海の生き物達

私、かまぢが海で出会った生き物達を画像と共に思う事を書いていきます

テングチョウチョウウオ

2011-10-27 21:27:39 | スズメダイ・ヤッコ・チョウチョウウオ系
和名 テングチョウチョウウオ
学名 Chaetodon selene

西部太平洋から本州付近までが分布域とされるが
パラオをはじめとしてミクロネシア域や沖縄では見られない。
日本では高知(柏島周辺?)伊豆大島、伊豆半島とかなり限定的。
柏島では探さなくてもなんとなく目に入ってくるくらいいる。

伊豆半島ではほぼ毎年幼魚が見られるが
ポリプ食の為、餌がなく成長する事はほとんどない。
しかし今年(2011年)の獅子浜では完全な成魚が数日間居付いていた。

幼魚の時から居たとは思えないが
ミドリイシの植樹をしている為に
テングチョウが餌とするポリプがある為に
留まっていたと考えられる。
姿が見られたのもミドリイシの周辺であった。

他のチョウチョウウオよりも体色の白がくっきりしていて
そこにイエローの斑点が入り品があるように思ってしまう。
吻先が長いとこからテングの名がついたという事らしいが
学名のseleneはギリシャ神話の月の女神からと思われる。


ミゾレチョウチョウウオ

2009-12-09 22:15:59 | スズメダイ・ヤッコ・チョウチョウウオ系
和名 ミゾレチョウチョウウオ
学名 Chaetodon kleini

毎年秋から冬にかけて伊豆半島に出現するチョウチョウウオ。
体色は地味な方で幼魚期も同類他種のような可愛らしさはイマイチ。
その為に出現しても話題に上る事はほとんどない。
流れ物でありながら伊豆に馴染んだ体色である。
その年によって増減はあるが個体数は比較的多い方か?

熱帯域に行けば極普通種。
見て喜んでくれるのはチョウチョウウオマニアくらいでしょうか?
もちろんパラオ滞在時も伊豆のガイドにおいても
リクエストも受けた事はないし
「ミゾレチョウがいましたね!!」と喜んだ人は皆無です。

チョウチョウウオ類は広い分布域の種が多いが
このチョウチョウウオも東アフリカからハワイまで分布しているらしい。

レンテンヤッコ

2009-11-18 21:35:09 | スズメダイ・ヤッコ・チョウチョウウオ系
和名 レンテンヤッコ
学名 Centropyge interrupta

熱帯種が多いヤッコの中で温帯に適応した種で
伊豆諸島から房総、相模湾で見られる。
岩礁域を好む為伊豆半島の駿河湾側では稀種となってしまう。

ヤッコ類は派手な体色をもつものが多いが
レンテンヤッコも濃いブルーが目をひきつける。
個体によって全身が青に見えるものから
ここでアップした物のようにオレンジ色が強い個体まで変化が大きく
自分好みの個体を探すのも楽しい。

三宅島で活動していたJ・モイヤー博士が研究対象としていたので
生態はかなり詳しく調べられていて
ハーレムを作り雌性成熟で性転換をする事が知られている。
産卵行動も詳しく観察されていて
他の種の行動の参考にされる事も多い。

基本西伊豆ダイバーの自分にとっては
見たら嬉しくてついつい写真を撮ってしまうヤッコである。
そして個人的には青が強い個体が好き。


ナガサキスズメダイ

2007-11-08 21:28:29 | スズメダイ・ヤッコ・チョウチョウウオ系
和名 ナガサキスズメダイ
学名 Pomacentrus nagasakiensis

種小名がnagasakiensisとなる長崎県由来のスズメダイ。
南日本に分布する温帯種で伊豆周辺でも普通に見られる。
大きな群れは作らず小グループでいるのも見るが
幼魚期には単独でいる事が多い。
伊豆で普通にいるスズメダイのように中層から水面近くで
群れて泳ぐ行動は取らない。
縄張り意識は比較的強め。

幼魚期は体色も青くキレイで可愛らしいが
成魚になるとスズメダイの仲間にありがちな
黒くてお世辞にもきれいとは言えない体色になる。
幼魚も他のスズメダイに比べると地味ではある。

