医療観光の国際化、韓国の取り組みの急速化

2009-10-12 08:09:11 | Weblog
医療の国際化:韓国の最近の動き

医療観光に力を注ぐ=韓国観光公社の李社長
(日経10/12)
「東洋医学を用いた健康診断や美容整形を受けに、ぜひ韓国にいらっしゃってください。」
来日した韓国観光公社の李参(イ・チャム)社長は、日本経済新聞の取材に対し、観光客誘致のために「医療観光」に注力していくと語った。
昨年の金融危機以来、ウオン安が進み、依然続く韓流ブームと相まって、日本からの観光客は、急増。昨年は238万人だったが今年は300万人まで増やし、今後は1年に100万人ずつ増やしたい。」と鼻息は荒い。李社長はドイツ生まれ。30年以上前に訪韓して魅力に取りつかれ韓国籍を取得した。今年7月李明博大統領により外国出身者では初の政府機関トップに抜擢され、海外市場開拓の訪問先として先ず日本を選んだ。


観光庁「インバウンド医療観光」
研究会第2回(2009年10月7日)
平成21年10月7日 水曜日
東京通訳アカデミー・学院長・岡村寛三郎
★観光庁見解「中国の病院自体が、日本に患者を送りこみたいという希望を持っているため、医療ツーリズムのマーケット性はあるとみています。」

★以下は、審議に参加された委員の方々の発言要旨を簡潔に編集したものです。聞き違いや記憶違いもあるかも知れませんので、当局から公式の記録発表が行われるまでの間のメモ代わりにお使いいただければ幸いです。

① 医療通訳確保の件
()この調査で医療機関向けに行われるアンケートに於いては、10項目中少なくとも8項目が、明らかに医療通訳に関する項目です。
()このことからも、如何に医療通訳を確保するかという問題、また患者と医師・病院側との間での意思疎通・情報交換や医療行為を円滑・安全に行うために、医療通訳の役割が大切かが分かるでしょう。
()そこで、現在いくつかの病院施設等で患者自身の家族や友人、あるいはボランティアでの通訳が利用されていますが、彼らは専門的な訓練等を通じての医療知識や技能等を有しないため、米国などでの事例を見ても、しばしば不正確で誤った通訳をすることがあり医療過誤の原因ともなっています。とりわけ言葉の障壁が高いわが国での医療ツーリズムや医療の国際化に於いては、優良な通訳の育成と確保が、前提として絶対に欠かせません。医療ツーリズムにおいて外国人が来院する際には、通訳と旅行業者さんとが必ず一緒に来てほしい。
()韓国では、多数の言語に対応するのみならず、各国の文化や宗教・食習慣等にも通じている高度なレベルの通訳の養成に向けて国家の支援が行われている。

② 医療ツーリズムにおいての前提事項・優先事項
()医療ツーリズムを実施するに際しては、前提として、アジア各国・ロシア・アラビア各国からの来日を期待できる。とりわけ、中国の医療は伝統的な漢方医療が主なため、例えば、盲腸手術に於いても1カ月程度の入院が必要なのに対し日本ではわずかに3日間ほどで良いなど、西洋医学的な医療の進歩が遅れているため、上得意客として大いに期待できる。ただし、国際間での競争となると、医療の提供側としても、質の良い医療行為を安価で提供する覚悟が必要であり、患者などが来日しやすい入国条件・滞在環境等を用意できるかどうかという点にも、その成否が掛かっています。
例えば、(a)言葉の壁をどこまで崩せるかどうか、
(b)接遇が大切=ホテルなどの施設のあり様と同時に、おもてなしの心の現れが必要、
(c)患者と病院との間でのドアーツードアーの便宜の提供を明確に打ち出すことなどが求められます。とりわけ、日本の病院や医療に関する情報は、その業界への広告規制の厳しさ故に国際比較上も極めて不足しているため、外国人向け情報の開示については、今後大幅に考え直さなければならない。ただし、インターネット上のホームページによる情報開示は、日本でもかなり認められているから、これを利用しての積極的な情報開示が望まれます。
()医療ツーリズムに於いて、優先的に売り出すべき医療行為は、
(a)医療過誤が起きにくい、定型的な治療行為で、通訳上の誤りも起こりにくい分野のものから手掛けるのが良い。例えば、外科的治療などは短期間で済む場合が多く、また入院を伴うことも多いため、このスタイルが医療ツーリズムには向いているのではないか・・・
(b)オリンパスやペンタックスなどによる世界一のシェアーを誇る内視鏡の製作や操作に関する技術など、日本人の器用さが際立つ分野があり、これなどは米国人医師でも兜を脱いでいるほどで、ましてや韓国や台湾を始めアジアなどからは長年にわたって多数の留学生を預かって育ててきたので、文字通り世界中からの患者を期待できる(=日本人医師の手先の器用さなどは欧米の医師の追随できるものではなく、内視鏡の使用等に関して圧倒的に世界一の日本の医療への期待は、世界中から極めて大きいものがある。)
(c)しかし、全体的にみれば、米国の医師は粒ぞろいで、その平均的水準が安定的であるのに対し、日本の医師の水準は概してばらつきが大きいと評価されることもあるので、亀田総合病院のJCI認証取得に倣い、より多くの病院にJCI認証を取得してほしい。
(d)医療ツーリズムに於いては、単にセカンドオピニオンを求められる程度の内容なら、極めて取り組みやすい。これに対して、重症患者の治療を受けるとなると、患者と医師や病院との間で、厚い信頼関係がなければできないが、その前提として優良な医療通訳者の介在が欠かせないであろう。
(e)心臓外科・循環器系医療に関しては、数十年前までは米国が圧倒的に優秀な技術力を持っていたが、その後日本の国の医師による技能向上が目覚ましく、今では、東南アジアからも多数の留学生が学びに来ているほどで、医療ツーリズムを始めれば、中国・韓国を含めて多数の患者等の来日を期待できる。
(f)人間ドックという医療施設は、日本ではごく一般化しているけれども、外国では、病気症状が出る前の診療などという考え方はないため、この施設には外国人を呼び込めないであろう。
(g)某大手旅行業者さんが、昨年から始めて今年で2年目を迎えた中国人富裕層向け医療ツーリズムについて内容等を公表された。今年で、未だ12件・34名のPET受検等にすぎないが、観光ともセットにして、医療に詳しい通訳案内士をつけて実施しているとのことでした。
以上