『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

・光と風と水と緑と(安藤忠雄ガールズ:上)

2011年05月04日 14時55分01秒 | ■芸術・建築の巨匠たち

 『今日から日経新聞の【私の履歴書】安藤さんの連載ですね。毎日が楽しみになります』

 3月1日、その「メール」をもらった。相手は、これまで登場したA嬢、N嬢そしてU子さん同様「わがアラフォー美女団」の一人、M嬢だ。しかしそのとき、拙宅の新聞は「日経」ではなかった。もちろんその旨返信した。

 翌日、「連載記事」についての彼女のメールが入った。

 『設計、建築の方もいろいろなご苦労があるんだなあ~と、安藤さんを少し身近に感じることができました。この週末、淡路島に行ってきます。遊びではないので、ゆっくり安藤さんの建物を楽しむ余裕がなく残念です』

 その後もM嬢からのメールは何回も続いた。『……今日の記事は「光の教会」を作られた時のお話です。新聞がもらえたらとっておきます』、『……安藤さんの新聞記事、何回分か貰ってきています。残りも貰えたらと、新聞がたまるのを待っています。楽しみにしててくださいね』。

 M嬢は、建築とは無関係の医療関係の事務の仕事をしている。実は彼女は、不動産会社時代の私のお客様だった。仲介マンションの購入者であり、レトロな感じが好きだというのがその動機だった。
 『緩やかな曲線の道路に沿った九階の角部屋から、市井(しせい)の夜景が何とも魅力的に映える……』というセールスポイントに共感できるお客様でもあった。

 それ以来の交友だが、彼女と会うといつも“建築”の話が中心となり、無垢材から木造住宅ことに「古民家」などの話へと発展していく。散策を兼ねて一緒に「街並み」や「建物」に見入ることもあった。そして「建築家」となれば自然に「安藤忠雄」氏となる。
 
 つまり「安藤さん」のファンであるM嬢――。
 それにしても「安藤ファン」はなぜか女性が多い。しかも“建築関係者ではない”というのが特徴だ。“安藤氏以外”の建築家の「講演会」(開催自体きわめてまれ)は、圧倒的に関係者それも男性が多い。
 ところが「安藤さん」となると講演会場の雰囲気が一変する。まず女性、それも結構若い世代が目立つ。

 なぜ『安藤忠雄ガールズ』は多いのだろうか? おそらくその理由は、

 第一に、テレビ・雑誌などに登場する建築家といえば、圧倒的に安藤さんが多いということが挙げられる。
 第二に、建築家としての安藤さんの考えが、“一般の人にも判り易くまたシンプルである”ということに尽きる。
 気取らない風貌や話し方も、「気さくなおじさん」のイメージづくりに貢献したようだ。私にしても、いつしか『安藤さん』という呼びかけが当たり前のようになっている。

 ところで、私が安藤忠雄という建築家に興味を持ったきっかけは、自然体とも言えるその「建築観」いや「自然観」にあった。もう二十年以上前になるだろうか――。

 その日、新聞記事の整理をしながら、漫然とテレビを観ていた。番組の最後にインタビュアが尋ねた。
 『安藤さんにとって建築のテーマとは何でしょうか』。ひと呼吸おいた後、建築家は答えた――。

 ――光と風と、水と緑でしょうか

 私はTV画面の中の建築家を食い入るように見つめた。何と言う答えだろうか。ありふれた用語をシンプルに表現したその口元を見つめながら、何度も“その言葉”を呟いていた。法学部出身の私が、独学で建築を学び始める大きなきっかけとなった言葉だ。

 思えば「安藤建築」には『緑の教会』以外、『光の教会』も『風の教会』も、そして『水の教会』という名称の「教会」が存在する[※註1]。
 しかし、『緑の教会』はなくとも、「建築物」に対する安藤哲学の“”すなわち“自然”に対する基本姿勢は“ブレる”ことなく一貫している。<続く>


 [※註1]:それぞれ「光の教会」、「風の教会」、「水の教会」で「検索」すると関連記事をはじめ「写真・動画」等が出てきます。
 

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