海の生き物達

私、かまぢが海で出会った生き物達を画像と共に思う事を書いていきます

ヒメギンポ(雄・婚姻色)

2006-05-30 23:16:47 | ギンポ系ネズッポ系
和名 ヒメギンポ
学名 Tripterygion bapturum

温帯域の浅い岩礁帯などで普通に見られるヘビギンポの仲間。
一応日本の固有種という事になっているようです。
「日本産魚類検索全種の同定 第一版」では
比較的稀種となっていますが
伊豆のダイビングスポットでは普通に見られます。
しかし他の地域ではあまり見られないという事かもしれません。
海外在住のダイビン・グガイドさんにとっては超レア間違いなしですね。

写真は逆さまになっていますが
岩の裏側や隙間といった目に付きにくい場所にいる事が多く
どうしてもこのような写真になりがちです。
通常の体色は薄く白っぽい中にオレンジ色の斑点と
この種の中では抜群にキレイです。
婚姻色を出してる時は逆に毒々しく感じてしまいます。

魚の名前で「ヒメ」が付くと小さいという意味で使われますが
ヒメギンポの「ヒメ」はヘビギンポの仲間でも大型なので
体色のイメージからきているようです。
では雄の体色なのか雌の体色なのか婚姻色なのか
命名者はどの色を見てイメージしたのでしょう?
昔であれば標本を見てと考えられるので
婚姻色って事はないと思うんですけどね。


イラ

2006-05-22 00:13:50 | ベラ科
和名 イラ
学名 Choerodon azurio

温帯種で基本的には関東以南、南は台湾くらいまでの分布域。

でこっぱちな頭と比較的派手な色彩、歯は不気味に出っ歯
はっきりいって可愛くない顔で体長は40cmになる大型種。
んで結構頻繁にお目にかかるという事で
ダイバーの注目を浴びるベラの仲間。

小さい時にはおでこも出ていなくて
同じ魚とは思えない体型をしています。
でも色彩は成長するにしたがい徐々に派手になっていきます。
特に大型の個体は少々蛍光色っぽく発色しているように感じます。
なかなか味わい深い色ですよ。





ハナタツ

2006-05-20 01:20:25 | ウミテング科カミソリウオ科ヨウジウオ科
和名 ハナタツ
学名 Hippocampus sindonis

ちょっと前までは「タツノオトシゴ」と同種となっていた
日本沿岸の温帯域に生息するタツノオトシゴの仲間。
元祖タツノオトシゴとの違いは冠上に頭骨が出てるって事らしいです。
あとは生息域もハナタツが岩礁域を好むのに対して
タツノオトシゴは藻場(水深は浅い)を好みます。
その為ダイバーが観察できるのはハナタツの方が圧倒的に多くなります。

色彩的にもハナタツの方が派手で皮弁なんかもある個体も多いです。
被写体としては赤で角のような皮弁があるやつなんかは
大人気で行列ができちゃったりします。

魚らしくない形と
雄がカンガルーのようにお腹の袋で子供を育てる事から
生態的にも面白くタツマニアも多く存在しています。
子供が雄のお腹から巣立つのは日没後。
小さなタツが飛び出していく光景は感動でしょうね。

雄が子育てをするので繁殖は必然的に雌主導型になるようで
一匹の雌を発見したとすると
その周辺を探すと雄が数個体見つかる事がしばしばあります。
色彩は派手でもしっかり保護色なので
タツ探しの時にライトは必携。

タツの仲間は尻尾?尾鰭?で何かに絡み付いている事が多く
カメラを向けると絡ませた尻尾を中心に
すすすす~っと背中を向けなかなか顔を見せてくれません。
反対側へ移動しても再び背中を向けて知らんぷり。
それを何度も繰り返すと背中を丸めてうずくまってしまいます。
かなりじれったくなるかもしれないけど
突付いて顔を向けさせたり触って移動させたりは御法度。
ルールを守ってシャッターチャンスを狙いましょう。

キンギョハナダイ

2006-05-17 22:51:32 | ハタ科
和名 キンギョハナダイ
学名 Pseudanthias squamipinnis

和名のに日本の代表魚ともいえる
「キンギョ」と「タイ」が合わさっている温帯種の「ハナダイ」
一般の魚図鑑などの分布域では
日本から太平洋、インド洋、果ては紅海となっているが
少し前に発刊されたTMCの「Basslets.Hamlets snd relatives」では
それぞれの地域の物に違う学名が与えられ違う種となったようです。
前から亜種とした方がいいという話は出てたらしいんですけどね。

魚を知らない人や初心者ダイバーが
初めて「キンギョハナダイ」という名前を聞くと
「海に住むキンギョの仲間ですか?」とか
「タイの仲間なんですか?」という反応が圧倒的に多いです。
でも普通に考えたらそう思っちゃう名前です。
和名に「タイ」と付く名前の魚は本家の「タイ科」の魚より圧倒的に多いです。
海の魚=タイというイメージが強かったからでしょうが
ちょっとセンスが無さ過ぎたのでは?と思ってしまいます。
実際にはタイの仲間ではなくハタに近い魚とされています。

でこのキンギョハナダイ。
日本でのハナダイの標準種といっていいと思います。
ハナダイの仲間はキレイでマニアも多いのですが
難点なのは深い場所に生息する物が多い!!という事。
しかしキンギョハナダイは水深5m程度から群れているので
一番目にする機会の多いハナダイなのです。

