アリステア・マクラウド/中野恵津子訳 2002年 新潮社・新潮クレストブックス
実にひさしぶりに読み返した、買ったとき以来だから、10年ぶりくらいか、カナダの作家の短篇集。
しかし、くだらねえブログだけど、長いことやってると、むりやりにでも昔読んだもの引っ張り出して読み直すことになるんだが、それもいいねえ。
というのも、今回、これ、かなりよかったから。当時なんで読んだのか忘れたけど、ちゃんとしたものも読んでたんじゃん俺。
16篇からなる全短編集『Island』の前半の8篇を訳したのがこの本だってことらしいが、残りの8篇も続刊として出てんなら、買って読まなくちゃと今思ってる。
ちなみに、著者は31年間で16篇しか短編書いてないらしいけど。本業は大学で英文学を教えることだから、しょうがないのかもしれないが。
両親の故郷であり、著者も10歳から住んだという、カナダの東の端のほうのケープ・ブレトン島が舞台であることが多い。
出てくるのは、漁師とか坑夫といった人々。子どもの多い、大家族が登場することが多い。
語り部は意外と若い世代だったりして、息子から見た父や母についてって視点で、物語としては淡々とした口調ではあるかな。んで、タネも仕掛けもないんだけど、読ませるよ。
たとえば、タイトルにもなってる「灰色の輝ける贈り物」は、元炭鉱夫の父をもつ、5人の弟・妹がいる、比較的デキのいい18歳の長男が、その日は学校からまっすぐ家に帰らず、酒場で大人たちを相手に夜通しビリヤードをやって、運がいいことに(他人とまともに勝負するのが初めてにしては実力もあるんだけど)勝ち続けるというだけの話なんだが。
両親はうちで帰りの遅いのを心配してるし、一度は弟が呼びに来たんだけど、かまわず玉を突き続ける。一回の勝負に掛かってるのは1ドルなんだが、結局31ドル勝って、うちに帰る。すると父親は、そのカネを返してこいと言う。相手はどこの誰だか知らないし返せないぢゃないかと言っても聞かない。
それだけの話なんだけど、ひきこまれる。なんでなんだろうな? あらゆることが、とても丁寧に、書いてあるからかな。
「船」(1968)
「広大な闇」(1971)
「灰色の輝ける贈り物」(1971)
「帰郷」(1971)
「秋に」(1973)
「失われた血の塩の贈り物」(1974)
「ランキンズ岬への道」(1976)
「夏の終わり」(1976)
実にひさしぶりに読み返した、買ったとき以来だから、10年ぶりくらいか、カナダの作家の短篇集。
しかし、くだらねえブログだけど、長いことやってると、むりやりにでも昔読んだもの引っ張り出して読み直すことになるんだが、それもいいねえ。
というのも、今回、これ、かなりよかったから。当時なんで読んだのか忘れたけど、ちゃんとしたものも読んでたんじゃん俺。
16篇からなる全短編集『Island』の前半の8篇を訳したのがこの本だってことらしいが、残りの8篇も続刊として出てんなら、買って読まなくちゃと今思ってる。
ちなみに、著者は31年間で16篇しか短編書いてないらしいけど。本業は大学で英文学を教えることだから、しょうがないのかもしれないが。
両親の故郷であり、著者も10歳から住んだという、カナダの東の端のほうのケープ・ブレトン島が舞台であることが多い。
出てくるのは、漁師とか坑夫といった人々。子どもの多い、大家族が登場することが多い。
語り部は意外と若い世代だったりして、息子から見た父や母についてって視点で、物語としては淡々とした口調ではあるかな。んで、タネも仕掛けもないんだけど、読ませるよ。
たとえば、タイトルにもなってる「灰色の輝ける贈り物」は、元炭鉱夫の父をもつ、5人の弟・妹がいる、比較的デキのいい18歳の長男が、その日は学校からまっすぐ家に帰らず、酒場で大人たちを相手に夜通しビリヤードをやって、運がいいことに(他人とまともに勝負するのが初めてにしては実力もあるんだけど)勝ち続けるというだけの話なんだが。
両親はうちで帰りの遅いのを心配してるし、一度は弟が呼びに来たんだけど、かまわず玉を突き続ける。一回の勝負に掛かってるのは1ドルなんだが、結局31ドル勝って、うちに帰る。すると父親は、そのカネを返してこいと言う。相手はどこの誰だか知らないし返せないぢゃないかと言っても聞かない。
それだけの話なんだけど、ひきこまれる。なんでなんだろうな? あらゆることが、とても丁寧に、書いてあるからかな。
「船」(1968)
「広大な闇」(1971)
「灰色の輝ける贈り物」(1971)
「帰郷」(1971)
「秋に」(1973)
「失われた血の塩の贈り物」(1974)
「ランキンズ岬への道」(1976)
「夏の終わり」(1976)
