丸谷才一 昭和63年 中公文庫版
なんだか知らない丸谷才一の文庫を古本屋で見かけたんで買ってみた、だいぶ前、ことしの夏前だけど。
読んだの最近だけど、これ、文藝評論集だった。
てっきりエッセイ集かと思ってたんだけど。
そしたら文庫の巻末解説(川本三郎)に、
>本書もまた「みみづくの夢」というまるで童話か何かのような書名である。一見まったく文芸評論の本には見えない。(略)
>実際文芸評論集に「星めがね」とか「みみづくの夢」とか「コロンブスの卵」といったファンタスチックで優しい書名をつける評論家がいるだろうか。
なんて書いてあった、そうだ、そうだ。
なかみのタイトルだって、私が無知だからしょうがないのかもしれないが、「あの少年のハーモニカ」が荒畑寒村の話で、「扇よお前は魂なのだから」が堀口大學の話とは、全然見た目でわからなかった。
ちなみに「口笛」は石川淳の話だが、これは石川淳の作品の一部からとってきたわけぢゃなくて、『世説新語』の阮籍と仙人との口笛くらべが、まるで石川の小説の一情景だからというんで、手がこんでる。
それにしてもなんでも、文藝評論なんてものは、あまりおもしろいものではない、ひまつぶしに読むのには向かない。
でも、ときどき、
>いはゆる口語体を文体として完成したのが森鷗外であることはよく言はれてゐるが、しかし、新鮮でしかも拡張の高い文体を創つた点で、未来の文体史の著者はおそらく大岡を鷗外の次に位置させることだらう。(p.201「大岡昇平」)
なんて一節を目にすると、そういや読んだことないな、こんど読んでみるか、って気にさせられるとこはある。
コンテンツは以下のとおり。
最後の「拍手喝采」は、シェイクスピアの『あらし』の終幕の話。
I
男泣きについての文学論
あの少年のハーモニカ
司馬遼太郎論ノート
日本文学史を見わたす
II
四畳半襖の下張裁判二審判決を批判する
里見弴の従兄弟たち
口笛
大岡昇平
III
王朝和歌二首
袖の香
しのぶ草
扇よお前は魂なのだから
IV
拍手喝采
なんだか知らない丸谷才一の文庫を古本屋で見かけたんで買ってみた、だいぶ前、ことしの夏前だけど。
読んだの最近だけど、これ、文藝評論集だった。
てっきりエッセイ集かと思ってたんだけど。
そしたら文庫の巻末解説(川本三郎)に、
>本書もまた「みみづくの夢」というまるで童話か何かのような書名である。一見まったく文芸評論の本には見えない。(略)
>実際文芸評論集に「星めがね」とか「みみづくの夢」とか「コロンブスの卵」といったファンタスチックで優しい書名をつける評論家がいるだろうか。
なんて書いてあった、そうだ、そうだ。
なかみのタイトルだって、私が無知だからしょうがないのかもしれないが、「あの少年のハーモニカ」が荒畑寒村の話で、「扇よお前は魂なのだから」が堀口大學の話とは、全然見た目でわからなかった。
ちなみに「口笛」は石川淳の話だが、これは石川淳の作品の一部からとってきたわけぢゃなくて、『世説新語』の阮籍と仙人との口笛くらべが、まるで石川の小説の一情景だからというんで、手がこんでる。
それにしてもなんでも、文藝評論なんてものは、あまりおもしろいものではない、ひまつぶしに読むのには向かない。
でも、ときどき、
>いはゆる口語体を文体として完成したのが森鷗外であることはよく言はれてゐるが、しかし、新鮮でしかも拡張の高い文体を創つた点で、未来の文体史の著者はおそらく大岡を鷗外の次に位置させることだらう。(p.201「大岡昇平」)
なんて一節を目にすると、そういや読んだことないな、こんど読んでみるか、って気にさせられるとこはある。
コンテンツは以下のとおり。
最後の「拍手喝采」は、シェイクスピアの『あらし』の終幕の話。
I
男泣きについての文学論
あの少年のハーモニカ
司馬遼太郎論ノート
日本文学史を見わたす
II
四畳半襖の下張裁判二審判決を批判する
里見弴の従兄弟たち
口笛
大岡昇平
III
王朝和歌二首
袖の香
しのぶ草
扇よお前は魂なのだから
IV
拍手喝采
