海の生き物達

私、かまぢが海で出会った生き物達を画像と共に思う事を書いていきます

ムツ

2011-07-20 23:42:26 | 少数派系
和名 ムツ
学名 Scombrops boops

成魚はダイビングではまず見られない数100mの深場に生息しているが
幼魚は春から初夏くらいに沿岸域で群れているのが観察できる。

言葉では説明できないほど特徴はないがとにかく歯が鋭く
調理する時など気をつけないと指がスパッと切れてしまう。
硬骨魚類の中でも上位にランクするくらいの切れ味な気がする。

成魚は重要水産魚種で刺身、煮付けなど最高に美味しい。
15cmくらいのサイズの物も漁獲され
子ムツの煮付けなど伊豆方面の定食屋のメニューに並ぶ。

幼魚期は密度の高くない群れを形成し捕食時には単独行動となる。
鋭い歯を持つだけあって食欲は旺盛で
しょっちゅうネンブツダイやクロホシイシモチを追いかけていて
自分の体長の半分くらいのサイズの物まで狙っていく。

夜間は体側に白い斑点が浮かび上がり
体をくの字にして中層を漂っているが
ある程度のサイズになると水底にいる事が多い。



イトタマガシラ

2011-03-02 01:02:27 | 少数派系
和名 イトタマガシラ
学名 Pentapodus nagasakiensis

タマガシラ系の魚は砂泥底を好む種類が多いが
イトタマガシラは比較的粗めの砂地を好むような気がする。
科でいうとイトヨリダイ科に含まれるのだが
言われて見ると基本体型は似ているのが解る。

ダイバーの中で「タマガシラ」と言われて思い浮かぶのは
熱帯種の「フタスジタマガシラ」が筆頭ではないだろうか。
その中で温帯域でも比較的普通に見られるのはこのイトと
ザ・タマガシラとなる。

色彩は淡水系熱帯魚を思わせるメタリックな輝きをする事もあり
イエローとブルーのキレイな個体を見ていると
泳ぎ方もあからさまなストップ&ゴーであり
ネオンテトラを思い出してしまう。

所構わず泳いでいるような印象もあるが
決まったテトリーがあるようで
写真を撮る為に追っていると一定の位置から先へは行かなくなる。
その範囲が解れば逃げ惑うイメージのこの魚も
ゆっくり狙いを定める事ができる。




クルマダイ

2011-02-02 00:04:30 | 少数派系
和名 クルマダイ
学名 Pristigenys niphnia

キントキダイ科の魚は深い海に住む種類が多いが
クルマダイも稀に幼魚が浅い場所に上がってきたのが観察される程度で
成魚が通常のダイビングエリアで見られる確率は限りなく低い。

この科の特徴として大きな目玉と胸鰭が上げられるが
クルマダイは白の縞々が入る事で色彩的にもキレイ。
特に小さい頃は目玉の大きさが際立ち
ぬいぐるみ的な可愛さも手伝ってと人気のネタになる。

出現頻度は高くは無いが大瀬崎ではほぼ毎年情報が出て
湾内の20m以深のエリアで見られる事が多い。
缶や瓶などを隠れ場所にしたりするので
1度出るとしばらくは同じ場所で観察できる。


極稀に隠れ家ごと移動して独り占めするダイバーがいるが
そういう事は止めて欲しいもんですね。

ウミヒゴイ

2011-01-07 00:51:04 | 少数派系
和名 ウミヒゴイ
学名 Parupeneus chrysopleuron

関東周辺でも普通に見られるヒメジの仲間。
パッと見他のヒメジ類よりも頭でっかちで不細工。
体側に入る太目の黄色いラインが目印。

体色が赤っぽくてヒゲが目立ち海にいる。
という事で容易に付けられたんじゃないかな?という名前。
ヒメジが黒かったらウミゴイとでも名づけられてたんでしょうかね。
そんな事を連想させてしまいます。

大瀬崎の湾内では単独もしくは数匹で他のヒメジと同じように
砂地をモグモグしながら泳ぎ回っている。
体がでかいので摂餌時の砂煙の上がり方は結構強烈。

その行動と風貌の方がインパクトが強いけれど
各鰭にブルーのスポットが入り何気に美しい。

ナミマツカサ

2010-12-31 17:14:53 | 少数派系
和名 ナミマツカサ
学名 Myripristis kochiensis

伊豆周辺の温帯域ではイットウダイ科の魚は少ないので
見かけると「お!?」っと思う。
この赤さは伊豆では貴重な色彩ではないだろうか?

