NHK経営委員長の数土氏が、最終的に東電の社外取締役になることを選んだ。
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数土氏に「兼職」批判根強く
次期委員長人選と改革課題に
NHK経営委員長と東京電力社外取締役との兼職について、22日の会見では「問題ない」と言い切った数土文夫氏だが、受信料という国民からの信頼が欠かせない制度に支えられたNHKのトップの立場では、「報道の公正さを保てるのか」という懸念を前に、「企業人の論理」を押し通すことはできなかった。
東電が数土氏を迎える方針が報じられたのは12日。川崎製鉄とNKKを経営統合したJFEホールディングス社長を務めた手腕などが買われた人事で、就任要請は10日に行われていた。数土氏はいったんは兼職批判への懸念を理由に固辞したが、再度の要請で受諾。NHKの松本正之会長に報告したのは、内定後の14日午後だった。
NHK幹部は「事前に相談があれば、予想される反響などが説明できた」と話す。実際、視聴者からの反響の大半は兼職への批判。朝日新聞などから「報道の中立性を疑わせる」とも批判され、数土氏は22日、「NHKの番組編成は放送法で公平公正、不偏不党が保証されている」「東電の社外取締役は国にいいなりになるのとは全く逆」などと理解を求めることになった。
数土氏は昨年10月に議決した3カ年の経営計画で、当初は受信料値下げに難色を示した執行部に計画案の見直しを迫り、最終的に月額最大120円の値下げを実現させた。ただ、他の委員からは「人の意見に耳を貸さない」との声も聞かれ、“剛腕”の陰に不満もくすぶっていた。
前任の小丸成洋福山通運社長は、NHK会長人事を混乱させたとして昨年1月に引責辞任。2代続いた辞任劇の後任は互選で決まるが、10月からの受信料値下げと引き替えに今後3年間で810億円の増収が必達とされ、放送のネット同時再送信で民放との協調体制が求められるなど、背負う課題は今以上に重い。
上智大の碓井広義教授(メディア論)は「相次いだ辞任は経営委員長の人選ミスを露呈している。企業経営とNHKの“経営”の中身は同じではない。今回の騒動は経営委の役割と人選を考え直す良い機会では」と指摘している。
(産経新聞 2012.05.25)
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(2012.05.20)