この日、今年初めてツバメを見たと話し始めた高科先生。
早速、ハクモクレンの花を見たこと、イカナゴの不漁(海の生態系を守らなければ!)、
狭山事件の被告・石川一夫と歌手・いしだあゆみが最近亡くなったことなどなど、
いろんな話題の最後に、「それでも春はやってくるのです」と。
テキスト『「書く力」私たちはこうして文章を磨いた』(池上彰・竹内政明 著/朝日新書) は
第二章 本当に伝わる「表現」とは の続きで
・「です・ます」調と「だ・である」調の書き分け
・ことわざの使い方
のところを皆で読んでいきました。
「です・ます」調で書く文章を「敬体」、「だ・である」調で書く文章を「常体」と言い、
過去形はそれぞれ「でした・ました」、「だった・であった」と書きます。
そして敬体で書かれた文章は柔らかく優しい印象に、
常体で書かれた文章は硬派で引き締まった印象になります。
また、作品の中でこの2つを混在させることは基本的にありません。
そこで、同じ昔話を再話した絵本から
敬体で書かれた、福音館書店 日本傑作絵本シリーズ『かちかちやま』(著 おざわとしお・絵 赤羽末吉)と
常体で書かれた、岩波書店 てのひらむかしばなし『かちかちやま』(著 長谷川摂子・絵 ささめやゆき)の
2つを読み比べて、受ける印象の違いを見ていきました。
印象の違いを知るはずが、衝撃的な内容にみんな驚いているのがおもしろかったです。
(タヌキがおばあさんを騙して殺し、ばばあ汁にして食べてしまうという残酷さ!)
ちなみに高科先生は、絵本でもお話の内容で常体か敬体を使い分けているそうで
読み手に何をどう伝えようとしているかで書き方を変えましょう、とのことでした。
ことわざと慣用句の使い方について、基本的には読み手が知っているネタで、
自分が言いたいことをパロディ化したり、センスのある茶化し方で
「うまいこと言う」のを良しとします。
そのためには、言い換えたりする「言葉遊び」をよく知っていると良いとので
辞書を引いて調べたりしてきちんとした知識があると、うまく書けるようになります。
ここで性別で常体と敬体の書き分けをするかという質問がありましたが
性別というより、自分の中でルールを作って書き分ける意識を持とうとのことでした。
昔話は基本的にすべて過去形で書かれますが、
同じ敬体でも「だったのです」と「でありました」では印象が違うため、
どちらにするかは声を出して読んでみてから決めるとよいでしょう。
なお、断定や強調するときに使われる「〜のです・〜のでした」「〜のだ・〜のである」は多用せず、
どうしても使いたい時にだけ使うようにしましょう。
休憩をはさんで、井上ひさしの『日本語相談』(朝日新聞出版)から「かっこの中の句点はなぜあるのか」を見ていきました。
文章の終わりを表す句点は、もともと日本語ではつける習慣がなかったのが、
昭和21年と25年に文部省国語科が「くぎり符号の使い方」を発表したことから始まったので、実際にはかっこ内に句点を打つ必要はありません、とのこと。
今では学校と公用文の中でしか使われていないそうです。
続けて、中村明の『文章作法辞典』(講談社学術文庫) から「打つも打たぬも思いやり」を見ていきました。
読点は読みを助けるために打つものですので、原則ルールが17個も書かれていました。
この全てに当てはめる必要はないかもしれませんが、読み手ができるだけ楽に文章を正確に理解できるように、
それぞれのケースに合わせて工夫してください。
そして、特徴的な文章を書く 夢枕獏の『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』(徳間文庫) から
1巻の第2章「暗夜秘話」の冒頭に、高科先生が良いと思う読点の打ち方を入れた校正を見ていきました。
作家によって、いろいろなルールを使っているのですね。
井上ひさし繋がりから、彼の有名な言葉も教えていただきました。
「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、
まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでもゆかいに(書きましょう)」
こういう心がけで、文章を書きたいものですね。
さて、この日の課題は
「これ、ほんとのこと? と読む人に思わせるようなウソ話・ホラ話を書く」です。
本当はオリジナルの話を書いてほしいのですが、難しかったら昔話の再話でも構いません。
その場合は、3度の繰り返しを使うとよいでしょう。
今回は、文字数に制限があります。原稿用紙5枚で書いてください。
1枚目の始めでタイトル周りに100字使いますから、本文は1900字です。
できるだけ最後の1行まで書いて、終わりにしてください。
そのためには、お話の構成を練ることが必要です。行数配分を計算して、書いてください。
導入は何行くらい、盛り上がりは何行くらい、ラストにどのくらい必要か…
考えながら書いてみる練習をしてみましょう。
難しいかもしれませんが、チャレンジしましょう!!
提出は次回の4月5日(土)です。よろしくお願いします。