少し前まではアカマツカサと混同されていたが
近年別種という事で記載された。
学名が高知からの標本に由来しているのがまさに温帯種らしい。

あちこちで調べてみたが生態写真から
アカとナミを同定するのは難しいらしく一律?
温帯域にで見られるのがナミ、亜熱帯域以南で見られるのがアカ
という事にしとけばほぼ間違いないという見解。
ホタテウミヘビとミナミホタテウミヘビ、タツノイトコとタツノハトコ
と同じ判断基準ですね。

日中に見られる事はほとんど無いが
夜間になるとレアというほどのネタではない。
ナイトダイブ率が高い獅子浜では水温が18度前後くらいまでの時期に
ゴロタ周りやエントリー口で見られる。
大瀬崎では湾内のゴロタ周りが観察率高し。
水深は10m以浅で見られるが
自分の記録では大瀬崎のタマサキの25mでも見られた。
この時は昼間でも隠れる事無く出ていた。

岩礁域を好むらしいので本来は外海などの方が多いのだろうけど
ナイトが不可能なのでわからないだけでしょう。



オジサン

2010-11-30 21:03:58 | 少数派系
和名 オジサン
学名 Parupeneus multifasciatus

子供の頃に見た魚図鑑の中でも名前インパクトナンバー1だったオジサン。
今でも知らない人にはインパクトがあるようで
しばしば初心者ダイバーへのネタになったりする。
科的にはヒメジ科なのでヒメジが基本種でオジサン以外の種は
全て○○ヒメジと名付けられている。

オジサンの名前の由来は口元から伸びる二本の髭。
この髭を小刻みに動かしながら砂中の中にいる餌を探しながら
広範囲を移動して行く。

ヒメジは温帯種であるがオジサンは熱帯種なので
毎年姿を見る事はできるものの越冬できる個体はいない死滅回遊魚。
しかし名前と姿にインパクトがある割りに注目も重宝される事もなく姿を消して行く。
本家ヒメジと比べてあからさまに色彩が派手とかだったら
扱いももう少し変ったかも?
見る人が見たらあからさまに違う色彩なんですけどね。




ハリダシエビス

2010-08-13 21:37:57 | 少数派系
和名 ハリダシエビス
学名 Aulotrachichthys prosthemius

食材として有名なキンメダイの仲間はほとんどの種が深海性の魚であり
ダイバーがその姿を水中で見る事は奇跡である。
その仲間であるハリダシエビスは温帯域で唯一ダイバーが観察できる種となる。

近年パラオやフィリピンではヒカリキンメダイ数種が観察されるようになっているが
洞窟内で生息している為ナイトダイビングを行う必要がある。

水深30mより深い岩礁域やゴロタの連なるような場所を好み
日中は岩の隙間に隠れている。
その為個体数は少なくない割りに観察例は少ない。

とにかく地味でお世辞にも美しいとは言えないが
金属的なメタリックボディーでメカニカルなデザイン。
言われてみると深海魚っぽい雰囲気がプンプンする。
マニア向けな魚なのは間違いなし。

通常は岩の隙間に潜む為リクエストされても確実には当てるのは難しい。
しかし夜になると岩の隙間から出てきて中層に漂っている。
この時しばらくは無防備の撮り放題。
ハリダシエビスを狙いたい方はナイトをお勧めします。

日没後すぐに姿を現すが動きは日中の方が素早いので夜行性とは考えられ難い。
夜間の捕食者であるアナゴ類は中層を泳いで餌を探すのではなく
水底を這うようにして摂餌しているので
もしかしたらそれらの捕食者から逃げる為に夜間は中層に浮き上がるのかもしれない。

ハリダシエビスに限った話ではなく
テンジクダイ系の数種やマツカサウオも同じような活動をしているような気がする。
強烈なライトを当てられて目が眩んでいるという説もあるが
それなら日中にライトを当てた時も目が眩んで動きが止まると思われるが
日中はあっという間に岩陰の奥に消えて行くのであります。

