医療通訳士講座:2009年10月2日・第1週第1回:「医療通訳入門」編よりの課題

2009-10-02 14:13:44 | Weblog

2009年10月2日・第1週第1回:「医療通訳入門」編より

平成21年10月2日 金曜日

東京通訳アカデミー・学院長

★医療通訳の費用をだれが負担するべきか等の諸点についての次の意見の当否について、貴方自身の意見を(A4サイズ1枚以内の範囲で)述べなさい。



意見:この問題の考察に当たっては、医療通訳によって誰が利益を受けるのかという視点を欠かせない。

先ずは患者と医者(=病院)である。

次いで、医療が適切に行われることによって、国民の健康維持や回復が迅速・安全・低コストで行われれば、現代の福祉型国家制度の重要性から考えて、国家も国民に対するその政治的社会的責任を果たすことができる。

外国人に対しても、友愛や国際親善推進、人道上の観点からして、いづれの国家も国民と[外国人・日本語が不自由な日本滞在者]との間に、とりわけ生命・身体の安全に関する事柄については重大な差別を設けるべきではない。

そこで、患者と医師と国家の3者が均等に分担し合って医療通訳士の労働報酬を支払うべきであると考える。

(その三者均等負担の原則において、医療通訳士の労働の対価を具体的には,いつどんな手続き・形態で支払うかなどの実施上の細則は、大きな問題ではない。)

かくて、医療通訳士は、三者のために誠意をもって全力を尽くすべきことになります。


しかし、ここで例えば、中国人でも米国人でも、日本で又は母国で購入した民間医療保険を持っていれば、日本での病気治療に於いて保険金の給付を受けられる制度の創設が必要である。

病院への国際的なレベル評価システム(例:JCI認証)において高い評価の病院に於いての受診や治療に限定して外国保険の適用を認めていくのも、国内病院のレベルアップへの間接的刺激にはなるでしょうが、厳密な規準を設けるのではなくもうすこし幅の広い門戸開放を行うことが、保険会社・保険購入者への利便性向上になり、また受け入れ病院側への利益にもなっていくでしょう。

結論として、医療の国際化問題に限らず、医療の関わる問題は、常に患者と医師(病院)と国家(又は地方政府)の三者間での原則的な損益の均等分坦を持って解決策を探るべきである。



以上


訪日客2000万人達成の前倒し計画について

2009-10-02 07:34:49 | Weblog
訪日客2000万人達成の前倒し計画

観光庁が発足してから1年たった10月1日、国土交通大臣は、パリやローマが年間6000~7000万人もの観光客を集めているのに比較しても、自然や文化遺産に恵まれた日本で、2020年に訪日外国人数を2000万に増やす計画は甘すぎるとして、この目標を上方修正するために月内にも新たな審議会を設ける意向であることを表明した。
(日経10月2日付)
海を越えて極東に位置する日本の特殊な地理的位置関係や世界同時不況の影響が強い現時点では、ヨーロッパ大陸の内陸部に位置し、交通網も発達したパリやローマとの単純な比較はできないにしても、観光大国のフランスやイタリアの観光客誘致に向けての早くからの国を挙げての政策的努力や歴史的な遺産の良さを更に良く研究するのみならず、観光とセットにしての訪問客数の伸びが著しい東南アジアの医療ツーリズムを見習うなどの重点を絞った改善努力を行うならば、わが国でも、経済成長のスピードと規模で抜群の中国やインドなどを含めて今や世界の成長拠点となったアジアの勢いを取り込んで、訪日観光客数を大きく伸ばせる可能性があります。
そのためには、交通アクセスについての工夫・改善と、訪日客と直接に接する観光・宿泊施設や接遇スタッフの能力やスキルの改善のみならず、各観光地での住民による特に外国人観光客歓迎姿勢の洗練化・明確化・日常化・生活環境改善など、世界の諸外国や観光地の様々な努力について学ぶべき点は多いでしょう。
モノづくりと製品の輸出ばかりに集中をしてきた日本が、今回の金融危機で大きく破綻をきたして学んだ貴重な教訓は、医療や観光などのサービス部門の強化こそが、国の国際競争力を増し、国民経済のバランスのとれた持続的成長と安定化につながるということであった。社会的な安全度の高いわが国は、海外からの訪問客にも満足してもらえる基盤はできているのですから、今回の国土交通省の前倒し計画にも自信を持って取り組めば良いでしょう。
すなわち、この貴重な教訓を生かしながら苦境にあえぐ国民経済を立て直すためには、先ず必要とされる失業率の改善と消費活動の活発化を推進するために、(機械化による生産力の向上ではなく、どちらかと言えば人海戦術依存型の)人手による心のこもった丁寧なサービスをより必要とする観光や教育・医療・介護等の産業分野への大胆な人材投入を急ぐべきことになるでしょう。
以上

2009年10月2日
NPO日本通訳案内士連合(Japan Guide Consortium=J.G.C.)
東京通訳アカデミー・学院長・岡村寛三郎