突然、チェーンソウの唸り声が響きわたった朝でした。
「うそでしょー」
近所の、大好きな桜の樹が切られている!
無残に、ごろりと幹が道路に叩き落された。
道行く人もかたずをのんで見守る。
電線をまたぐように張り巡らされた枝は、どうしようもない、けど・・・、
風に木屑が雪のように舞う。私の目も容赦なく覆われ、とめどなく涙が流れる。目をしばたかせながら、次々切り落とされる幹を、目を凝らして見つめた。30分ほどの時間が流れた。
「花、また咲きますかー」
作業を終えた係の人に、私は恐る恐る尋ねた。
「咲きますよ、薬、つけといたから」
その人は、務めて明るく答えた。
薬・・・、やはり痛いのだ、苦しいのだ。可哀想に。
ご免ね、本当にごめんね。