『ムアラフ 改心』
2007年/マレーシア/87分/35mm/
監督:ヤスミン・アフマド
父親の虐待から逃れて暮らす敬虔なムスリムの姉妹。小さな町に身を寄せた2人は、時に反発しあいながらも支えあって生きていたが、ある時、華人で、敬虔なカトリックの教師と出逢い、お互いの世界観を広めてゆく…。“人を赦す大きな力の源”を謳う信仰と改宗をめぐるドラマ。(ユーロスペースHPより)
【感想レビュー】@イスラーム映画祭
この映画、なんだかとても感じるものがあってじんわりじんわりとくる余韻を味わっております
あまり映画を観て泣かないタイプだけど、ちょっと頬をつたうものに我ながらビックリしたのだった。全体的に監督の?なのか優しい眼差しがあって、その視点があまりにも温かく、そして深くてなんだか泣けてしまったのだと思う。。
敬虔なムスリムの姉妹。そして敬虔なカトリックの家に生まれながら、ある事をきっかけに信仰を遠ざけながら生きる華人の教師が出てきて、人を赦すこととは何なのか?を考えさせられる構成になっています。
ただ、そういった壮大なテーマがありつつも、細かい視点が複雑に絡み合い、信仰心という極めて個人的な側面と多民族で多宗教のマレーシア社会を包括的に捉えた側面とが素晴らしく融合していて、作品に惹き込まれてしまうのです
しなやかさと逞しさ、美しさと強さを併せ持つムスリムの姉妹はとてもキュートで、二人のやり取りやその空気感はとっても魅力的でなんだか神々しいほどだった。
そして、華人の教師の人間らしさといったら、それもまた実にキュートなのだ。母親に対する冷たい態度やお金にキビシイ(かなりケチ…悪しからず)ところとか、その性癖は…ごにょごにょ…なところとか。なんとも愛すべき人物なのです。
ムスリム姉妹も華人の教師も心の痛みを抱えています。人は誰でもそういうものだと思うけど、その痛みとどう向き合うのか。それはやがて、イスラム教とキリスト教という垣根を越え、一つの大きなテーマとなっていく。そして、それに対する答えも、宗教の垣根を越えた普遍的なものへと還っていく。そもそもイスラム教もキリスト教もユダヤ教も、同じ神なのですから。。
華人教師はムスリムの姉妹の姉に恋をする。アラビア語を僕も習うよとまで言い、彼女の元に向かうシーンに、バッハのピアノ協奏曲5番が流れる。バッハは敬虔なプロテスタント信者だったけど、カトリックの為に多くの曲を書きました。それはまぁ仕事だからというのもあるけど…そのバッハが流れるのです。
その他にもアメイジング・グレイスが使われたり。
とってもとっても素晴らしいシーンでした。
また、ゴーイングホームが使われていて。赦すことでhomeに還っていくような感じもして。。信仰心とは、やはり個人的なもので、誰かに危害を加えたりしないものだよなぁ…と改めて感じます。
観たあと、信仰を持たない私ですが思わず自分はどうだろう?と背筋がピンと伸び、胸に手を当ててしまうような映画でした。それでいて胸の奥にじわっと何かが広がって行く素晴らしい映画でした
2007年/マレーシア/87分/35mm/
監督:ヤスミン・アフマド
父親の虐待から逃れて暮らす敬虔なムスリムの姉妹。小さな町に身を寄せた2人は、時に反発しあいながらも支えあって生きていたが、ある時、華人で、敬虔なカトリックの教師と出逢い、お互いの世界観を広めてゆく…。“人を赦す大きな力の源”を謳う信仰と改宗をめぐるドラマ。(ユーロスペースHPより)
【感想レビュー】@イスラーム映画祭
この映画、なんだかとても感じるものがあってじんわりじんわりとくる余韻を味わっております
あまり映画を観て泣かないタイプだけど、ちょっと頬をつたうものに我ながらビックリしたのだった。全体的に監督の?なのか優しい眼差しがあって、その視点があまりにも温かく、そして深くてなんだか泣けてしまったのだと思う。。
敬虔なムスリムの姉妹。そして敬虔なカトリックの家に生まれながら、ある事をきっかけに信仰を遠ざけながら生きる華人の教師が出てきて、人を赦すこととは何なのか?を考えさせられる構成になっています。
ただ、そういった壮大なテーマがありつつも、細かい視点が複雑に絡み合い、信仰心という極めて個人的な側面と多民族で多宗教のマレーシア社会を包括的に捉えた側面とが素晴らしく融合していて、作品に惹き込まれてしまうのです
しなやかさと逞しさ、美しさと強さを併せ持つムスリムの姉妹はとてもキュートで、二人のやり取りやその空気感はとっても魅力的でなんだか神々しいほどだった。
そして、華人の教師の人間らしさといったら、それもまた実にキュートなのだ。母親に対する冷たい態度やお金にキビシイ(かなりケチ…悪しからず)ところとか、その性癖は…ごにょごにょ…なところとか。なんとも愛すべき人物なのです。
ムスリム姉妹も華人の教師も心の痛みを抱えています。人は誰でもそういうものだと思うけど、その痛みとどう向き合うのか。それはやがて、イスラム教とキリスト教という垣根を越え、一つの大きなテーマとなっていく。そして、それに対する答えも、宗教の垣根を越えた普遍的なものへと還っていく。そもそもイスラム教もキリスト教もユダヤ教も、同じ神なのですから。。
華人教師はムスリムの姉妹の姉に恋をする。アラビア語を僕も習うよとまで言い、彼女の元に向かうシーンに、バッハのピアノ協奏曲5番が流れる。バッハは敬虔なプロテスタント信者だったけど、カトリックの為に多くの曲を書きました。それはまぁ仕事だからというのもあるけど…そのバッハが流れるのです。
その他にもアメイジング・グレイスが使われたり。
とってもとっても素晴らしいシーンでした。
また、ゴーイングホームが使われていて。赦すことでhomeに還っていくような感じもして。。信仰心とは、やはり個人的なもので、誰かに危害を加えたりしないものだよなぁ…と改めて感じます。
観たあと、信仰を持たない私ですが思わず自分はどうだろう?と背筋がピンと伸び、胸に手を当ててしまうような映画でした。それでいて胸の奥にじわっと何かが広がって行く素晴らしい映画でした