自燈明

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九十七番 権中納言定家

2014年12月17日 | 百人一首

来ぬ人を 松帆の浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ

いくら待っても来ない人を待ち続けて、松帆の浦の夕凪のころに焼く藻塩が焦げるように、私の身もいつまでも恋こがれています。

来ぬ人を 「来(こ)」は、カ変の動詞「来(く)」の未然形。「ぬ」は、打消の助動詞「ず」の連体形。
まつほの浦の 「まつ」は、上を受けて「待つ」、下に続いて「松帆の浦」となる掛詞。
夕なぎに 夕方に海風から陸風にかわるときに起きる無風状態。
焼くや藻塩の 「や」は、詠嘆を表す間投助詞。「藻塩」は、海水を滲みこませた海藻を焼き、水に溶かして煮詰め、精製した塩。「まつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の」は、「こがれ」の序詞。
身もこがれつつ 「こがれ」は、「藻塩」が焼け焦げることと、「(わが)身」が、恋い焦がれることを掛けている。「つつ」は、反復の接続助詞。「焼く」、「藻塩」、「こがれ」は、縁語。

※ 本歌取 (万葉集940の長歌)

ごんちゅなごんさだいえ (1162~1241)
藤原定家 (ふじわらのさだいえ[ていか])  鎌倉初期の歌人。俊成の子。父俊成の幽玄体を発展させた有心体を提唱し、新古今調の和歌を大成した。『新古今和歌集』の撰者の一人であり、後に単独で『新勅撰和歌集』を撰進。『小倉百人一首』の撰者。歌論書『近代秀歌』『毎月抄』、日記『明月記』
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