背鰭軟条部の眼状斑は特に幼魚の時に目立つが
成魚でも消えずに残っている個体も普通にいる。
とにかく染みめな魚なのは間違いないでしょう。

オヤビッチャ

2006-06-28 23:30:14 | スズメダイ・ヤッコ・チョウチョウウオ系
和名 オヤビッチャ
学名 Abudefduf vaigiensis

関東以南から西武太平洋に分布するスズメダイの仲間。
熱帯性の魚なのでもちろん関東付近では死滅回遊魚。

スズメダイの仲間のほとんどは
○○スズメダイという名前を与えられている(クマノミは除外)のに
オヤビッチャは名前を聞いただけではどんな魚だか想像がつき難い。
逆に独特な名前なので覚えてもらいやすいという利点も。
当のオヤビッチャにとっては名前も覚えてもらう事も意味無いんですけどね。

南の島では極々普通に見られ
餌付けポイントではぐちゃぐちゃになるほど群れてます。
たいていロクセンスズメダイという似た種類がいるけど
線の数や背中の黄色がないなどで区別は簡単。
水族館や熱帯魚屋でも見かけるので知ってる人も多いかも。

関東周辺では夏くらいから小さな幼魚が見られ始め
そろそろ死滅回遊魚シーズンだなあと思うきっかけにもなってます。
通常は水面近くから数mまでの浅場にいるので
死滅回遊魚の中では目立つ方でしょう。

子供の頃にこのオヤビッチャの名前にひかれ
夏くらいになると網をもって近所の磯に採集に行ったりしました。
しかし成長して目立つのは「秋口くらいから」なんて知らない子供の頃
ほとんど成果がなく幻の魚だと思いこんでいました。
当時の図鑑ではそんな事一切触れてませんでしたからね。

スズメダイの仲間としては大型になり
大きいものでは手のひらサイズまで成長します。
その大きさがちょうど良いのか
奄美大島などでは御造りになったりしてますね。
味はかなり美味しいです。

クマノミ

2006-06-01 23:23:41 | スズメダイ・ヤッコ・チョウチョウウオ系
和名 クマノミ
学名 Amphiprion clarkii

分布域は太平洋の熱帯域から日本の本州中部までと
かなり広範囲に渡っています。
ただ伊豆辺りだと低水温が続くと繁殖はできず
その生涯を閉じてしまうようです。
冬~春に水温が下がり過ぎないと越冬して繁殖もできています。
今では騒がれませんが数年前に伊豆でも繁殖をしている事がわかり
大ニュースになりました。

元々ダイバーに人気があったけど
映画「ファインディング・ニモ」のヒットで
一段と人気が出たクマノミ。
映画はカクレクマノミなんだけど一般の人には
ニモ=カクレクマノミ(クマノミを含む)というイメージみたいです。
でも初心者や体験ダイバーにクマノミを見せて
「ニモですよ~」と紹介してる
インストラクターやガイドにはちょっと?と思う自分です。
できれば「ニモに近い種類なんですよ」にして欲しい。

仲間内で時々話題になるのが
「伊豆周辺のクマノミはどこからくるのか?」
低水温が続くと死んでしまう(業界用語で落ちるともいう)ので
死滅回遊魚(季節来遊魚、無効分散)なのは間違いない。
でも死滅回遊魚=熱帯(沖縄方面)から流れてくるのであれば
クマノミだけじゃなく、それこそカクレクマノミやハナビラクマノミ
まさかのトウアカクマノミなんかが来ても不思議じゃないわけです。
でも南日本に姿を現すのはクマノミだけ。
これは紀州でも同じではないでしょうか?
なので実はクマノミは非常に近いところから流れ着いているのでは?
と考えちゃってるわけです。

では近場だとどの辺?
単純に南紀では普通に越冬して繁殖しているので
その辺から来ているのではないかな~と。
もしくは遠くて四国?近ければ三重県の海岸辺りとか?
伊豆七島って事も考えられますね。
なんて事を語り合ってるととても楽しい時間が過ごせます。

ソラスズメダイ

2006-05-07 22:07:03 | スズメダイ・ヤッコ・チョウチョウウオ系
和名 ソラスズメダイ
学名 Pomacentrus coelestis

伊豆の海から熱帯の海にまで広く分布しているスズメダイ。
時には三陸海岸や北海道でも姿が見られるが
さすがに東北以北では死滅回遊になってしまいます。
伊豆でも水温が下がると青い体色は失せて黒ずんでしまうので
本来は南方種であったのが温帯域に適応してきたのではないのでしょうか。

水温が上がり始める頃から青い色が戻り
水底近くや岩陰にいたのが中層近くまで泳ぎあがるようになります。
そして秋にはポイントによっては物凄い群れを作り
初めて伊豆を潜ったダイバーをビックリさせています。
伊豆の基本種の中でもキレイなので人気の高い魚ですね。
また産卵行動などもかなり詳しく調べられているので
フィッシュウォッチング入門にも最適な魚とも言えるでしょう。