絵話塾だより

Gallery Vieが主宰する絵話塾の授業等についてのお知らせです。在校生・卒業生・授業に興味のある方は要チェック!

2022年11月26日(土)文章たっぷりコース第4期・2回目の授業内容・高科正信先生

2022-11-29 18:53:12 | 文章たっぷりコース

この日はドイツに勝利したばかりだったので、サッカーの話題から始りました。

なんと!高科先生は、学生時代サッカー部で10番を付けておられたそうなんです。

ですから、今までの日本サッカー界のことをマニアックにお話ししてくださるとともに

選手一人一人にドラマがあることがすばらしいとおっしゃり、それを踏まえて

灰谷健次郎の『ひとりぼっちの動物園(集団読書テキストA33)』(全国学校図書館協議会)を紹介してくれました。

「人間は一人一人にかけがえのない人生があり、人を愛するということはその人の人生を知ること」だそうです。

授業の前半は、河合隼雄の『子どもの宇宙』(岩波新書)から「はじめに」のところを見ていきました。

「一人一人の子どもの中には、無限の広がりと深さを持つ宇宙が存在しているのに

大人になるにつれてそれを忘れ、気づけばなくなって、忘れてしまう。」と言うのです。

そこから、大島弓子の短編集『つるばらつるばら』(白泉社文庫)に集録された『夏の夜の漠』の話題になりました。

 

人間の年には実年齢と精神年齢がありますが、作品の中で主人公の小学生の男の子が大人の姿で描かれ、

周りの大人たちが子どもの姿で描かれています。

『つるばらつるばら』より以前に出版された、大島弓子の代表作『綿の国星』(白泉社文庫)では仔猫が小さな少女の姿で描かれています。

このように、大島弓子は1970年代から時代を先取りした作家(漫画家)でした。

そして、マリー・ホール・エッツの『もりのなか』と『またもりへ』(いずれも福音館書店)を読み聞かせてくださいました。

  

これらの絵本の文章は、「そして」「それから」などの接続詞を多用しています。

子どもがこのような文章を書くことを、教師はあまり良しとしないのですが

評論家の川本三郎は『絵本の時代』というアンソロジーの中で

「子どもの書く繰り返しの文章こそ、退屈どころか出来事の豊かさに驚き、

言葉がもどかしくて書くのが追いつかない状態である」と言っています。

続いて、ウクライナの民話『てぶくろ』(絵=エウゲーニー・M・ラチョフ/福音館書店)を読み聞かせ。

おじいさんの手袋がどんどん大きくなっていくのを、子どもたちの宇宙のように非常に柔らかくふくらんでいくとおっしゃいました。

そしてここでも川本三郎の言葉を引用して、

「絵本というのは、教育やしつけのためにあるのではない。絵本は子どもをここではないどこかへ連れていってくれるものではないか」と

子どもたちの素晴らしい想像力で、絵本がより深く・おもしろくなることを知りました。

 

授業の後半は、テキスト『文章のみがき方』(辰濃和男 著/岩波新書)から

「3.繰り返し読む」のところを皆で音読していきました。

村上春樹がアメリカの大学で日本文学を教えていた時、学生たちに以下のことを要求したそうです。

①一冊の本を繰り返し読む

②その本を好きになる努力をする

③読んでいるうちに疑問に思ったことをリストアップする

そうしていくうちに、内容だけでなく文章の書き方やリズムが自分の中に入って

一読しただけでは分からなかったことに後で気づくことがある…本とはそういうものなのだそうです。

子どもは気に入った絵本があると、何度でも読んでほしがります。

たとえそのお話をすべて覚えていても、読んでもらうことで安心できるからだそうです。

ここで、テキストにも出てくるドロシー・バトラーの『クシュラの奇跡』(のら書店; 普及版)のことを教えていただきました。

ニュージーランドの若い夫婦の間に生まれたクシュラは、生まれつき重い障害を持っており

視覚も聴覚の機能も不十分で、自分の感情を伝えることもできませんでした。

そんな彼女に周囲の人が熱心に絵本を読んであげたところ、3歳の時の検査で知力が標準以上だということが分かったといいます。

小さい子どもの時から一冊の本を繰り返す読むのが良いことなら、それは大人にも通じることではないでしょうか。 

最後に、今回の課題です。

「もしも子どもに戻れるとしたら、あなたは戻りたいですか? それとも戻りたくないですか?」

という問いの答えを、第3者にもわかりやすくまとめて書いてください。枚数もフォーマットも自由です。

どうやって子どもに戻るかはSF的に考えてもいいし、創作になっても結構です。

「子ども」の範疇であれば、いくつの時に戻るかも、環境が実際と違っていても構いません。

次回の授業は12月10日(土)ですので、この日に提出してください。よろしくお願いいたします。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2022年11月27日(日)絵本ゆっくりコース・WAKKUN先生の授業内容

2022-11-27 18:45:30 | 絵本ゆっくり塾

本日はWAKKUN先生の二回目の授業です。

WAKKUN先生の授業は毎年同じテーマなのですが、その時々で新たな気付きがあります。

本日は90×90センチの和紙に墨で絵を描くワークショップです。

「上手く描こうとは思わず、愛おしいと思う気持ちを表現してください。今日の授業は、心の中にあるものを外に出す練習です」とWAKKUN先生。

 

まずはWAKKUN先生がお手本で描いて見せてくださいました。

 

WAKKUN先生が描いた絵をジャンケンで勝った人にプレゼントします。

それでは、ジャンケンポン!

 

自分の中で感じたものを上手に描こうと思わないで、今の自分を表現してください。

絵に文字を入れたり、抽象的なものでもなんでもOK。

描き込みすぎなくて、白場が多くてもここでいい。と思ったら自分の気持ちに素直に聞いてストップしてください。 

では皆さんも始めましょう。

 

描き始めはためらっていた方も、一筆描き始めるとすらすらと描かれています。

皆さん勢いがあっていいですね。

静かに丁寧に描くのもいいし、大胆に一気に描き上げてもいいですよ。

墨の濃い薄いも水で調整してくださいね。

 

完成したら発表します。

   

 

人それぞれ思う(表現したいこと・表現の仕方)ことは違います。

今日の授業では、心が動く大切な部分を、絵にして具体化するという授業でした。

形だけの美のバランスではなく、生きた人間の息吹や味わいだったりを表現してほしい。

その部分を根っこにしている人とは、すぐに友だちになれるよ。

最後に熱く語って、今日の授業は終わりました。

 

次回の授業では、細長い紙に墨で絵を描きます。

お楽しみに!

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2022年11月26日(土)イラストじっくりコース・イナキヨシコ先生の授業内容

2022-11-26 19:04:17 | イラストじっくり塾

イナキヨシコ先生の授業は、雑貨を作るワークショップをします。

本日は3時間授業ですので、2つのワークショップをします。

 

前半は缶バッチを作りました。

缶バッチを作る機械がありますので、作り方を覚えてしまえば簡単です。

サイズは直径3センチです。

周りに巻き込む余白も必要なので、そこも含めてデザインします。

3センチの中にぴったり何か入れても良いですし、

例えば大きな絵の中のある一部分だけを切り取っても絵になります。

厚めの紙の場合は、上手く巻き込めないので、その場合はコピーするといいですよ。

イラストを3センチの円でカットして、缶バッチ機にセットします。

「ガッチャン」と大きな音がしたら出来上がり。

 

続いて、アイロンプリントの制作をします。

 

いろんな色のアイロンシートがありますので、好きな形にカットしてTシャツやトートバックにプリントしていきます。

数字や文字を入れたい場合は、アイロンシートをカットする際に、向きが反対にならないように気をつけてください。

 

アイロンをかける時にもコツがあります。

まずは全体にギュッと抑えるようにかけて、アイロンシートが布地に定着したら、細かい部分を丁寧にかけていきます。

アイロンをかけたら、まだ熱いうちに素早くシートを剥がしましょう。

  

 

細かいイラストに挑戦されている方もいました。

また切り抜いた文字と抜きのシートの両方を無駄なく使われていました。

  

完成した皆さんの作品

 

アイロンプリントの生地で缶バッチを作ってみました。

切り抜いて使わないアイロンシートを使って、缶バッチにするのも無駄がなくていいですね。

 

皮にアイロンプリントをしたブリーチはイナキ先生の作品です。

 

イラストを描くだけでなく、雑貨を作ることが出来ると、展覧会で販売したり、

作った缶バッチを付けていたら「そのバッチ可愛いですね」という会話から、コミュニケーションが始まることもありますよ。

 

簡単に雑貨製作が出来ると分かったので、是非どんどんチャレンジして作ってみてくださいね。

 

次回の授業では型染めをします。

今回と同様に簡単なイラスト(下書き)をご準備ください。

サイズはハガキサイズです。

 

楽しみですね。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2022年11月12日(土)ドローイングクラス・イヌイマサノリ先生の授業内容

2022-11-25 15:28:49 | ドローイングクラス

今日、2回目のドローイングクラスも、雲ひとつ無い良い天気です。
今日は神戸ポートタワー方面に行きましょう!

今ポートタワーは工事中ですが、周りには面白い建物やオブジェ、海に船など、絵に描きたくなるものがたくさんあります。

公園に入ると、先生の周りに人だかりができていました。皆さん、先生のスケッチブックを見せてもらったり、先生が海洋博物館を描いているところを見せてもらったりしています。

眼に見えるものを全部は描かずに省略して、ときめく物、使いたい色で描きましょう。
イヌイ先生は、折れた色鉛筆の芯も面白そうに、寝かせて使って、空を塗っていました。
ややこしくて苦戦したけど、天気良かったので気持ちよかった!(これはイヌイ先生の感想です)

