百敷や 古き軒端の しのぶにも なほ余りある 昔なりけり
宮中の古い軒端の忍ぶ草を見るにつけても、偲んでも偲びつくせないものは、昔のよき(天皇親政の)時代であるよ。
ももしきや 「ももしき」は、宮中。「や」は、詠嘆の間投助詞。
古き軒端の 「軒端」は、軒のはし。
しのぶにも 「しのぶ」は、「偲ぶ」と「忍ぶ草」の掛詞。「偲ぶ」は、懐かしく思う。「忍ぶ草」は、シダ類の植物で、荒廃を象徴する草。
なほあまりある 「なほ」は、やはり。「あまりある」は、いくら偲んでも偲びきれないの意。
昔なりけり 「昔は」は、天皇に権威があった過去の時代。「けり」は、初めて気付いたことを表す詠嘆の助動詞。
じゅんとくいん (1197~1242)
順徳天皇 在位1210~1221 第84代天皇。後鳥羽天皇の第3皇子。承久の乱で敗れて佐渡に配流され、その地で崩御。