海の生き物達

私、かまぢが海で出会った生き物達を画像と共に思う事を書いていきます

イトヒキハゼ

2010-07-16 21:21:10 | ハゼ科
和名 イトヒキハゼ
学名 Cryptocentrus filifer

あまりメジャーなハゼではないけれどイトヒキハゼ属という属を持つ。
イトヒキハゼ属にはダイバーに人気のオイランハゼ、ギンガハゼなどが含まれる。
比較的大型のハゼで全長10cm程度になるので
写真を撮るには一般的は1デジだと60mmレンズがお勧め。
神経は図太く最短まで寄れる個体も多い。
イトヒキハゼの名前の由来となっている糸状に伸びる背鰭全開は比較的難度は高め。
学名のfiliferもラテン語の糸からきている。

比較的泥っぽい底質を好み大瀬崎の湾内だと個体数は少なめ。
川奈の奥の泥地、土肥、宇佐美、獅子浜、三保では普通。
和歌山の南部の水深40mほどの泥地でも見られ生息域はかなり広い。
温帯種ではあるが熱帯域からも報告されている。

幼魚は「ヒメイトヒキハゼ」と呼ばれ別種となっていたが
近年は同一種とされているらしい。
幼魚期は顔が真っ黒な個体が多い。

イトヒキハゼ属のオイランハゼは鰭全開ジャンプが有名だが
本家イトヒキハゼも飛ぶのだろうか?
もし飛ぶならその姿を見てみたい。
シゲハゼも飛んでいたので可能性はあるかも。


ダテハゼ

2010-06-10 21:45:16 | ハゼ科
和名 ダテハゼ
学名 Amblyeleotris japonica

釣り人がハゼと言えば「マハゼ」
しかしダイバーがハゼと言えば「マハゼ」ではなく「ダテハゼ」をさす。
本州沿岸で極普通に観察できるザ・ハゼである。
しかし分布域は意外に狭く東北方面、沖縄方面では見られないらしい。

共生ハゼとしても有名でニシキテッポウエビと巣穴を共にする。
ダテハゼがなぜニシキテッポウエビを好むのかは未だ不明。
どこの海域でもセットになるのは不思議です。
また図鑑などでダテハゼ、テッポウエビ、ハナハゼの3者共生も紹介されているが
ハナハゼに関しては共生関係にあるかどうかは微妙とか?

ダテハゼ系はパッと見似ているが慣れてしまえば見分けはし易い。
あくまでも温帯海域での話で南方ではヒメダテハゼやミナミダテハゼが基本種となる。

一見すると白い体色に黒い筋がちょろっと入っているだけで
お世辞にもキレイとは思えないが
穴に逃げ込ませないようにじっくり近寄って見て欲しい。
各鰭にうっすらと出ている色彩は美しいのです。

伊豆周辺では水温が上がり始める5月~6月くらいに
雄同士のバトルが頻繁に見られるようになる。
鰭を全開にしつつお互いに口を大きく開けての威嚇。
普段ジッとしてるように見えるダテハゼの熱い激しい動きは感動です。

周りの雄に自分を誇示するためにホバリングするハゼとしてはオイランハゼが有名だが
ダテハゼも垂直に泳ぎ上がる時がある。
まだ一度も観察できた事はないけれど
いつかそのタイミングを押さえたいです。

オニベニハゼ

2010-05-25 23:40:46 | ハゼ科
和名 オニベニハゼ
学名 Trimma yanagitai

数年前までは俗にIOPベニハゼと呼ばれていたが2007年3月に正式に和名が決定した。
IOPの水深40mを越えるくらいからポツポツと見られ
ある程度の深さになるとそこら中にいる。
一年中観察できるので完全な温帯種と思われるが
亜熱帯の伊江島からも報告されている。
伊豆ではTrimma自体が珍しいので通年見られる種としては貴重かも。

生息環境はIOPの個体数を考えると岩礁域を好むと思われるが
大瀬崎の砂の強い先端、鹿児島の錦江湾や獅子浜の泥の被ったゴロタ周りなど
岩礁域とはいえない場所でも普通に生息している。
ちなみに自分のホームグラウンドでもある獅子浜では30m前半の水深でも観察できる。
他の地域と比べるとかなり浅いと思われる。

ベニハゼの仲間としては比較的より易い種で
時にはレンズ最短距離まで寄る事ができる。
このブログで使用した画像は105mm(Cサイズ)で撮ったノートリミングの状態です。

ネジリンボウ

2009-03-19 00:21:50 | ハゼ科
和名 ネジリンボウ
学名 Stonogobiops xanthorhinica

変な名前のハゼの筆頭に来ると思われるネジリンボウ。
ハゼじゃなく魚全体を見ても変な名前でインパクト有るのは間違いなし。
体色も白と黒のツートンが名前のように捩れており
ネーミングのセンスが良いなと感じます。

