約一か月ぶりの文章たっぷりコースの授業でした。
お一人だけ風邪で欠席の方がいらっしゃいましたが、他の方々は元気で今年最後の授業に臨んでおられました。
※ スタッフがうっかりして、この日の記録写真を撮り忘れたため、今回は授業風景の写真がなくて申し訳ありません。
年末ということで、今年の締めくくり的なお話から。
今年もたくさんの方が亡くなりました。
11月末に亡くなった脚本家の山田太一は、ドラマ「岸辺のアルバム」や「ふぞろいの林檎たち」などの話題作で有名です。
高科先生はこの人の作品がお好きで、脚本集も持っておられるとか。
たとえ亡くなっても、その人が残した作品を見るといつでも彼らの世界に触れることができます。
高科先生も、いま山田太一の作品を読み直しておられるところだそうです。
ということで、テキスト『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書) のP36〜P53を見ていきました。
著者は、新聞でコラムを書くようになってから「気づきメモ」を取るようになり、後日そのメモから文章の題材を見つけるようになったとか。
文章に行き詰まったら、歩き回るとアイデアが浮かぶ、とも。
中国で昔、欧陽脩という人が、「気づき/ひらめきが得られる場所は、鞍上・枕上・厠上である」と言い、それが「三上の説」として伝わっているそうです。
「今なら移動中の電車の中、床の中、トイレの中であろう」とは、外山滋比古が著書『思考の整理学』 (ちくま文庫) の中で言っていることです。
外山氏はさらに、「夢中・入浴中・散歩中」にもアイデアが浮かぶことがある、と言います。これは皆さん思い当たることでしょう。
そして、時には「休む」ことも重要だとのこと。
人それぞれやり方があると思いますが、自分のやりやすい方法を探してみるのも良いのではないでしょうか。
休憩をはさんで後半は、広瀬友紀著『ちいさい言語学者の冒険――子どもに学ぶことばの秘密』 (岩波科学ライブラリー) から、
子どもたちがなぜ言い間違い、書き間違いをするのかという興味深い箇所を見ていきました。
「か」と「が」「た」と「だ」は発音する時の口の形が同じなのに、「は」と「ば」は違うから間違うのだ。とか、
「女心」は「おんなごころ」なのに、「女言葉」が「おんなことば」は、通常なら2つめの言葉の最初の文字が濁音になるところも、2つめの言葉に既に濁音が含まれているときはこの限りではない(ライマンの法則)とか、目からウロコな内容でした。
昔、日本には書き文字がありませんでしたが、奈良時代に中国から漢字が伝わり、平安時代にはかな文字ができて、書き言葉が盛んになったのは江戸時代になってからです。そして明治時代に学校ができ、現代仮名遣いが統一されました。
今はひらがな44音・濁音18音ですが、奈良時代にはかな61音・濁音27音もあったそうです。
もう使われなくなってしまった音も多いですが、神楽や能などの中には、昔の発音で歌われていることもあるようです。
最後は、課題についてです。
課題を提出するときに、書き直しを何回するかということで、皆に訊いていきました。
高科先生は、①下書き→②書き直す→③少し時間を置いて過不足を調整し、推敲する→④清書する→⑤読み直して、順番や言い換えを考慮して再度書き直す→⑥清書する
というように進めているそうです。
人それぞれにやり方がありますが、今はワープロソフトで書いている人も多いため書き直しも簡単にできるので、先生のような進め方も参考にすると良いでしょう。
そして、今回の課題のテーマは「わらう」です。
「あるく」「たべる」と動詞が続いていますが、テーマは言葉そのものではなく、「わらいにまつわるさまざまなこと」と捉えていただければ結構です。
いろんな「わらう」について好きなように、文字数やジャンルも自由に書いてください。
提出は、年明けの1月13日(土)にある次(4回目)の授業の時にしてください。よろしくお願いします。
お正月休みの間にアイデアを練ってくださいね。
それでは、良いお年を!