってます!」(同)である。

ハマっているのは、ヒロインの若月まどか(芳根)が医師ではなく研修医だからだ。病院内の各科を順番に回りながら経験を積み、将来の専門を決めていく。

未熟な者が切磋琢磨する修行の旅。そんな「成長物語」が芳根にはピッタリだ。

泌尿器科では膀胱がんの女性患者(佐々木希)と出会った。入院で大切な仕事を失った彼女は絶望し、膀胱の全摘手術を拒否する。

まどかは、彼女が好きな格闘技を梃子にしながら前向きな気持ちを引き出していく。

また消化器内科には、末期がんの男性患者(小久保寿人)がいた。

抗がん剤治療から緩和ケアへと移行する中、まどかは患者のために何が出来るのかと悩む。それは医師とは何かという根本的な命題に通じている。

このドラマの長所は、シリアスと軽みのバランスの良さだ。シビアな医療現場と今どきの若者である研修医の素顔を巧みに交差させていく。

双方を繋いでいるのは、奥田瑛二や佐藤隆太などが好演する先輩医師たちだ。

まどかが模索する「患者との向き合い方」は、そのまま現在の医療に対する問いかけでもある。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2025.02.18)


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