絵話塾だより

Gallery Vieが主宰する絵話塾の授業等についてのお知らせです。在校生・卒業生・授業に興味のある方は要チェック!

2021年6月26日(土)文章たっぷりコース第15回めの授業内容・高科正信先生

2021-06-30 16:51:13 | 文章たっぷりコース
昨年の11月から行っております児童文学作家の高科正信先生による文章たっぷりコースも、この日を含めてあと2回を残すのみとなりました。
このクラスはもともと少人数でしたが、途中から教室に来るのが難しい状況になり、オンラインで参加する方も多かったです。
先生の豊富な知識と、生徒さんたちの和気藹々とした雰囲気で、「高科ゼミ」という感じのこのクラス。もうすぐ終わると思うと名残惜しいです。



この日の “よもやま話”は、NHKでやっていた なかえよしを さんの番組のことでした。
なかえさんは、奥様の上野紀子さんと絵本『ねずみくんのチョッキ』のシリーズを1974年から36作出版してこられました。
ご夫妻は『ねずみくんのチョッキ』の前に、アメリカで『ぞうのボタン』という絵本を出版して評価されていたため
当時まだナンセンス絵本が受け入れられにくい日本でも、ポプラ社が出版に踏み切ったのだそうです。
2019年に上野さんが亡くなって、シリーズは止まっていましたが、上野さんが残された絵のデータを元に
なかえ さんが描き足したりして、このほど37作目の新作が出版されたそうです。
無許可で絵本の二次使用をするのはダメですが、この場合は作者本人の手によるものなので大丈夫です。

また、5月に亡くなった霊長類学者の河合雅雄(河合隼雄氏の兄上)さんは、草山万兎(くさやままと)というペンネームで
動物か出てくる児童文学や童話をたくさん書いていることや
“知の巨人” 立花隆も最近亡くなったことに触れ、「どんな人でも亡くなるんやね」と少々寂しいお話に。
生きてる間にした仕事が残るというのは、大変なことなんだ、と。

さて今日の本題は、岡本夏木の著作『幼児期— 子どもは世界をどうつかむか』(岩波新書)から。
この本は、大学の児童教育や教育心理学・発達心理学の教科書としても用いられているもので、
子どもがどうやって言葉を獲得していくかが具体的に書かれています。



幼い子どもに対して、周囲にいる大人たちは最初一方的に言葉を繰り返して教えていきます。
イヌを指差して「ワンワン」、食べるものを示して「マンマ」と言い、
子どもがそれを真似すると、「そうねワンワンね」「そうよマンマよ」と応えあげることで
子どもがそれが「ワンワン=イヌ」「マンマ=食べ物」であることを理解して、言葉を自分のものにするのです。
現代では子どもが自動販売機で買い物をしたり、AIやリモートで教育を受ける機会も多く
もちろん便利になったこともあるでしょうが、人間同士が交わし合う関係が損なわれているのではないか
それは子どもが “人間” になる過程をも奪っているのではないかと、高科先生は危惧しておられます。



須藤真澄の漫画『どこか遠くの話をしよう』(KADOKAWA)にも描かれているように
言葉の通じない大人同士の場合も同じ。
対話していく中で、繰り返して、補い合って、新しい言葉や文化、習性をお互いに理解していくのです。



子どもは2〜3歳、3〜4歳、4〜5歳と、年齢とともに獲得する言葉は増えていき、
だんだん論理的に考え、行為や言語活動ができるようになります。
最初は単語の羅列だったのが、2語や3語の構文になっていきます。
4歳になると、対話者が子どもに共感して、興味を持ち、質問をして話の流れを促すことで
会話の幅がどんどん広がるので、子どもと対話する時はそのように心がけましょう。

名前は最も多く聞く言葉ですが、その言葉を自分のものにできるのはワンワンやマンマより遅いそうです。
自分の名前というものが、時空を超えて実存する一貫した存在だということを自覚するのに時間がかかるのです。
幼い頃は自分が呼びかけられる「〇〇ちゃん」を主語にしていたのが、成長すると「ぼく」「わたし」に移行します。
その間には、とても高度な脳の発達が行われます。
しかも自分が発する言葉を耳で聞くことで、他者を取り入れていくことになります。
それこそが「人間になる」「人間を獲得していく」過程というのでしょう。

「子ども」という存在の概念が確立されたのは、ほんの40年ほど前で、
フィリップ・アリエスの『<子ども>の誕生―アンシァン・レジーム期の子供と家族生活』(1980年・みすず書房)
で、その時初めて子どもは小さい大人ではないことが認識されました。



今日は発達心理学の側面から、子どもが言葉をか獲得する過程を学びましたが
最終回になる次回は、物語の側面から言葉の持つ意味を学んでいきましょう。
ということで、髙田大介『図書館の魔女―カラスの伝言』(講談社文庫)の抜粋が配られ予習してくることになりました。



前々回の課題「〇〇の××はなぜ△△」の参考として
石井桃子・文章/初山滋・絵の『おそばのくきはなぜあかい』(岩波書店)を紹介してくださいました。



海外の子どもの物語の翻訳といえば、石井桃子と瀬田貞治によるものが多いのですが
この本の絵を描いている初山滋は、美しくモダンな画風で、とてもカッコいい絵本に仕上がっています。

前回の課題「最初の記憶」の参考として
工藤直子の『こころはナニで出来ている?』(岩波現代文庫)の中に出てくる
幼い頃の思い出について書かれているところなどを見ていきました。
他にも工藤さんの作品の中で有名な『てつがくのライオン』( 理論社)や、『のはらうた』シリーズ(童話屋)、
『ともだちは緑のにおい』『ともだちは海のにおい』(理論社)などもお薦めしてくださいました。



最後に、先生は教員時代、子どもとしゃべる時は必ず顔を見て話すことを心がけていたといいます。
そうしていると、実感として子どもに言葉が届いているかどうかが分かるのだそうです。
人が人と関係性を結んでいくのに大事なことは、向かい合って話すこと。
人間は他者から話しかけられることによって、人間になっていく(とくに母親は無意識にやっている)ものだから
やっぱりタブレットの画面越しに学んでいると、こぼれ落ちていくものもあるんだろうなと思うのだそうです。



今はコロナで人に直接会う機会が減っていますが、早く近距離で顔を見ながら話せるようになりたいですね。
次回7月3日は今期の文章たっぷりコース、最終授業です。
ご興味のある方は見学もお受けしますので、よろしくお願いいたします。


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2021年6月19日(土)イラストレベルアップコース・山内庸資先生・サタケシュンスケ先生の授業内容

2021-06-24 14:47:57 | イラストレベルアップコース
本日はイラストレベルアップコースの今期最後の授業です。
最後の授業ですので、山内先生がサタケ先生をゲストにお招きし、
お二人のダブル講師ということで、最後に相応しい授業となりました。



生徒さんたちも大喜びです。

皆さんが今どんなイラストを描いていているのかを見せていただきました。
またインスタグラムもチェックしていきます。

 

皆さんとても成長していますが、さらに良くなるようアドバイスをいただきました。

お仕事に繋がらせるには、インスタグラムも大事ですが、ホームページも必要です。
ホームページがあると信用にもなりますし、コンタクトもしやすいです。

また展覧会をすることもオススメします。
個展はハードルが高いようでしたら、グループ展でもいいですので、チャレンジしてみましょう。
個展が出来るということは、企画・制作・宣伝などが出来るということなので、
それだけでも信用に繋がりますよね。



山内先生・サタケ先生がオススメするイラストレーターもお聞きしました。
人の絵を見てインプットし、それだけで終わるのでなく、
自分ならこう描くというアウトプットもしていってください。

