鎌倉徒然草

鎌倉に住んで25年。四季折々の自然を楽しみながら、オリジナルの和雑貨の企画、製造、販売を展開しています。

記念日

2013年11月11日 | 日記

11月11日はポッキーの日だそうで。

その並びが、それに似ていると。

記念日は、誰が、何日に作ってもいいわけで。

会社の創業記念日なんてありますが、私のところなんて記憶に無い。

大体、会社にするつもりなんて、全くなかった。

忘れもしない、鎌倉の山の上の家で、2月の寒いある日・・・

炬燵の中で、きものを解いて、可愛い手提げがひとつ仕上がった。

バブルがはじけ、夫の仕事がゆきずまっていた。

幼い子供を抱え、働きに行く決意もつかず、時々糸針を出しては、娘が寝ついたあと

幼稚園にもっていく娘の物を作っていた。

本当に、軽い気持ちだった。

買ったばかりのミシンと悪戦苦闘し、出来上がった紬地のその手提げは中々素敵だった

『きもの地は、素材も色彩も美しく1点物で作れば売れるかもしれない』

すぐに思いはそこに飛んだ。

それからの動きは早かった。「商品」をため、ある程度の数をストックし

売り込みに奔走した。

最初にチャンスを頂いたのが小田急線の各駅の改札前。

ワゴン1台。同じように、手づくりの商品や、東南アジアからの輸入品のアクセサリー

などを並べた若いお嬢さんたちに混ざって「鎌倉今村」はスタートした。

乗降客の多さは半端じゃなかった。しかし、立ち止まってくれるお客さんは

なかなかいなかった。それに、何よりも私は物を売る仕事が初めてだと言う事に

気がついて、たじろいだ。でも、もう引き返すわけには行かなかった。

自分の手で、両足で立っているという、えもいわれぬ高揚感でいっぱいだった。

しかし、知り合いに出会ったら隠れようとさえ思ったりもした情けない「社長」

でもあった。


あれから12年、たいして進歩もしてないけれど、私は確実に仕事によって

生かされてきた。

何より、たくさんのお客様に出会い、導かれたことは、感謝してもしきれない。

寒さが増し、冬がくると、暖房のきいた部屋で、健やかな寝息を立てねむる娘と

そのかたわらで、針を運ぶあの日の私の姿が浮かぶ。

ひとつひとつの商品を、大切にお客様に手渡したい・・・

不器用を絵に描いたような私が、今日まで続けてこられたのはその思いがいつも

あったからだと思います。

明日から、本格的な寒さになるそうです。

ちゃんと、着込んでください。おやすみなさい。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 発酵食 | トップ | 牡蠣 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記」カテゴリの最新記事