研究者からは雄が雌を数匹囲うハーレムを作ったり
生まれた時は雌だけど成長し強い物が雄に性転換したりと
かなり興味深い魚でいろいろ研究もされてきました。
ハナダイマニアは雄が戦う時、威嚇する時、雌を誘う時に
鰭を全開にし普段の色とは全く違う色に輝かせる体色に惹かれてしまいます。
今回の写真は雄のノーマル時の体色です。






オキゴンベ

2006-05-15 23:49:22 | 少数派系
和名 オキゴンベ
学名 Cirrhitichthys aureus

日本の海で見られる温帯種。
でも分布ではインドにまで生息するとなっています。
熱帯種ではないのにそこまで分布してるのは面白いですね。

名前の由来のゴンベは昔の子供の髪型「権兵衛」からきてるらしい。
この魚の背鰭のフサフサがその髪型に似てるらしいのです。
文で権兵衛の髪型を説明するのは難しいのですが
有名なところでは子連れ狼の大五郎の髪型だそうです。
これならイメージしやすいかも。

オキと頭についているけど別に沖合いに住んでいるわけじゃないです。
生態的にはせまい縄張り内にいつもいるという感じなので
毎回同じ場所で見られます。
それを考えるとこのオキは「置き」ゴンベなのかもしれません。
と、仲間内で話し合った事がありました。
でもゴンベ科の魚はみんな「置き」状態でいるんですよね。

オレンジ色の派手な体色なので初心者にも見つけやすく
表情も結構豊かでフィッシュウォッチング初心者にもお勧め。
そして真っ赤なイソバナやソフトコーラルを背景として写真を撮ると
なかなか写真映えする被写体です。
ちびっちゃい個体はこれまた愛嬌たっぷりで可愛いですよ~。


ミノカサゴ

2006-05-11 23:39:21 | カサゴ・オコゼ・カエルアンコウ系
和名 ミノカサゴ
学名 Pterois lunulata

日本の海から熱帯の海にまで広く分布するフサカサゴ科の魚。
鰭を広げた姿は優雅で古くから水族館や熱帯魚マニアに人気。
その優雅な姿と裏腹に強い毒を鰭に持つ魚としても有名。
鰭を広げた姿のイメージから
英語圏では「ライオン・フィッシュ」と呼ばれてます。

毒を持っているためかいつも余裕の泳ぎをして好奇心も強い。
ダイバーの後をずっと犬のように付いてきたり
ハゼなどの写真を撮ろうと砂地に這いつくばっていると
いつのまにか懐付近にまできていてビックリする事も。
これは好奇心というよりも「寄らば大樹の陰」状態で
大きなダイバーに身を寄せて影からこっそり餌を狙ってるのかも!?

捕食シーンは待ち伏せ状態で一気に吸い込んだり
群れの中の小魚一匹を執拗に追いかけて10m以上追尾してたり
というのを何度か目撃しています。
ちなみに追尾してる時はターゲットに逃げられてる事が多いです。
表情は無いはずなのに食事にありつけなかった時は
物凄く悔しそうに見えるのが笑えます(笑っちゃいけないけど)。




ニシキベラ

2006-05-09 23:33:31 | ベラ科
和名 ニシキベラ
学名 Thalassoma cupido

毒々しい色彩なベラの仲間で温帯種。
沖縄や海外の珊瑚礁域には住んでおらず結構狭い地域でしか見られない。
台湾や朝鮮半島までは分布してるそうです。

ベラは派手な色彩な物が多いけれど
ニシキベラはその中で原色系で一際派手な種類ではないでしょうか?
こいつを食べると聞いた時は正直「本当に!?うげ~・・・」と思ったけど
その後南の島で生活をする事になり
「色彩と色は関係ないんだ」と気付きました。
ただ小骨が多いらしいので食べたいとは思わないんですけどね。

動きが早くちゃんと写真を撮ろうと思うとかなり苦労します。
伊豆辺りでは普通にたくさんいるので「無理して撮らなくてもいいか」
って思っちゃうせいもあるかも?
一度本気で撮ろうと思いじっと動かずに狙っていたら
好奇心がかなり強いせいか「敵ではない」と認識したのか解らないけど
どんどん近寄ってくるようになり「これは撮りやすいかも」と期待していたら
マスクやカメラハウジングのポートまでつっつき始め
逆に近寄りすぎて撮れなくなってしまいました。
こいつと遊びたかったら10分間じっとしてて下さい。
猫のようにじゃれ付いてきますよ~。

ソラスズメダイ

2006-05-07 22:07:03 | スズメダイ・ヤッコ・チョウチョウウオ系
和名 ソラスズメダイ
学名 Pomacentrus coelestis

伊豆の海から熱帯の海にまで広く分布しているスズメダイ。
時には三陸海岸や北海道でも姿が見られるが
さすがに東北以北では死滅回遊になってしまいます。
伊豆でも水温が下がると青い体色は失せて黒ずんでしまうので
本来は南方種であったのが温帯域に適応してきたのではないのでしょうか。

水温が上がり始める頃から青い色が戻り
水底近くや岩陰にいたのが中層近くまで泳ぎあがるようになります。
そして秋にはポイントによっては物凄い群れを作り
初めて伊豆を潜ったダイバーをビックリさせています。
伊豆の基本種の中でもキレイなので人気の高い魚ですね。
また産卵行動などもかなり詳しく調べられているので
フィッシュウォッチング入門にも最適な魚とも言えるでしょう。