もう20年くらい前のこと。徳間文庫が「梶山季之 ノンフィクション選集」という5巻シリーズを出してくれて、とても有難かった。当時は、小説だけでなく梶山さんのノンフィクションも読みたかった読者にとって、なかなかその機会がなかったのだ。出たのは『日本の内幕』『実力経営者伝』『日本事件列島』『昭和人物伝』『ルポ戦後縦断』といったラインナップ。梶山さんが週刊誌のトップ屋時代に書いた、有名な「皇太子の恋」も、この文庫のおかげで読むことができた。
今日、AMAZONに注文しておいた光文社文庫「開高健ルポルタージュ選集」が届いた。『日本人の遊び場』『ずばり東京』『過去と未来の国々~中国と東欧』『声の狩人』『サイゴンの十字架』の全5冊。昨年の夏から刊行が始まっていたのだが、そのうちにと思っている間に、書店の棚から見えなくなり、困っていたのだ。今年の3月ころに5巻目が出て全巻揃い。で、AMAZONにて大人買い(文庫だもん)。こういうときのAMAZONは便利です。
『ずばり東京』(うまいタイトルだよなあ)は、以前、文春文庫で読んでいるが、同じく昭和30年代後半の「週刊朝日」に連載された『日本人の遊び場』は今回が初めてだ。高度成長期に突入した日本。モーレツ社員の登場。そんな社会状況の中、あえて「遊び場」をテーマにしているのも開高健らしい。パチンコ・ホール、マンモス・プール、ナイター釣堀、ヘルスセンターなどと並んでボウリング場が登場する。ボーリング場ではなくボウリング場だ。今から50年近く前、当時の東京での最先端の遊び場。
この文章の中で、開高はボウリング場について述べる前に、「日本の空気は酸素と窒素とわびしさからできている」と書いている。その上で、ボウリング場について「能率。明快。豪奢。騒音。清潔。健康。広大さ。ジューク・ボックス。コカコラ(原文のまま)。ホット・ドッグ・・・・こうまで徹底的に”アメリカ”でおしまくられたらつい福神漬けの肩も持ちたくなってくるじゃないか」とくるのだ。うーん、うまいなあ。
読んでいて思い出したのは、先日初めて行ってみた「東京ディズニーシー」のことだ。そりゃ、あそこにはアメリカのイメージだけでなく、南太平洋の火山島だの中世アラビア文明風の都市だのもあるが、全体はやはりディズニーのアメリカである。しかも、まさに「能率。明快。豪奢。騒音。清潔。健康。広大さ。ジューク・ボックス。コカコラ。ホット・ドッグ」。もちろんよく出来ているし、それなりに楽しいわけだが、開高がボウリング場について端的に表現した「豪快明朗の無菌室」が、良くも悪くもぴったりくる。東京ディズニーランドもディズニーシーも、半世紀前のボウリング場だったのだ。
人ごみ、人波、行列など、飛び込むのも見るのも苦手で、日曜日や祭日といった世間がお休みの日には、できるだけ外出しないようにしているし、平日も大学のキャンパス以外の「人が集まる場所」には行かないようにしているのに、このとき、なぜ「東京ディズニーシー」に出かけたかについては、いずれまたということで。
今日、AMAZONに注文しておいた光文社文庫「開高健ルポルタージュ選集」が届いた。『日本人の遊び場』『ずばり東京』『過去と未来の国々~中国と東欧』『声の狩人』『サイゴンの十字架』の全5冊。昨年の夏から刊行が始まっていたのだが、そのうちにと思っている間に、書店の棚から見えなくなり、困っていたのだ。今年の3月ころに5巻目が出て全巻揃い。で、AMAZONにて大人買い(文庫だもん)。こういうときのAMAZONは便利です。
『ずばり東京』(うまいタイトルだよなあ)は、以前、文春文庫で読んでいるが、同じく昭和30年代後半の「週刊朝日」に連載された『日本人の遊び場』は今回が初めてだ。高度成長期に突入した日本。モーレツ社員の登場。そんな社会状況の中、あえて「遊び場」をテーマにしているのも開高健らしい。パチンコ・ホール、マンモス・プール、ナイター釣堀、ヘルスセンターなどと並んでボウリング場が登場する。ボーリング場ではなくボウリング場だ。今から50年近く前、当時の東京での最先端の遊び場。
この文章の中で、開高はボウリング場について述べる前に、「日本の空気は酸素と窒素とわびしさからできている」と書いている。その上で、ボウリング場について「能率。明快。豪奢。騒音。清潔。健康。広大さ。ジューク・ボックス。コカコラ(原文のまま)。ホット・ドッグ・・・・こうまで徹底的に”アメリカ”でおしまくられたらつい福神漬けの肩も持ちたくなってくるじゃないか」とくるのだ。うーん、うまいなあ。
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読んでいて思い出したのは、先日初めて行ってみた「東京ディズニーシー」のことだ。そりゃ、あそこにはアメリカのイメージだけでなく、南太平洋の火山島だの中世アラビア文明風の都市だのもあるが、全体はやはりディズニーのアメリカである。しかも、まさに「能率。明快。豪奢。騒音。清潔。健康。広大さ。ジューク・ボックス。コカコラ。ホット・ドッグ」。もちろんよく出来ているし、それなりに楽しいわけだが、開高がボウリング場について端的に表現した「豪快明朗の無菌室」が、良くも悪くもぴったりくる。東京ディズニーランドもディズニーシーも、半世紀前のボウリング場だったのだ。
人ごみ、人波、行列など、飛び込むのも見るのも苦手で、日曜日や祭日といった世間がお休みの日には、できるだけ外出しないようにしているし、平日も大学のキャンパス以外の「人が集まる場所」には行かないようにしているのに、このとき、なぜ「東京ディズニーシー」に出かけたかについては、いずれまたということで。