生息地はどちらかと言うと温帯種で
国内では伊豆周辺から紀伊半島、四国、九州、沖縄まで分布。
パラオやバリなどでも確認されているが
熱帯地域では同属のヒレナガネジリンボウの方が多くなるようである。

ネジリンボウとヒレナガネジリンボウでは名前の由来となる
ヒレナガの方が背鰭が伸長するので区別は簡単。
他にもネジの方がガッチリ体型で体側のラインも太め。
ヒレナガの方が繊細な感じがする。

10年以上前はレア物であり
大瀬崎などで見つかると長蛇の列が出来ていたらしいが
ここ数年ではそれなりのレギュラー種となっている。
水温が高めの冬では冬眠をするようで大きく育った
越冬個体もそれほど珍しくは無い。

一眼フィルムカメラのハウジングが発売され
それまで水中写真はニコノスだったのが
60mm、105mmと言ったMICROレンズを使えるようになり
小物派ダイバーが増加する中でハゼマニアが多く生まれたのは
このネジリンボウのおかげと言っても良いかもしれない。

ゼブラハゼ

2009-02-12 23:44:33 | ハゼ科
和名 ゼブラハゼ
学名 Ptereleotris zebra

熱帯域に生息するクロユリハゼ属で潮辺りの良い浅いリーフ上などで見られる。
ゼブラの学名と和名で解るように体側にくっきりゼブラ模様がトレードマーク。
シンプルな美しさが多いクロユリハゼ属の中ではかなり派手な部類にはいる。
そして何故かヒゲ?が

一昔前はレア物とされていたりもしたが
ゼブラハゼが好む水深にダイバーの目がいかなかっただけの事らしい。
今ほど魚類図鑑が無かった頃に衝撃的に発刊された
東海大学出版の「日本産魚類生態大図鑑」のゼブラハゼの写真は
大先輩である伊江島の湯野川さんの撮ったものが使われている。
図鑑で湯野川さんの撮った写真が出ているものは「レア種」
と言われていたので当然ゼブラハゼもレア種だったわけです。

今でもレア度は下がったとはいえ
写真の撮り難さは変らないようで
ハゼのバイブル「日本のハゼ」のゼブラの写真は・・・

近年は伊豆半島でも黒潮の入り方のせいか
地球温暖化なのか、ダイバーの目が変ったのか
単純に大量に流れ着いただけなのか
夏から秋にかけて見られています。

去年(2008年)は特に多く大瀬崎の岬の先端ではあちこちで群れを作り
成長してディスプレイまで見せてくれました。
2007年に出た時は結構騒がれていたのに
大量に出現した去年はほとんどのダイバーがスルー。
やはり水深1~2mだとガイドネタには使えないんでしょね。
でも熱帯域に行くよりもディスプレイは撮りやすかった気がします。

しかし水温低下にはとても弱く18度を切ったくらいから
どんどん姿が消えてしまいました。
同属のヒメユリハゼは低水温にも強いんですけどね。


ヒレナガハゼ

2008-12-20 21:07:45 | ハゼ科
和名 ヒレナガハゼ
学名 Vanderhorstia macropteryx

泥っぽいところを好むヤツシハゼ族の一種で日本固有種。
ダイビングで見られるポイントとして一般的なのは静岡の三保、獅子浜、土肥。
大瀬崎でも個体数は少ないが湾内の泥っ気の強い辺りで見られる。
東伊豆の川奈でも出ていたかもしれない。

泥質の海底ではダイビングスポットとして成り立ち難いので
本州沿岸の泥っぽいところでは普通に生息している可能性は大。

パラオに住んでいた頃に帰国の際に三保で潜る機会があり
そこでこのハゼを初めて見て背鰭の大きさと色彩に感動しました。
興奮して濁らせ写真はまともに撮れないと言うおまけ付でしたが・・・

生息水深はちょっと深めで10m台で見た覚えはなし。
20m以深から姿を現し30m台が1番よく見られる。
獅子浜では40mのシルト状の泥地まで行くと姿は無くなる。
性格は基本的には神経質。
極稀に根性の座っている個体もいるので写真を撮るならそいつが狙い目。
どうしても濁りが出やすい場所なので
着底する時は潮の流れなどを考えてからにしましょう。
潮上で着底するとあっという間に何も見えなくなります。

小種名macropteryxは大きな翼(鰭)という意味で
和名のヒレナガより特徴を現していると思います。
鰭はでかいけど長いってイメージじゃないですからね~。
でも背鰭を全開にするとホタテツノハゼばりにかっこいいです。

イソハゼ

2008-09-30 23:08:48 | ハゼ科
和名 イソハゼ
学名 Eviota abax

イソハゼの仲間はベニハゼの仲間と共にハゼの仲間の中で
小型種が集まるグループで未記載種も非常に多い。
そのほとんどが熱帯域に生息し温帯に適応している種は少ない。
その中でこのTHEイソハゼはほぼ日本全域で見られる
正真正銘のTHEイソハゼである。

暖かい海に行くとイソハゼ、ベニハゼは多くて名前を覚えるのに一苦労。
でも伊豆周辺では2~3種くらいしかお目にかかれないので
ぜひ覚えておきたいイソハゼです。
しかしこのイソハゼの模式標本の採集地が熱帯域であったら
イソ(磯)という名前にはなっていなかったんでしょうね。

イソハゼの仲間はとにかく小さい種が多いけれど
その仲間内では体長4cmに達する大型種。
雄は背鰭や尻鰭などが伸長し見応えもあり?
基本的な体色は地味ですが雄同士の戦いや雌を誘う時の体色は
こんなになっちゃうの!?というくらいきれいです。

とにかく浅場に多いので減圧の友としても重宝される魚です。

オニハゼ

2008-01-17 22:36:22 | ハゼ科
和名 オニハゼ
学名 Tomiyamichthys oni

関東周辺から沖縄まで広範囲に生息する共生ハゼの仲間。
「日本のハゼ(平凡社)」によると日本固有種となっているが
数年前の海外の図鑑「Micronesian Reef Fishes」では
パラオにも生息となっていたり(記載されてる写真はヒメオニハゼ?)
「白Kuiter」と呼ばれる図鑑では
インドネシアにも生息する(写真はオニハと区別がつかない)となっている。
まだこれからも属の再編成などもありそうな感じでもある。

自分のホームの大瀬崎でも通年を通して見られるレギュラー生物。
オニハゼという名前(小種名もoni)にも惹かれるが
ダテハゼより平べったいイメージで顔もいかつい。
背鰭も全開にすると威風堂々といった感じでオニの名前に恥じない風貌。

しかし性格的には比較的神経質な方でダテハゼ類に比べると
寄って写真を撮るのに苦労をする場合が多い。
個体数は少なくないので度胸のある個体もいるので
写真を撮ったり観察する場合にはその様な奴を探すのがベスト。

目の細かい砂地から粗めの砂地を好むが
泥っぽいところは好みではないらしい。
伊豆などではニシキテッポエビと共生する事が多いが
コトブキテッポエビとも共生する。
南の海でこのエビは普通種だが伊豆では死滅回遊系で
ネジリンボウ類やホタテツノハゼ属、他のオニハゼ属と見られ
死滅系のハゼを探すのに目立つ寿カラーは役立つ。

コトブキを見つけて「お!!レアなハゼと一緒か!?」
と喜んで勇んだらオニハゼでガッカリする事もままある。
オニハゼには失礼な話しですけどね・・・


ヒレナガネジリンボウ

2007-09-13 21:05:33 | ハゼ科
和名 ヒレナガネジリンボウ
学名 Stonogobiops nematodes

ダイバーに人気のハゼの中でも人気上位に入る超人気者。
ほぼ毎年伊豆方面にも姿を現すが
休日ともなると行列ができてしまう。
近似のネジリンボウと外見はほぼ一緒だが
背鰭の2棘が伸長しているので違いは明らか。
名前もこの特徴から「ヒレナガ」とついた。

ネジリンボウが比較的温帯種で沖縄やサンゴ礁域などでは
こちらの種の方が圧倒的に多く見られる。
しかし正式和名がつけられたのは十年ちょっと前である。
正式和名が「ヒレナガネジリンボウ」となる前は
「ハタタテネジリンボウ」と呼ぶ人達もいたが
結局前者の名前に落ち着いたようです。

よく見ると体色も微妙に違うし
ヒレナガの黒色は薄く弱いブルー?の縁取りが入る。
大きさもヒレナガの方が一回り小さくか細い感じ。

宿主となるテッポウエビはコトブキテッポウエビで
これもネジリンボウと一緒である。
そのためか二種が同域に生息する地域では
同じ巣穴に住んでいる光景も見られる。
数年前に大瀬崎で両種が大量に流れ着いた時には
一つの巣穴にネジリンボウ4匹にヒレナガネジが1匹という事もありました。






ガラスハゼ

2007-07-17 21:17:38 | ハゼ科
和名 ガラスハゼ
学名 Bryaninops yongi

南関東沿岸からインド・西太平洋の熱帯域
紅海にまで分布するハゼの仲間。
伊豆周辺でも毎年のように姿が見られ
ヤギなどに卵を産み付けている姿も観察できる。

もともとが透明で小さいためか
幼魚だ!!と認識するようなサイズは見た事がない。
気がつくとヤギを宿主としてピコピコ動き回るのに気付く。

写真を撮ろうと思うと裏側に回ってしまう
ありがちな憎い行動を取る。
宿主から離れて逃げる事はないので
被写体としては撮り易い部類でしょう。
でも逃げ回るからと指先や指示棒などで追いかけるのは止めましょう。

ガラスハゼには数種類いるが
水中で全種を見分けるのはちょっと大変。
その場で判断できるダイバーはかなりのハゼ好きでしょう。
なお「日本のハゼ」では
水中でも見分け方られるように解説されています。