海の生き物達

私、かまぢが海で出会った生き物達を画像と共に思う事を書いていきます

カエルアンコウ(旧イザリウオ)

2006-07-24 22:51:46 | カサゴ・オコゼ・カエルアンコウ系
和名 カエルアンコウ
学名 Antennarius striatus

関東付近の温帯域から熱帯域の砂泥域を好んで生息する
今も昔もダイバーに人気の魚。

体色のバリエーションが多く
黒ければ「黒イザリ」白ければ「白イザリ」と呼ばれる。
他のイザリウオと区別する為に「THE・イザリウオ」
なんて呼ぶダイバーもいるらしい。

ダイバーに人気の理由はその姿。
鰭は鰭というよりも手のように見え
実際物を掴んでいるような動きもする。
また移動は泳ぐよりも手のような鰭を使い水底を歩く。
全く泳げないわけではなく
エラから水をジェットのように吹きだし高速移動もするらしい。
見たという人はいるけれどまだ実際にお目にかかった事はありません。
鰭を全部広げパラシュートで降下するような感じで
岩から岩へ渡っているのは見た事があります。

小さいうちは確かに可愛らしくも思えるが
成長し大きくなってくると可愛いとは言えない気がします。
性格?も貪欲で自分の体より大きい物を捕食しようとする事もあるし
同属のハナオコゼが共食いする事を考えると
イザリウオも共食いをしている可能性があります。

泳ぐのが苦手なので捕食は待ち伏せ型。
イザリウオの仲間の特徴として背鰭が変形した
「エスカ」という疑似餌を振り回し
餌となる魚を呼び寄せるそうです。
この「エスカ」はイザリウオの種類によって
形が違うので種を判別するのに役立つらしい。
しかし振り回してくれてないと観察しづらいでしょう。

伊豆では一年を通して観察されますが
春~夏には可愛らしい幼魚の姿が多く見られます。
泳ぐ姿を見たい方は産卵行動を観察すると
力強く水面に向かい懸命に泳ぐ姿が見られるでしょう。

2月1日にイザリウオの和名がカエルアンコウに変更になりました。
本文内のイザリウオという呼び名は
改名前に書いたブログなので変更はしません。



ホシノハゼ

2006-07-13 00:14:16 | ハゼ科
和名 ホシノハゼ
学名 Istigobuis hoshinonis

前に紹介をしたクツワハゼと同属のホシノハゼは
分布域も生息環境も似たような感じで
本州(関東)~沖縄周辺までの内湾のような場所を好む。

普段は他のクツワハゼの仲間と一緒で地味な体色だが
繁殖期の雄の婚姻色はこの仲間では一番キレイだと思います。
特に雄同士の戦いで口を大きく開き
鰭を全開にしている時の体色は美しすぎです。
この写真も雄の婚姻色を出している時です。

婚姻色はベラやハナダイほどの早さではありませんが
興奮状態を解くと一気に通常色に戻ってしまうので
色を変わっているのを見つけたら驚かせないように
そっと観察してみてください。
興奮させる裏技(結構有名な方法)も存在しますが
ここでは内緒と言う事でお許しください。

クツワハゼと並んで伊豆地域ではどこでも見られる普通種で
ダイバーの話題になる事はほとんどないハゼですが
ガイドさんやハゼ好きな人達にはそこそこ人気です。
ただ個体数が多く水深3mからでも見られるので
ホシノハゼだけを狙うダイビングをする人はいないのではないでしょうか?
安全(減圧)停止中に観察をするにはちょうど良いかもしれません。






ネンブツダイ

2006-07-06 23:48:40 | テンジクダイ科
和名 ネンブツダイ
学名 Apogon semilineatus

クロホシイシモチと並び日本の海をイメージさせる魚ですが
温帯種なので北日本ではあまり見られません。
比較的浅い水深の魚というイメージもあるが
よく似ているクロホシイシモチよりも生息水深は深い気がします。

テンジクダイ科の魚なのでネンブツダイも口内保育を行います。
普段は大きな群れを作っているのが
初夏を迎える頃からペアを作り始め
しばらくすると卵を口中で保護する雄の姿が見られるようになります。
群れの中で意中の雌を射止めようとする雄の行動は
個体の性格が出ていて見ていて飽きません。
安全停止中などに観察を始めると
ついつい20分、30分と経ってしまいます。

ネンブツダイというありがたくない名前は
釣り上げられた時などにブツブツと音を出すのが
念仏に聞こえるという事で付けられたらしいです。
釣っても食べてもらえる事もなく
海に戻してもらえるならともかく
外道としてその場に捨てられてしまう場合が多く
ネンブツダイとしては怨みの一言でも言いたいでしょう。
その境遇を考えると念仏ではなく恨み節?
でも「ウラミブシダイ」なんて名前はもっと嫌ですね~。

ダイバーからも特に人気があるわけでもなく
利用価値があるわけでもなく
ありがたくない名前をつけられてしまってますが
熱帯性のテンジクダイ達が観賞魚として人気なので
もう少しキレイだったらネンブツダイも重宝されたのでは?
と可愛くてきれいな幼魚の群れを見ていると思ってしまいます。
水槽内で飼育しやすく生態的には興味深いので
生態学者さん達からは人気物だったみたいですけどね。