many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

競走馬私論

2008-12-28 22:41:59 | 好きな本
藤澤和雄 平成15年祥伝社黄金文庫版
調教師である藤澤さんの本。
海外での修業時代から、この本が元々出版されたのが平成11年なので、その前年にタイキシャトルで海外のレースを勝つまでのことが書かれているが、非常に勉強になる。なので、馬関係の後輩にも読むのを進めているが、読んだひとりの感想で「藤澤さんのファンになった」というのがあった。

根底にある「ハッピーピープル・メイク・ハッピーホース」という哲学はもちろんなんだけど、前半戦でまず目をひかれたのは、「頼むから、飼葉だけは同じ時間につけてくれ」という話。
たとえば中央競馬のいまの標準の厩舎だとトレセンの一棟に20馬房あって20頭の馬が同じ屋根の下にいるわけだが、厩務員ひとりあたり2頭の世話をしているんで、それぞれが厩舎に来ては自分の担当している2頭だけに飼葉をやるんだが、そうするとそのひとの持っている2頭は飼葉を食えるのに、隣の馬房にいる別の人が持っている馬は食べらんない。もちろんメシぬきぢゃなくて、ちょっと待てば自分の担当厩務員がやってきて無事食べられるんだけど、馬にはそんなことは理解できない、隣の馬が食べてんのにどうして自分は食べらんないだろうってミジメな気持ちで、たとえ30分くらいの短い時間でも耐えなきゃいけない。そのときの馬の気持ちやいかん? 人間が自分の都合でマチマチの時間にやってくるんぢゃなくて、馬の気持ちを考えて全部の馬に同じときに飼葉をやろうって、藤澤さんは先輩たちに意見する、そんな話。
そのほかにも、藤澤さんが調教師になって開業してから、馬房前の砂地にいつも箒の目を立てること、人や馬の足跡も落としておいてはいけないという話とか、参考になる。キレイにしておけば、おかしなモノが落ちてたら、すぐ気づいて馬のケガを未然に防ぐことができる。
そんな、藤澤さんにしてみれば当たり前なんだろうけど、あらためて活字にされると、そーだよなーって思わされることがいっぱい。ウワサによれば、藤澤厩舎、仕事キツイらしいけど、馬のためにがんばるって、そーゆーことなんだよなーって思う。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする