海の生き物達

私、かまぢが海で出会った生き物達を画像と共に思う事を書いていきます

オヤビッチャ

2006-06-28 23:30:14 | スズメダイ・ヤッコ・チョウチョウウオ系
和名 オヤビッチャ
学名 Abudefduf vaigiensis

関東以南から西武太平洋に分布するスズメダイの仲間。
熱帯性の魚なのでもちろん関東付近では死滅回遊魚。

スズメダイの仲間のほとんどは
○○スズメダイという名前を与えられている(クマノミは除外)のに
オヤビッチャは名前を聞いただけではどんな魚だか想像がつき難い。
逆に独特な名前なので覚えてもらいやすいという利点も。
当のオヤビッチャにとっては名前も覚えてもらう事も意味無いんですけどね。

南の島では極々普通に見られ
餌付けポイントではぐちゃぐちゃになるほど群れてます。
たいていロクセンスズメダイという似た種類がいるけど
線の数や背中の黄色がないなどで区別は簡単。
水族館や熱帯魚屋でも見かけるので知ってる人も多いかも。

関東周辺では夏くらいから小さな幼魚が見られ始め
そろそろ死滅回遊魚シーズンだなあと思うきっかけにもなってます。
通常は水面近くから数mまでの浅場にいるので
死滅回遊魚の中では目立つ方でしょう。

子供の頃にこのオヤビッチャの名前にひかれ
夏くらいになると網をもって近所の磯に採集に行ったりしました。
しかし成長して目立つのは「秋口くらいから」なんて知らない子供の頃
ほとんど成果がなく幻の魚だと思いこんでいました。
当時の図鑑ではそんな事一切触れてませんでしたからね。

スズメダイの仲間としては大型になり
大きいものでは手のひらサイズまで成長します。
その大きさがちょうど良いのか
奄美大島などでは御造りになったりしてますね。
味はかなり美味しいです。

クツワハゼ

2006-06-22 23:25:19 | ハゼ科
和名 クツワハゼ
学名 Istigobius campbelli

関東付近の温帯から西表、台湾の亜熱帯まで広く分布する
パッと見は地味なイメージのハゼ。

伊豆近辺の海では同属のホシノハゼがいるが
地味さではクツワハゼが少々上。
しかし繁殖期などに雄が見せる体色は
蛍光グリーン、蛍光ブルーのスポットが浮き上がり
一見の価値はあるでしょう。

伊豆の海では砂地にゴロタが点在しているような場所で
極々普通に見られ特に逃げもしない図太い神経を持つ。
その割りに「この魚はなんていうんですか?」
というような質問はまず出ません。
やはり地味という事なんでしょう。
ガイドしてても滅多に指差す事もないんですけどね。

じっくりゆっくり観察すると
なかなか味わい深い魚でもあるんですけど
書く事があまりないのはやはり・・・

クツワハゼファンの方がいらっしゃったらすいませんです。


クロホシイシモチ

2006-06-18 20:27:39 | テンジクダイ科
和名 クロホシイシモチ
学名 Apogon notatus

関東から沖縄、西武太平洋の珊瑚礁域まで広く分布。
伊豆半島では同科のネンブツダイと混同される事が多い。
ネンブツダイより高水温を好むせいか生息深度は浅め。
という事はダイバーの目にするのはネンブツダイよりも
こちらのクロホシイシモチの方が多いのではないでしょうか。
でも名前はネンブツダイの方が有名なのは呼びやすさのせい?

普段はゴロタ大きな根の周りで大きな群れを作っているけど
夏に向かい水温が上がり始める頃から
ペア形成をして繁殖活動に入ります。
この種では口内保育と言われる繁殖形態が有名で
雌は受精後の卵を雄の口の中に産み付けます。
そして孵化するまで雄の口の中で大事に育てられるのです。
今の時期(初夏)には口を大きく膨らませて
卵を保護する雄の姿が見られます。
特殊な繁殖形態なのでかなり前から研究者達からは注目されていた魚です。

生まれた稚魚は透明で大きな群れを作り透明度がいい時には
それを見ているだけで癒されます。
しかし捕食者からは絶好のターゲットで
その群れの周りには高確率で捕食のチャンスを伺っている
イカやヒラメ、カサゴなどの生物の姿が見られます。

かなり個体数も多く食用にならないのか?と聞かれた事があったのですが
今までは「食べれないんじゃないですかね~、
釣れても捨てちゃいますから」と答えていたのだけれど
瀬戸内海に行った際に「ノブト」という名前で
しっかり食用になってなっているのを知り、食べてみてからは
「食べれますよ、美味しくなかったですけど」と
答えが変わりました。

なおイシモチと名がついているけれど
釣り人のいう「イシモチ」とは種類が違います。
ちなみに釣り人のいう「イシモチ」という和名の魚はなく
ニベ科の魚の俗称になっています。


ハオコゼ

2006-06-12 22:11:33 | カサゴ・オコゼ・カエルアンコウ系
和名 ハオコゼ
学名 Hypodytes rubripinnis

関東から南日本にかけて分布している温帯性のオコゼの仲間。
体は小さいけれど背鰭の棘には毒があり刺されると痛い。
痛いけれど他のオコゼ類に比べたら毒は弱いような気がします。
小学生の頃に釣りをしていた時に刺されたのですが
子供でも耐えられる痛みでした。
他のオコゼ類は大人でも病院送りになったりする事を考えると
体のサイズに見合った毒の強さなのでしょう。

特に珍しい魚ではないのですが
ダイビングをするポイントではそれほど目立ちません。
海藻などに隠れているせいもあるのでしょうが
かなり浅くて泥っぽい場所を好むような気がします。

また冬から夏前までが一番姿を見かけるようになり
海藻が減ってしまう夏から秋(冬)の頃には
ほとんど目に付かなくなってしまうのでありました。

体の色は決して地味ではないけれど
海藻の中にいると見事に同化してしまいます。
うっかり別の生物を探して海藻に手を伸ばすと
いきなり飛び出てきてビックリさせられる事も。
ただハオコゼもバカではないと思われ
手で掴まれたり押しつぶされる前に逃げるので
刺される事はほとんどないと思われます。
ダイバーがハオコゼに刺されたというのは
あまり聞いた事がありません。
別のオコゼに刺されたというのは聞きますけどね。

毒を持つ生物に刺されるというのは
自分が小学生の頃に経験したように
釣り人や磯採集などで捕まえて
知らずに掴んで刺される事が多いのではないでしょうか?
毒がなくても背鰭に棘を持つ魚に刺されると痛いですからね~。
エラ蓋で怪我をする事もあるので
魚を掴む時は手袋(軍手)などをするのが無難でしょう。


ハナハゼ

2006-06-09 22:19:15 | ハゼ科
和名 ハナハゼ
学名 Ptereleotris hanae

本州を代表する遊泳性のハゼ。
以前は琉球列島までの分布で「本州型」「沖縄型」と
言われていたのが別種となったそうです。
という事でこの魚も熱帯の海でガイドする人にはレアネタです。

ハナハゼは他の共生ハゼ達の巣穴に同居する為
三者共生という珍しい生活形態をとっています。
図鑑などでも紹介されるので知っている人も多いでしょう。
ただ幼魚期は群れていて共生ハゼの巣穴と決まっておらず
適当な穴、岩の隙間などに入り込むのが観察されるので
三者共生という立場をとるのはある程度成長してからだと思われます。

その三者共生ですがハナハゼはどんな役割があるのでしょう?
ハナハゼは通常は中層に浮かんでいるので
一番先に外敵を察知して巣穴に逃げ込むので
ダテハゼ、テッポウエビの危険度を下げるなんて言われます。
実際のところはどうなのかは不明です。
自分的にはハナハゼだけが得している
偏利共生(害は与えてないので寄生ではない)な気がします。
でもペアで(しかもハナハゼはでかい!!)素穴に逃げ込んだりするので
邪魔なはずなんだけど追い払ったりする事はないんだな~。
そういうシーンが目撃されたらかなりニュースかも!?

ハナハゼは糸状に尾鰭が伸長するので泳ぎも優雅に見え
名前もそこからきたものと思われます。
学名もhanaeですからね~。
体色はメタリックブルーに輝きとても美しい。
水中では解りにくいけど体側に赤いラインが入るのもお洒落。
個体数は多いので重宝はされませんが
何度見ても飽きず伊豆のお勧めフィッシュ筆頭でしょう。

巣穴に逃げ込むのが早いので観察する時は
時間をかけてゆっくり寄るのが基本です。
でも東伊豆の川奈、西伊豆の獅子浜では
うじゃうじゃ群れていて初心者でも寄りやすいですよ。


サクラダイ

2006-06-02 23:55:14 | ハタ科
和名 サクラダイ
学名 Sacura margaritacea

分布域は相模湾~長崎県と地域限定度が高く
日本を代表する魚と言ってもいいくらいのハナダイの仲間。

○○ダイと名前が付いてるけど
マダイ、クロダイとは近い種ではありません。
特にマダイの幼魚を「サクラダイ」と呼んだりしてるので
間違われる可能性は大。
でもこのサクラダイ。
ちゃんと学名もSacuraなんですよ。

サクラの名前は真っ赤な体に白点が散りばめられた
この姿からつけられたと簡単に想像できると思います。
春の桜シーズンには「海の中でも花見をしましょう」
なんてブリーフィングをちゃったりします。
単体ではなく群れを作っているので見応えありです。

生息深度がちょっと深いので
酒酔いならぬ窒素酔いにならないように要注意!?
とは冗談で25mくらいで観察する事ができます。
ただあまり長居ができる深さではないですね。

サクラダイは他のハナダイの仲間と同じように
生まれた時は雌で成長すると雄になる
雌性成熟の性転換魚です。
普段は群れているのですが繁殖期になると
雄が雌を確保する為にディスプレイという行動をとります。
この時にやはり普段よりも深い色になり
白い部分は光り輝いているように見えます。
複数の雄が光り輝いている姿はまさに桜吹雪なのです。

伊豆半島では普通に見れるサクラダイ。
分布が長崎までなので沖縄では見られません。
ある時西表島のガイドさんが大瀬に遊びに来ていて
ガイドさんにリクエストしていたのがサクラダイでした。
海から戻ってきた時はとても嬉しそうに
「サクラダイきれいっすね~」と感動していました。



クマノミ

2006-06-01 23:23:41 | スズメダイ・ヤッコ・チョウチョウウオ系
和名 クマノミ
学名 Amphiprion clarkii

分布域は太平洋の熱帯域から日本の本州中部までと
かなり広範囲に渡っています。
ただ伊豆辺りだと低水温が続くと繁殖はできず
その生涯を閉じてしまうようです。
冬~春に水温が下がり過ぎないと越冬して繁殖もできています。
今では騒がれませんが数年前に伊豆でも繁殖をしている事がわかり
大ニュースになりました。

元々ダイバーに人気があったけど
映画「ファインディング・ニモ」のヒットで
一段と人気が出たクマノミ。
映画はカクレクマノミなんだけど一般の人には
ニモ=カクレクマノミ(クマノミを含む)というイメージみたいです。
でも初心者や体験ダイバーにクマノミを見せて
「ニモですよ~」と紹介してる
インストラクターやガイドにはちょっと?と思う自分です。
できれば「ニモに近い種類なんですよ」にして欲しい。

仲間内で時々話題になるのが
「伊豆周辺のクマノミはどこからくるのか?」
低水温が続くと死んでしまう(業界用語で落ちるともいう)ので
死滅回遊魚(季節来遊魚、無効分散)なのは間違いない。
でも死滅回遊魚=熱帯(沖縄方面)から流れてくるのであれば
クマノミだけじゃなく、それこそカクレクマノミやハナビラクマノミ
まさかのトウアカクマノミなんかが来ても不思議じゃないわけです。
でも南日本に姿を現すのはクマノミだけ。
これは紀州でも同じではないでしょうか?
なので実はクマノミは非常に近いところから流れ着いているのでは?
と考えちゃってるわけです。

では近場だとどの辺?
単純に南紀では普通に越冬して繁殖しているので
その辺から来ているのではないかな~と。
もしくは遠くて四国?近ければ三重県の海岸辺りとか?
伊豆七島って事も考えられますね。
なんて事を語り合ってるととても楽しい時間が過ごせます。