生徒の皆さんも、気持ちの良い線が描けるように、
それぞれのときめく場所を見つけて、どんどん描いていきましょう。



外で3時間たっぷり描いて、教室に戻り講評をします。前回の絵と、家で描いてきた絵も併せて見せてくださいね。イヌイ先生が、一人ひとり丁寧に講評していきます。

面白いところを切り取って、アタリ(下描き)はしないで描いてみましょう。
歪んでも、勢いが味になります。
そして、描き切ってしまえば気持ちがいいですよ。ピンときたもの、ワクワクするもの、描きたいところだけ、を描いたら良いんです。しんどいことを頑張らないで。

人が好きで建物が苦手なら、建物を輪郭だけと決めて、人をメインに描くとか、空が綺麗だと思ったら、空を画面いっぱいに広く描くとか。
好きな物を、好きなように、ここが面白いと思ったら、自分の心が動いたものだけを楽しんで描いてください。色々なモチーフに挑戦してミスするのは勉強になるし、いい肥やしになります。
だから、たくさん描いてトライした方が、うんと成長します。
いろいろ試して、自分のいいなを見つけてくださいね。

どうしたら良いかわからない人は、どういう時が楽しいか、どういうふうに描きたいかチェックしていきましょう。
ドローイングコースは、基本的に外で描きますが、動くものをその場で描くのが難しければ、写真に撮って描くのもありです。

 

イヌイ先生のスケッチ

生徒の皆さんは、自分では気づかなかった良いところや、アドバイスをもらって、それぞれに次の目標ができました。
普段から描いてる人はだんだん自分のスタイルになって、良くなってきているので、皆さん毎日少しでも描いてくださいね。

 次回12月17日は神戸須磨海浜水族園です。
 12時にチケット売り場前に集合してください。

アディオス!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

募集していました 絵本レベルアップコース・イラストレベルアップコースは、

定員に達しましたので締め切らせていただきました。

また来期のお申し込みをお待ちしています。

よろしくお願いいたします。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10月29日(土)ドローイングクラス・イヌイマサノリ先生の授業内容

2022-11-16 18:18:11 | デッサンクラス


今日はドローイングクラス、今期第一回目の授業です。
イヌイ先生のクラスはとても人気で、リピートされる方も多い人気の講座です。
ちなみに、このクラスは始まって以来ずっと『良い天気』を、今日も更新中だそうです!

 


では、先生の自己紹介から。
さて、ドローイングってなんでしょう?
デッサンとはフランス語で、ドローイングは英語です。どちらも『素描』と意味は同じですが、日本では、デッサンは精密に描写し、ドローイングは、気楽に描くイメージですね。
対象物を性格に描くことより、景色・物などを見て素敵だなと感じて、楽しく描くこと。
楽しい気持ちを描くことで、何か良いな、を見つける。
そして、続けていくと、だんだんと線が良くなってくるので、それを実感してもらえたら・・。

僕はそのお手伝いをします。

 



まずはウォーミングアップです。しりとりをしながら、絵に描いていきましょう。
しりとりは、生徒さんにひとり一回ずつ回ってきます。
何も見ずにどんどん描いていきます。
vieのイからはじまって、
犬→沼→祭り→りす→スイカ・・・イカナゴなんていうのも。
皆さん見せ合いっこしたり、お題にどよめきが起こったり、和気あいあいと楽しい雰囲気です。
資料を見ないで描くのも、枠に囚われず、個性が出て面白いですね。


後半は教室の近くの南京町周辺に出かけてドローイングをします。
自分でピンとくるものを探して描いてみましょう。
いきなり外で描くのは、ドキドキすると思いますが慣れれば大丈夫です。

 

教室に戻りイヌイ先生の講評。スタイルは人それぞれですが、線が歪んでも消しゴムで消さずにそのまま描く方が、その場の勢いが伝わって、歪みも味になります。
鉛筆はなるべく4B以上で、安いものより少し良いものを使えば紙へのノリが違います。
スケッチブックなども、画材を次に変える時は、描き心地や感触を確かめて、自分の好みに合ったものを選んでくださいね。
生徒さんから、色鉛筆は何色セットを選べば良いですか?と質問がありました。
移動もあるので、セットで買うより、好きな色を使うと良いですよ。固有色である必要もありません。

色がバラけてしまう人は、2、3色だけ使うと良いですね。自分の好きな、得意な画材を選びましょう。

毎日どんなものでも、1分でも良いので描く習慣をつけると、絵は良くなっていきます。
次回の講評の時に、ぜひ見せてくださいね。

次回は一旦教室に集合して、気候で行き先を決めましょう、ということになりました。
ではチャオ!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

11月から始まる教室・生徒募集中! 

イラストレベルアップクラスは、もうすぐスタートします。

いよいよあと一人です。お早めに!

・文章たっぷりコース     11月12日(土) 引き続き募集しています。

・イラストレベルアップクラス 11月19日(土)   (キャンセルが出ましたので、あと1名)

ご興味のある方は、ぜひお問合せくださいね。

よろしくお願いいたします。
……………………………………………………………………………………………………
〒650-0022
神戸市中央区元町通3-2-15セントラルビル元町5F
ギャラリーVie 絵話塾 村上政行
mail:kaiwajuku@galleryvie.jp
URL:https://www.galleryvie.jp/
tel.078-332-5808
fax.078-332-5807


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする