2009年10月2日・第1週第1回:「医療通訳入門」編より
平成21年10月2日 金曜日
東京通訳アカデミー・学院長
★医療通訳の費用をだれが負担するべきか等の諸点についての次の意見の当否について、貴方自身の意見を(A4サイズ1枚以内の範囲で)述べなさい。
意見:この問題の考察に当たっては、医療通訳によって誰が利益を受けるのかという視点を欠かせない。
先ずは患者と医者(=病院)である。
次いで、医療が適切に行われることによって、国民の健康維持や回復が迅速・安全・低コストで行われれば、現代の福祉型国家制度の重要性から考えて、国家も国民に対するその政治的社会的責任を果たすことができる。
外国人に対しても、友愛や国際親善推進、人道上の観点からして、いづれの国家も国民と[外国人・日本語が不自由な日本滞在者]との間に、とりわけ生命・身体の安全に関する事柄については重大な差別を設けるべきではない。
そこで、患者と医師と国家の3者が均等に分担し合って医療通訳士の労働報酬を支払うべきであると考える。
(その三者均等負担の原則において、医療通訳士の労働の対価を具体的には,いつどんな手続き・形態で支払うかなどの実施上の細則は、大きな問題ではない。)
かくて、医療通訳士は、三者のために誠意をもって全力を尽くすべきことになります。
しかし、ここで例えば、中国人でも米国人でも、日本で又は母国で購入した民間医療保険を持っていれば、日本での病気治療に於いて保険金の給付を受けられる制度の創設が必要である。
病院への国際的なレベル評価システム(例:JCI認証)において高い評価の病院に於いての受診や治療に限定して外国保険の適用を認めていくのも、国内病院のレベルアップへの間接的刺激にはなるでしょうが、厳密な規準を設けるのではなくもうすこし幅の広い門戸開放を行うことが、保険会社・保険購入者への利便性向上になり、また受け入れ病院側への利益にもなっていくでしょう。
結論として、医療の国際化問題に限らず、医療の関わる問題は、常に患者と医師(病院)と国家(又は地方政府)の三者間での原則的な損益の均等分坦を持って解決策を探るべきである。
以上