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葉山の四季

葉山の四季をお伝えしたいと思います。

車寅次郎と荒畑寒村ー二人を結ぶ女

2020-01-12 21:34:00 | 私の寅さん
この本で荒畑寒村が対談に出ているのには驚きました。寒村は日本近代史の男であると同時に現代史の男でもあったのだと認識を改めました。
それは1976年1月号の雑誌『婦人公論』で当時33歳の樹木希林(当時の芸名悠木千帆)が47歳の渥美清と対談し、12月号で89歳の荒畑寒村と対談していたからです。



12月号では荒畑寒村に女房歴を語らせていた。



悠木千帆は他に10人の男を相手に対談、その視点は
「わたしは男の値打ちっていうものをね、女の人とのかかわり合い方とか、暮し方、そして別れ方というところできめておる……」というところに置いての話の引出し。

渥美さんとはこんな感じで、
悠木 女と男と見ていると、どんな感じしますか。女の方が強い感じします?
渥美 やっぱり女の人、強いんじゃないかね。生き抜いていくからね。
悠木 わたし、今のこの世の中で自分が男に生まれたら死んじまう。
渥美 女の人は強い。傷つかない部分がありますからね。
悠木 それを考えると、男の人がちょっと気の毒になったりするの。
渥美 男はブスッと刺すと、イタイタっていうところがあるね。女の人はゴムみた
   いにずっとへっこむと、プッと出てきちゃうみたいなもの。いい意味である
   んじゃないでしょうか。  
悠木 悪い意味でもありますけど。
渥美 それでなかったら、子ども育てて、食べ与えてできない。
  
寒村さんとは、
悠木 お見合をすすめられて、その方とだけお見合いしたんですか。
寒村 そうです。
悠木 どんなところに惚れられたんですか。
寒村 別に惚れもしないですけれども。
悠木 不安はないんですか。悪い女じゃないだろうかとか(笑)。
寒村 ぼくは結婚するのには、その女は美人でなくていいから、達者な人物、病気な
   んぞしない女という、そういう条件でした。(略)  
悠木 それはやっぱり前の奥さんが先に亡くなられたから、達者ということが第一に
   頭にあったんでしょう。
寒村 ええ、前の女房がね、五年も中風でいられちゃつらいですよ。しかも、あんた、
   寝ている女房の枕もとから、昭和十二年暮のいわゆる人民戦線事件で拘引された
   んですからね。もうこんどはかまわんから丈夫ということをね(笑)。一緒に 
   なってみたらば、美人でもない何でもありませんしね。
             
荒畑寒村について