時代(歴史)やニュースなども把握しておきましょう。

普段から見ているものをすぐに絵に出来るぐらい、生活に取り込むことも大事です。

今日の授業が終わっても、お仕事の相談など気軽に聞いてください。
と山内先生とサタケ先生はおっしゃっていました。

8月には修了展もありますので、皆さんの作品を楽しみにしています。


……………………………………………………………………………………………

●「絵本ゆっくり(日曜日)」コース
●「絵本わくわく(水曜日)」コース
●「イラストじっくり(土曜日)」コース
は9月下旬からスタート予定です。

●「イラストレベルアップ(土曜日)」コース
●「文章たっぷり(土曜日)」コース
は11月からスタート予定です。
………………………………………………………………………………………………
上記全てのコースでガイダンス(説明会)を行っています。
6月…毎週 土・日曜日 11:00〜
  6月26日は14:00からも行います。
7月…毎週 土・日曜日 11:00〜
  7月4日は14:00と17:00からも行います。
  7月10日・17日は17:00からも行います。
………………………………………………………………………………………………
興味のある方・受講を考えている方は、下記までお問い合わせください。
〒650-0022
神戸市中央区元町通3-2-15セントラルビル元町5F
ギャラリーVie 絵話塾 村上政行
mail:kaiwajuku@galleryvie.jp
URL:https://www.galleryvie.jp/
tel.078-332-5808
fax.078-332-5807









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2021年6月19日(土)イラストじっくりコース・寺門孝之先生の授業内容

2021-06-22 16:10:18 | イラストじっくり塾
本日の授業は、寺門孝之先生の今期初めての授業です。
やっとお会い出来て嬉しいですね。

本日は3時間授業です。
前半は寺門先生の自己紹介と質疑応答の時間でした。



寺門先生は小さい頃から色んな事に興味があり、似顔絵は3才の頃から描いていて、
10才の頃には、宇野亜吉良さんのイラストをトレースしていたとか。

大学は美術系ではなかったので絵を学んだのは、その後に通ったセツモードセミナーだそうです。

この当時に絵話塾があれば、間違いなく通っている。とおっしゃっていました。

24才の時にパルコのコンペで大賞を取るもその後が大変で、その当時のお話しをお聞きしました。

売り込みに行くのではなく、仕事がありそうな所に行ってみるのだそうです。
人に会って話をしている内に、仕事に繋がるのですね。

魅力が無ければ仕事に繋がらないので、常のキラキラしていてください。とおっしゃっていました。

イラストレーターとしての絵とアートとしての絵についての質問もありました。

イラストレーターとして求められている絵とアートの絵とは違うのですが、
寺門先生の場合は、こんな絵が描きたいという直感で描いた絵は、その後この絵を求めている人に出会ったりするのだそうです。


休憩を挟んで後半です。


後半は「寸画」のワークショップをしました。

ちょっとした時間にちょっとした絵を描くのが寸画です。
限られた時間で完成させるのも大事です。

今日のお題は「はっきりしないなぁ」

では、10分で描いてみましょう。



皆さんがどんなイラストを描いたか楽しみですね。

それでは発表しましょう。

 

それぞれが発表する前に、寺門先生がどんな絵を描いたのかを読み解きます。

見る側がイラストを見て感じたことが正解なら、作者も人に伝わるいい絵を描いたことになります。
見る側と作者の思いが違うと、イラストの意味が無くなってしまいますよね。



この時代にあるもの(スマホ)を描くのは、分かりやすいですね。

     

自分の経験が絵に出ることがありますが、絵にしたときにそれが伝わるのか。
気持ちを絵で表すといいです。
説明をしなくても分かるイラストがいいですね。

次回の授業で発表する課題が出ました。

【課題】
色・・・カレー色の世界 (画材・サイズ・自由)
形・・・空の形 (モノクロ作品)




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●「絵本ゆっくり(日曜日)」コース
●「絵本わくわく(水曜日)」コース
●「イラストじっくり(土曜日)」コース
は9月下旬からスタート予定です。

●「イラストレベルアップ(土曜日)」コース
●「文章たっぷり(土曜日)」コース
は11月からスタート予定です。
………………………………………………………………………………………………
上記全てのコースでガイダンス(説明会)を行っています。
6月…毎週 土・日曜日 11:00〜
  6月26日は14:00からも行います。
7月…毎週 土・日曜日 11:00〜
  7月4日は14:00と17:00からも行います。
  7月10日・17日は17:00からも行います。
………………………………………………………………………………………………
興味のある方・受講を考えている方は、下記までお問い合わせください。
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ギャラリーVie 絵話塾 村上政行
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2021年6月13日(日)絵本ゆっくりコース・高畠那生先生の授業内容

2021-06-17 16:18:06 | 絵本ゆっくり塾
本日は、高畠那生先生の2回目の授業です。
緊急事態宣言中でもあって、今回もオンライン授業です。 お会い出来ないのは残念です。



前回の授業は、約一ヶ月半前でした。
本日の授業で、新しいダミー本を発表するという課題出ていましたね。
皆さん、この一ヶ月半頑張って、新しい絵本を考えてきましたか。

なんと、全員が新しいダミー本を発表出来そうで、よかったです。

では発表していきましょう。

前回と違った面白いダミー本がたくさんで、笑い声も聞こえてきます。

まず、基本的なことですが、
進む方向にページをめくれるようにした方が見やすいです。
それによって、文章が縦書きなのか横書きなのかが決まりますね。

あとノド(本の中心)に顔がこないように気を付けましょう。



本の内容で、着色方法も考えてみましょう。
アクリルでしっかり描き込む方がいいのか、デジタルでスッキリ仕上げるのか。
背景の細かさやおにぎりの米粒にもこだわって描いてみてください。

ナンセンス絵本には、ありえないことが起こってもOK。
リズムよく進めることと、タイトルにもインパクトがあるといいね。



絵本のページ数は限られています。
その中で場面が変わりすぎると、理解出来なくなるので注意しましょう。


他にもたくさんのアドバイスをいただきました。

・自分が面白いだけでなく、読者が納得して面白くないといけない。

・魔法は何でも出来るので面白くない。
 共感出来る方法を考えて。

・テキストを読んでみて、いい感じに聞こえるか。
 ページをめくって、いいね!と思えるか。




オンラインで参加の生徒さん、子どもの笑い声が聞こえます。
高畠那生先生の『チーター大セール』をいつも読んでいて、質問があったみたいです。
「この人は、なぜ青いの?」 
高畠先生も質問に答えてくださっていました。

和やかな時間が過ぎ、あっという間に今日の授業は終わりです。

来月の高畠那生先生の授業では、オンラインではなく教室で授業が出来そうです!

【課題】
絵本のダミー本を出来るところまで完成させてくる。
完成に近づけれるところまで、着色もしてきてください。

約一ヶ月でどこまで出来るか。
皆さん、頑張って制作してくださいね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

6月・7月のガイダンス

●「絵本ゆっくり(日曜日)」コース
●「絵本わくわく(水曜日)」コース
●「イラストじっくり(土曜日)」コース
は9月下旬からスタート予定です。

●「イラストレベルアップ(土曜日)」コース
●「文章たっぷり(土曜日)」コース
は11月からスタート予定です。
………………………………………………………………………………………………
上記全てのコースでガイダンス(説明会)を行っています。
6月…毎週 土・日曜日 11:00〜
  6月26日は14:00からも行います。
7月…毎週 土・日曜日 11:00〜
  7月4日は14:00と17:00からも行います。
  7月10日・17日は17:00からも行います。
………………………………………………………………………………………………
興味のある方・受講を考えている方は、下記までお問い合わせください。
〒650-0022
神戸市中央区元町通3-2-15セントラルビル元町5F
ギャラリーVie 絵話塾 村上政行
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fax.078-332-5807

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2021年6月12日(土)文章たっぷりコース第14回めの授業内容・高科正信先生

2021-06-16 19:11:57 | 文章たっぷりコース
前回の授業から約1ヶ月経つということで、まずは高科先生の近況報告から。
いま近所のクリの木が花をつけているそうで、白い小さな花が房になっているのに、どうして実はあんな風なのだろう?とか、
クリもドングリの一種なのですが、シイやナラの実のように渋くなくておいしいので、動物に食べられてしまわないように
イガで覆われているのだとか、クリについての豆知識をひとしきり。先生は何でもよく知っていらっしゃいます。
他には、コロナワクチン接種の予約の電話が一回で繋がったとか。強運の持ち主なのかもしれませんね。



今期の授業もこの日を入れてあと3回になってしまいましたが、最後まで “言葉の問題” について考えていきましょう、とのことでした。
前回でテキストが終わってしまったので、今回からは外山滋比古の『ことばのある暮し』(中央文庫)から抜粋した
「始め・中・おわり」という箇所を見ていきました。



言葉の習得は一にも二にもくりかえしによるものであり、新生児はくりかえし言葉を聞くことによって
他の言葉と分別し、意味と使い方を知るようになる。
食べ物を与える時に「マンマ」と言ったり、イヌを指差して「ワンワン」と言ったり、
世の母親たちは知らず知らずのうちにそのようにして言葉を教えています。
人間は生後30か月くらいのうちに “はじめの言葉” を確立し、それが三つ児の魂というものをつくりあげると
その人が死ぬまで変わらない個性の核となるそうです。
ですから、親の海外赴任などで幼少期を外国で過ごすと、日本語と日本文化の取得に苦労したり
極端な例では、オオカミに育てられた子供は、人間の中で暮らすようになっても言葉は話せず
短命に終わるいうことが多かったそうです。



岡本夏木の『子どもと言葉』(岩波新書)は、幼少期に母国語と出会って習得していく過程と意味を表した書物で
幼児教育を勉強する人の必読書です。



人間が最初に習得する言葉は記号化した事物ですが、人間として育っていくにはそれだけでは十分ではありません。
他の人と意思を交わすためには、抽象的な言葉も必要になってきます。
幼い頃におとぎ話を語ってもらったり、絵本を読み聞かせてもらうことが役に立ちます。



須藤真澄の漫画『どこか遠くの話をしよう』(KADOKAWA)でも、ことばの通じない人同士が
どのようにコミュニケーションを取るようになるのかが描かれています。

次に、“読み” の大切さについての箇所を見ていきました。
“読み” には、既に知っていることを読むアルファ読みと、一つ一つの言葉は分かるけれど
全体的に何を言っているのか理解できない文章を読むベーター読みの2種類があり
幼い頃から漢文や百人一首にふれるのはベーター読みの訓練になるが
今はそれを行っていないので、文学表現を読んでいくしかない。
ベーター読みを追求していくと読み手としてのスタイルは確立し、無限に未知の世界に挑んでいけるようになる。
そのようにしてことばの習得は完成する、ということでした。



みんなチンプンカンプンでしたが、先生は
「一度読んだ書物も、時が経って読み返してみると違った捉え方ができる」と
以前からおっしゃっているので、また後日読み返してみたらわかるかも…。

『ことばのある暮し』の最後は、老化を防ぐには新しい言葉を習得するのが効果的だという箇所。
そのためには何か新しいスポーツや、俳句や短歌を趣味を始めるのが良い方法ですが
最も効果的なのは、外国語を学ぶことなのだそうです。
赤ちゃんのように柔軟に頭を働かせることが、不老長寿の妙薬になるとか…いかがでしょうか?

休憩を挟んで、前々回の課題「お悩み相談の回答」を返却してもらいました。
私たちが回答を書いたのは、朝日新聞の「悩みのるつぼ」に掲載された相談でした。
実際に紙面に載ったのは社会学者の上野千鶴子さんの回答で
質問者に対してけんもほろろな内容でした。

高科先生は、相談者は実際には答えを求めているわけではなく
自分の答えに光を当てて欲しい人が相談をする傾向がある。
答に正解はないので、回答者の好きなように書けば良いとのことでした。
(上記の上野氏しかり、美輪明宏や車谷長吉なども回答者として求められているものがある)
人生は「めでたしめでたし」で終わりはしない。「そして人生は続く」のですね。

その後、朝日新聞に掲載された中島らもの「明るい悩み相談室」の記事と
『明るい悩み もっと 相談室』(朝日文学文庫)から回答例を見ていきました。
きちんと悩みに答えているのに、オチがあっておもしろい。
本当に、早くに亡くなって残念な方だと思います。



次回は岡本夏木の『幼児期 — 子どもは世界をどうつかむか』(岩波新書)から抜粋して
もう少し幼児期と言葉について詳しく学んでいきましょう。

そして、今期最後の課題は「自分にとって初めての記憶(体験)について」です。
自分の中の幼少期の記憶を思い出し、カケラをつなぎ合わせて文章にしてください。
他人に読んでもらうものですから、内容のすべてが事実でなくてもかまいません。
(多少は脚色しても結構です)
文体も文章量も、すべて自由に書いてください。
よろしくお願いいたします。

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