タナバタウオ

2010-08-02 21:42:43 | 少数派系
和名 タナバタウオ
学名 Plesiops coeruleolineatus

伊豆周辺で見られるタナバタウオにはナカハラとザ・タナバタの2種がいて
生息環境もほぼ一緒。
浅瀬のゴロタの間や岩の下などでうろちょろしている。
年によって差はあるけれどザ・タナバタウオの方が個体数は多い気がする。

タナバタウオは腹鰭が特徴的で岩の隙間でも腹鰭の先を支点にして
仁王立ちしている。
ストロボの光が回り込まないような場所を好むので
写真はなかなか撮り難い。

初夏の水温が上がる頃に産卵期を迎えるようで
その時は堂々と表で雌にアピールしたり
雄同士の戦いが見られたりする。
異性や敵に気が集中してるのでこのシーンに当たればシャッターチャンス。
鰭を全開にしえらぶたを開き派手な体色になっている状態を狙えます。

岩の下にいる時はただの黒い妙な魚のイメージしか無いが
背鰭や臀鰭に入る青のラインは美しい。

アカアマダイ

2010-04-08 23:13:00 | 少数派系
和名 アカアマダイ
学名 Branchiostegus japonicus

食の世界では「グジ」と呼ばれ高級魚とされ釣りのターゲットでも人気。
しかし泥地を好む魚なので通常のダイビングエリアではまず見られない。
流通しているアマダイはこのアカアマダイとシロアマダイがほとんどで
特にアカアマダイが多い。
シロアマダイは味もアカより上と希少価値が高く超高級魚らしい・・・。
近年は種苗生産も成功して放流もされている。

昼間は泥地の巣穴を基点に泳ぎ回っているが
テリトリーが決まっているようでたいてい同じ場所で見られる。
ただ泥地に掘られた穴なのでけっこう頻繁に場所が変っていたりする。

釣り雑誌などを読むと「ペアでいるので一匹連れたら同じ場所を狙う」と出ているが
自分が通常見る時は単独で行動している。
一度だけペアらしき行動を見たが逃げる方向は別々であった。

巣穴は自分で掘るらしいが比較的変化の無い泥地では
このアカアマダイの巣穴が生態系で非常に大事になっているようで
獅子浜ではヒメハナダイやテッポウイシモチが集まっている。
採集が出来なかった為に幻になってしまったが
フィリピンなどで確認されていたイレズミハゼ属と思われるハゼも
この巣穴に横穴を掘って生息していた。
余談だけれどこのハゼは2009年に西表でも見つかり採集されている。
また崩れてただの窪みになった巣穴跡にもコモンハタが居ついていたりする。

夜間は巣穴に頭だけつっこんで「頭かくして尻隠さず」の姿が観察できる。
爆睡しているようで手で掴むのも簡単。
そんな大雑把な?性格なので巣穴に入らず泥地にで~んと寝ている個体も普通。
話に聞くほど巣穴には依存してない感じです。

タカベ

2009-10-30 23:06:31 | 少数派系
和名 タカベ
学名 Labracoglossa argentiventris

房総半島から九州方面の太平洋岸に分布している日本固有種?
伊豆近辺では春くらいから幼魚の群れが見られ始め
秋から晩秋には立派に成長した成魚の群れが見られる。
体側の黄色いラインは透明度の悪い海でも目立ち
熱帯域で見られるウメイロモドキを彷彿とさせる。
透明度が良い場所ではワイドで押さえておきたいネタでしょう。

同じような感じでイサキも群れるが目をひくのはもちろんタカベ。
なんとなく似ているので同じくくり(科)と思われがちだけれど
全く違う系統だそうです。
日本国内では一属一種状態なのが一般的なのに意外です。

市場に出回る事は少なく高級魚。
ダイバーから見るとあれだけいるのに漁獲高は少ないという事なんでしょうか。
刺身、塩焼きは間違いなく美味しい。

2006年に伊豆、大瀬崎の湾内に大きな群れが居つき
しばらくの間ダイバーの目を楽しませてくれました。
また同じように群れが入ってきてくれないかと
願っているダイバーは多いのではないでしょうか。
もちろん自分もその1人です。