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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

ラッパ屋の新作「おじクロ」が幕を開けた

2012年11月09日 | 舞台・音楽・アート

「おじクロ」である。

「ももクロ(ももいろクローバーZ)」ではない。

ラッパ屋の新作が「おじクロ」なのである。

しかも、まじで「おじさんクローバーZ」なのだ(笑)。

脚本・演出の鈴木聡さん、いわく・・・

「かなりヘビーだが笑ってみせる。それはももクロの少女たちの志でもあるが、ラッパ屋の芝居の志でもある。僕がももクロを好きになった一番の理由は、たぶんそれなんだな。大変な時こそ笑っていこう。今年、ももクロが人気になったのは、そんなこととも関係があるんじゃないかと思ってます」

・・・そうか、ももクロの「全力の魅力」の背後には、そんな意味があったのか(笑)。


そして、この新作芝居だ。

初日というのは役者さんも緊張するだろうが、ラッパ屋に20年来通っている私も緊張する(笑)。

でも、そこがまた初日の良さだ。

大田区にありそうな町工場が舞台。

不況下での経営は大変だ。

下請け中小企業の苦労は十分リアルで、笑いの中に苦さもある。

そして、この状況だからこそ、「かなりヘビーだが笑ってみせる」おじさんたちが愛おしい。

あっぱれ、「おじクロ」のパフォーマンスも期待以上だ(笑)。

笑って、手拍子を打ちながら、つい、ちょっと泣けてきたりして。

さすがラッパ屋だ。


開演前には、紀伊国屋ビル地下の「モンスナック」に寄った。

ここのポークカレーが好きだ。

紀伊国屋書店もしくはホールへ来た時の、学生時代から変わらない習慣みたいなものだから、もう35年以上もポークカレーを食べている(笑)。

昔、いつ入っても、名物ママさんがカウンターの奥にいて、いわばモンスナックの象徴みたいなものだったけど、今はもうその姿は見られない。

でも、細いコの字型のカウンターの椅子に座って、黄金色がスープに浮かぶポークカレーを食べていると、今が、どの時代なのか、ふとわからなくなる。

頃合いを見計らって、4階まで階段を上がった。

ホール入口の先では、いつものように脚本・演出の鈴木聡さん自ら、お出迎えだ。



ああ、今年もラッパ屋が見られた。

これで年が越せる(笑)。

鈴木さんに感謝しながら、客席へと向かった。

シワワセな時間だ。


芝居が終わってロビーに出たら、テレビマンユニオンの後輩である
小林正樹監督(映画「がんばっぺ フラガール!~フクシマに生きる。彼女たちのいま~」)に出会った。

こういう場所での再会も嬉しい。

そこに鈴木さんも加わって、しばし3人で談笑。

いい夜でした。


公演は18日(日)まで、新宿・紀伊国屋ホールです。